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凱旋名古屋

 7月4日Zepp名古屋にて、凱旋MCBattle西日本Zeppツアー名古屋ノ陣があった。結果はIDの初優勝で終わったのだが、これから先得られないかもしれないレベルの興奮を味わえた。今日はその話をしたいと思う。

 まず、今回が自分はMCバトル初現地だった。丁度MCバトルにハマった時期に大学受験とコロナがきたからだ。今まではYouTubeに載ってるものを見てきた。YouTubeで見たり、ヘッズのSNSを見てて、いつか行ってみたいという気持ちが強かった。それに、今池の小箱や岐阜の柳ヶ瀬でMCバトルをやってること自体は知っていたが、遠かったり夜遅かったりして現実的に行けなかった。怖いという想いもあった。
 そんな中、5月2日のKOK×真ADRENALINEにて、今夏凱旋MCBattleが西日本Zeppツアーをするとの発表があった。名古屋にもくる。行きたい気持ちが抑えられなくなった。親と交渉して行けることになり、仲間と行くことを決めた。
  そこから自分は音源を沢山聴いた。今までSAMしかほぼ聴いていなかったが、バトルビートで聴いたことある音源を中心に聴いた。その方がビートが流れた時、よりあがれると思ったからだ。
 不安もあった。怖い人と揉めないようにということも思ったし、ぶっちゃけ内容が悪かったら...とも思った。それは6月の戦極U22のことがあったからだ。まだバイトもできてない中で、チケット代がほぼ5000円する。決して少額では無い。そこを気にして横浜ノ陣は正直数試合しかみれなかった。好きなまま当日を迎えたかった。

 そして当日を迎えた。仲間と合流し、優勝予想なんかしながら開場までの時間を潰した。
 ちなみにその時自分はIDを予想してた。というのも、IDのラップが個人的に好きだった。フロウもすごくて、心に響くワードも残し、何より相手に対してのリスペクトがある。個人的にはいつかのADRENALINEでのAuthority戦でどっぷりハマった。9495チームとしては戦極19章を制したという実績もある。フリースタイルダンジョンでは3代目を務めた。しかし、IDは個人で戦極や凱旋を制したことはなかった。比較するつもりはないが、同じ9495チームでMU-TONは戦極22章やUMB2018を制し、SAMは戦極19章20章と連覇していた。MU-TONやSAMに劣ってるとは微塵も思わないが実績がその2人よりはという部分があった。優勝できるというより優勝してほしいという願望だった。
 そしていざ並ぶ時間になり、自分たちはなんと先頭に並べた。完全にツイてた。ドキドキが収まらなくなった。楽しみというのもあったし緊張が凄かった。スタッフに目を向けると、タトゥーがゴリゴリ入ってて見るからに鍛えあげられた肉体の方もいたし、すごい厳つそうな外国人の方もいた。もちろん自分が悪いことをしなければそういう怖い想いはしないが、スタッフさんにまず圧倒された。
 そして入る時間になり、消毒してチケットを見せ、ドリンク代も支払っていよいよ会場に入った。そうしたらなんと、最前列のど真ん中だった。初現地がまさかの特等席みたいな場所。武者震いがするような気持ちになった。入った時既にDJ TIGUによるDJタイムが始まってて色んな曲が流れてた。ZORNが歌う『AREA AREA』やSKRYUが歌う『Mountain View』、名古屋の伝説のラッパーTOKONA-Xの音源も流れ、ボルテージはあがりまくっていた。開演5分前になり、怨念JAPによる挨拶が始まった。もちろんこのご時世というのもあり、声を出さないことを念押しされた。2、3メートルの距離で怨念をみると、画面越しでみるよりも高身長でハンサムで、24歳とは思えないオーラがあった。このご時世の中で奮闘してきた怨念はかっこいい。
 
そしていよいよ開演の時間を迎えた。凱旋の出囃子とともに怨念が勢いよく出てきて会場のボルテージがまた1段階あがる。ただ、声が思わずあがってしまった観客もいたはいたが、かなりの人がきちんとガンフィンガーや拍手で盛り上がってた。当たり前と言われればそれまでだが、意外と皆さんルール守ってるんだと思って、自分もより気をつけないといけないと気を引き締めた。
 そしていきなりラッパーが呼ばれて出てきて試合を行う。意外とテンポが速いと思った。1回戦で特に印象的だったのは、BASEが輪入道戦の1本目にいつものような大麻ネタではなく輪入道と対話で真っ向勝負をしたことだった。自分としては想定外だったし、ものすごい貴重だったなと思う。あと、対戦カード的に裂固vsMU-TONはすごい魅力的だったが、MU-TONが遅刻し、裂固が終始そこをついたため意外とあっさり決まってしまったように感じる。S-kaine vs Y-クルーズ・エンヤ戦では、Y-クルーズ・エンヤが「おち〇ち〇の話」という絵本(?)を持ち込み、独自の世界を展開したが、戦極23章でツチヤチカらを下したS-kaineが冷静に受け流した形になった。CHEHON vs ALCI戦ではALCIが歌い心あるラップをしたもののCHEHONが冷静に勝った印象がある。HIPHOPの畑に馴染んできたのか、CHEHONの即興性にも磨きがかかってきたように感じる。SKRYU vs 呂布カルマ戦は戦極23章の決勝の再戦となったが、呂布カルマの横綱相撲のような感じだった。SKRYUがセルフサンプリングやいつもの「S・K・R・Y・U」を言わなかったのが少し気になった。真ACE vs TERESA戦はTERESAがフレッシュなラップで挑んだものの流石の真ACEが一蹴した。Maiji vs GOMESS戦はMCバトルのスタンスのぶつかり合いという感じがした。ID vs 梵頭戦はバチバチの末IDがタッチの差で勝利。正直この試合は梵頭が勝ったと思った...。1回戦が終わった感想として、地元ということもあって東海選抜の面々の気合いがいつもと違っていた。特に久しぶりのバトル参戦となった裂固は、スキルはもちろんバイブスがパワーアップしていて、優勝候補だと思った。そして、強いMCは発声がしっかりしてる。心臓まで響くくらいしっかりしてた。
 ここでJP THE WAVYのLIVEがあった。正直ほとんど知らなかったが、現場ではものすごくのれて楽しいLIVEだった。途中でELIONがでてきたのはホントにビックリした。
 ここからはベスト8。まずはID vs 呂布カルマ。これは怨念がベストバウトと言ったようにリリシズム溢れるバトルだった。呂布がIDを認めてるからこそ本気で勝ちにきたし、IDもそれに負けず戦った。事実上の優勝決定戦のようなものだったのかもしれない。CHEHONvs裂固では裂固の押韻スキルが爆発し、裂固が勝利を収めた。正直裂固が取るんじゃないかと思う程の快進撃だった。S-kaine vs GOMESSは、勝負以外の重要なことを熱くラップしたGOMESSを、あくまで勝つことに拘ったS-kaineが押し切る形に。輪入道vs真ACEはビートが知ってたということもあって個人的にものすごく盛り上がれた試合だった。バイブス全開の中にもリズムキープが心地よく、沸き所の多い試合だった。声を出していい時代だったらものすごい盛り上がったんだろうな...。ちなみにビートはTK da 黒ぶち feat. ELIONの『New Life』という音源で、個人的にカッコイイと思うので是非チェックしてほしい。


 ここからはベスト4。ID vs 裂固は勝った方がそのまま優勝すると思わせるようなスキルフルな試合だった。ただIDはそこにバイブスとは異なる熱さがあったように感じた。輪入道 vs S-kaineは、連覇を目論むS-kaineを、輪入道が冷静に押し切ったが、S-kaineの実力の高さを感じた。
 そして決勝戦はID vs 輪入道。凱旋アリーナノ陣の再戦となった。3本勝負となり、まず1本目は輪入道に軍配。これはすごい納得いく試合だった。2本目は非常に拮抗したいい試合が展開された。このまま輪入道優勝となるかと思いきや結果はIDが勝利。もうひと試合ではっきりさせたい心理が観客の中で無意識に働いたのかもしれない。3本目はお互いが死力を尽くしたいい試合だった。どちらが勝っても納得できる試合で観客はIDを支持した。
 
とこういうわけでニワカなりに振り返ってきたが、正直難しい試合ばっかりで、100:0の試合なんてほとんどなかった。何を基準にしたらいいか分からない試合もあった。その中で自分なりに、筋が通ってたり、より心に響いた方に手をあげたつもりではいる。
 ここからは少し、初現地で思ったことを話したい。まず、ビートに乗って身体を揺らしてる人が予想よりもかなり少ない。自分は家で観てても自然と身体が動く方の人間で、現地でもずっと揺れてた。もちろん両隣に迷惑はかけないように注意しながらではあるが。ここまでは別にいいが座席柄、めちゃくちゃその様子がカメラに映ってしまっていた...。数試合YouTubeに載った時変に叩かれないかが少し心配ではある...。さらに、ビートに合わせて手を上下させることも思ったより少なかった。あと、ビートの音源がなにか分からなかったとしても全然乗れるし、全然楽しめることが分かった。もちろん知ってるに越したことはないが、近年は著作権の関係もあって誰もが知ってるようなクラシックが流れにくい傾向にあるとは思う。正直どうビートの勉強すればいいか分からない。細かいことを意識出来なくても、現場でビートさえかかればどうせ盛り上がれるのだ。それはLIVEでも同じことが言えると思う。とにかく楽しむ気持ちが1番必要である。音響も、最前列ということもあって心臓まで響くような大きさではあったものの、十分に楽しめる大きさだった。今回は、横浜が酷かったせいか歓声に特に敏感だった印象がある。実際2回ほど怨念から再度注意喚起的なニュアンスでアナウンスされた。それでも名古屋の観客は結構歓声を我慢してた。いや、かなり我慢してた。そのことは現地だった方には理解していただけるはずである。

 最後に、このご時世の中、中々大きいMCバトルが開かれない名古屋で開催してくれた怨念にリスペクトを送りたい。おかげでここから先もう味わえないかもしれないほどの興奮を得られた。次回は8.28の常滑。今から既に楽しみである。

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