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忍法「受験の神様」!

忍法「受験の神様」!

 私が子供の頃「伊賀の影丸」という漫画が人気があった。テレビ番組でも「隠密剣士」が大人気で、そのドラマの中で忍者が「ハーッ!!」という掛け声とともに2メートルはありそうな塀の上に飛び乗るのだった。

 私たち小学生は、その忍者になりたくてしかたなかった。ある日、私の友人のAクンが通信教育「キミも忍者になれる」コースを申し込んだ。送られてきたのは麻の種だった。そして、説明書によると
「麻は成長が早い。これを植えて芽が出てきたら毎日飛び越えよう」
 とあった。植物は毎日1ミリくらいしか伸びないだろうと思った。
「なるほど、昨日より1ミリなら高く飛べる。そのうち塀に飛び乗れる」
 と興奮した。

 もちろん、Aクンは1か月もしないうちに失望する結末だった。5センチや10センチまでは楽々と飛び越せた。しかし、1メートルまで育った麻を飛び越えることは不可能だと分かったのだった。

 受験指導をしていると、同じような人が大多数だと感じる。

 某塾が「55段階」というキャッチフレーズで集客している。
「毎回1段ずつ登って行こう!いつかは、キミも東大や京大レベルだ」
 という、スモールステップ方式だ。これは、公文式なども採用している指導方法だ。
 しかし、これはインチキ忍法と何も変わらない。


 あるレベルまでは楽勝で解ける。しかし、40段階くらいまでいくとほとんどの生徒が脱落する。最後の段階まで行けるのは2%ほどだろうか。これは、塾に行かなくても東大や京大に到達できる割合と何も変わらない。

 旧帝や国立大学医学部の合格レベルまで行くには、講師の授業を聞いただけで行けるわけがない。自分で懸命に考えて、初めておぼろげに解き方が見えてくる。そして、次の段階に進むには“自分で”次の目標を定めて試行錯誤を繰り返すしかない。


 塾や予備校にスケジュールを決めてもらい、電車のごとく次の駅、次の駅と進めば目的地に到着すると考えるのは完全に間違っているのだけれど、ほとんどの人は他人任せにしてしまう。


 受験勉強というのは「鉄道」ではなく「海路」に似ている。真っ直ぐ一直線ではなく、波に揺られて右左。嵐にも会うだろうし、下手をすると沈没する。海に道などあるわけがない。同じ方向に進む船があっても、みんな異なる海路を進むしかないのだよ。

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