ChatGPTに2023年度「京大英語」の問題3をやらせてみた
ChatGPT に2023年度「京大英語」の問題3をやらせてみた
問題文の最初の2文は以下のようになっています。
人間、損得勘定で動くとろくなことがない。あとで見返りがあるだろうと便宜を図っても、恩恵を受けた方はコロッと忘れているものだ。
これを機械翻訳をしてみると以下のようになります。
① There is seldom anything good that comes from humans acting solely based on personal gains and losses. Even if one tries to manipulate circumstances in anticipation of future benefits, those who receive the favor tend to conveniently forget about the kindness bestowed upon them. (ChatGPT)
② It is not good for human beings to act on the basis of profit and loss. Even if you offer a favor in the hope that you will get something in return later, the recipient of the favor will quickly forget about it. (DeepL)
③ Human beings, it's not good to move on a profit and loss account. Even if you try to make it convenient that there will be a reward later, the beneficiary will forget about it.
予備校が公開している「模範解答」は以下のようになります。
④ Nothing good happens when our relations are affected by self-interest. Even if we help others in hope of a reward later, they often forget completely that we have done them a favor. (駿台)
⑤ Acting on the assumption of immediate gain or loss does not always help you. When you give a hand to someone assuming that you will eventually get something great in return, that very person may easily forget about the fact that you have helped them. (河合塾)
⑥ It doesn’t pay to follow the policy of give and take. If you do someone a favor expecting a return, it may slip from their memory. (東進)
この6種類の解答はバラバラでしょう?京大二次の英語で81%の得点率で、アメリカで教師をしていた英検1級の私なら優劣をつけることは簡単です。でも、そんなことをしたら巨大IT企業や大規模予備校を敵に回すことになる。ビビリの私にできるわけがありません(笑)。
でも、ちょっぴりだけ書くと京大二次では機械翻訳の方に軍配があがるでしょう。理由は、企業秘密で内緒。少しだけ分かってもらうために、上記の予備校の「解答」を直訳すると以下のようになります。
問題文
人間、損得勘定で動くとろくなことがない。あとで見返りがあるだろうと便宜を図っても、恩恵を受けた方はコロッと忘れているものだ。
④ 私利私欲にとらわれた人間関係では、良いことは何もありません。たとえ、後で報酬を得ようと思って人を助けても、相手はすっかり忘れてしまうことが多い。(駿台)
⑤ 損得勘定で行動することは、必ずしも自分のためにならない。いずれ大きな見返りがあると思い込んで手を差し伸べると、まさにその人は自分が助けてくれたことを簡単に忘れてしまうかもしれません。(河合塾)
⑥ ギブ・アンド・テイクの方針でやっても報われない。見返りを期待して親切にすると、その人の記憶から消えてしまうかもしれない。(東進)
信じてもらえない人は、この記事をプリントアウトして学校の先生に
「どの解答が高得点をゲットできるのですか?」
と、尋ねて確認したら?
でも、統計によると日本の学校の先生は英検準1級以上の人が51%しかいないよ(わ、教師を敵に回したか?)
私は名古屋の8つの予備校で14年間英語の指導をさせてもらったけど、予備校や塾でも似たような状況だよ。京大英語で8割やら英検1級やらの講師に会ったことは、1回だけだから。
昭和の時代、8桁の足し算を暗算で瞬間的に計算できる“天才”がテレビに登場してもてはやされていた。でも、電卓やらエクセルやらが生まれたから、そんな“天才”は1クリックの意味しかなくなった。
入試の英語も、高得点をとる生徒が“天才”扱いを受けているけど、機械翻訳やらAIの登場で1クリックの意味しかなくなった。積分計算や微分計算もスマートスピーカーに尋ねれば、一瞬にして答えが出る社会が目の前に来ている。
でも、上記のように「解答」はバラバラだろうね。だから、どの解答が美しく上等なのか判断できる目利きはいつまでも必要だよ。単純な文法の説明しかできない教師、講師は淘汰されるだろうけど。
ちなみに、上記の機械翻訳を日本文に機械翻訳したら以下のようになります。
① 人間が個人的な損得だけで行動しても、いいことはほとんどない。たとえ、将来の利益を見越して、状況を操作しようとしても、恩恵を受けた人は、その恩を忘れてしまいがちである。 (チャットGPT)
② 損得勘定で行動するのは、人間として良くない。後で見返りがあるだろうと好意を寄せても、受けた方はすぐに忘れてしまう。 (ディープL)
③ 人間、損得勘定で動くとろくなことがない。後で見返りがあると都合よく考えてみても、受益者は忘れてしまう。(Google 翻訳)
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