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なぜ日本は「一等国」になれないのか?


 ファイブアイズをご存じだろうか?

UKUSA協定(United Kingdom‐United States of America)に基づいた機密情報共有の枠組みの呼称。 締結国が英国、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国であることから「ファイブアイズ」と呼ばれ、通信傍受網で得た情報を分析・共有し安全保障に生かしている。

 ロシアの侵略に対してウクライナが善戦している背景に欧米諸国の正確無比な軍事情報があると言われている。ファイブアイズの5か国は全て白人、キリスト教、英語圏の国だ。日本をファイブアイズに入れる話が出ているらしいが、違和感がぬぐえない。

 人種と言葉は問題ではない。問題は「キリスト教」なのだ。私はアメリカで教師をしていて気がついた。イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドは他民族国家で政治家や起業家の中にも有色人種は多い。英語は勉強すれば日本人も話せる。

 しかし、宗教の違いは簡単には克服できない。

 日本は明治維新以来、西欧の進んだ技術を学んで科学技術の面では西欧諸国と並んだ。中国も同じ道をたどっている。しかし、日本も中国も西欧と決定的に異なるのが「キリスト教」なのだ。

 受験指導をしながら日本の中学生・高校生に接していると、アメリカで教えていた生徒と決定的に異なるのが宗教的世界観なのだ。

 たとえば、アメリカには部活動という制度がない。クラスという単位もない。なぜか。それは、大袈裟に言うと「基本的人権」の問題なのだ。聖書には神様の前では人間はすべて平等だという考えが書いてある。

 キリスト教世界である西欧で市民革命が起こり、産業革命が起こったのは偶然ではない。「神様の前では全ての人間は平等である」。そう考えるクリスチャンにとって、王や独裁者という存在は悪でしかない。そこから、自由権、平等権といった基本的人権が生まれてきた。

 だから、学校でも自由権は尊重されて当たり前。教師や教育委員会より神様の言葉が優先されるから、クラブ活動やクラスの設置は受け入れがたいのだ。生徒が時間的、空間的に自由を享受できるのが正しい在り方だから、強制的なクラブや、強制的に同じ空間に押し込めるクラスは受け入れられないのだ。

 日本でクラブ活動やクラスの設置の議論をすると、まったく話が進まない。それは、絶対的な基準=神様の言葉=を共通認識として持っていないからだ。みんな自分の経験や価値観で延々と平行線の議論ばかりしている。

 そういう日本がファイブアイズの国からどう見えているのか?

 根無し草のようにフワフワと揺れ動いている国に見える。絶対的な基準を共有できないから心の深いところで理解し合えない相手に見える。信用できない。

  私のアメリカ人の友人が言いました。

「イスラム教でもユダヤ教でもいいんだけど、神様を信じている人は安心できる」

「心の中に神様がいない人は、何をするか分からないという怖さを感じる」

 と言っていました。

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