からメシ 第145話 二人三脚

ついに体育祭。高木さんと俺は同じクラスなので同じ赤組だ。
高木さんとどっちが勝つか勝負!はできないけどそのかわり、高木さんと一緒に競技ができる。
正直そっちの方が嬉しい

選手宣誓が終わり、競技が始まってく。
今回は結構オリジナリティの高い競技が多くなっていた(二人三脚もその一環)

まずはパン食い競走
木村が出ていたが、そもそも遅いだけじゃなくパンをその場で味わって食べててビリになってた。

次に借り物競争
なんか聞くところによるとお題が中々高難度でお題で詰むこともあるらしい。
でもエントリー時にはそんなこともみな知らず、単独で出れる気楽な競技として結構人気だった。

北条さん「なによこの【反粒子】ってお題!粒子と対消滅するから存在自体できないじゃない!」

浜口「なんだよこの【歳を重ねるにつれて、どこかに忘れてきてしまった大切な何か】ってお題は!抽象的すぎんだろ!!」

ハズレを引くとこうなる。

高尾「だ、だれか磁石もってませんか」

西片「磁石?はさすがに持ってないけど……お題が磁石なの?」

高尾「さ、砂鉄……」

とまあこんな感じでハードなお題が満載である

そんな中

ユカリ(お題は夫婦。...地味に難しいわね……すぐ思いつく、というかぴったりな2人は思いつくけど…でも……)

天川さんがチラチラと俺と高木さんの方を見る。(ちなみに同じ赤組みたいだ)

ユカリ(ああああ、でもこれをやってしまったらまたあの尊い二人に首を突っ込むことに...茶化したみたいにならないかしら)

なんか頭を抱え悩んでいる

高木さん「ユカリちゃーん!どうしたの~?」

ユカリ「へ、い、いや、な、なんでもない」

高木さん「何引いたの?お題」

ユカリ「いや…その……」

高木さんと俺が近くに行ってお題を見る

夫婦
とそこには書かれていた

ユカリ「ごめん。...高木さんと西片君しか思いつかなかったからチラチラ見ちゃったけど……でも他探すよ。あんまこういう形で目立つの高木ちゃん達嫌だろうし」

高木さん「私これで出たい」

西片「ええ!?」

高木さん「だって、西片と夫婦にお似合いってことでしょ?それを辞退なんてしたくないよ。西片はダメ?」

西片「は、恥ずかしい...けど高木さんがそれでいいならいいよ。」

高木さん「よし、じゃあ行こっか」

高木さんが俺の手をつつく

高木さん「手、繋ぎましょ?あ・な・た❤」

西片「...///」

天川さんにつれられ、手をつなぎながらゴール

係員の生徒「お題は...夫婦。……これ父兄想定して……って高木さんと西片君ですか。ならOKです」

なんなんだこの顔パスは……この係員の子二年生じゃん。学年すら違うのに。
なに、いつのまに全校に夫婦として知られてんの俺ら。恥ずかしすぎるだろ……///

「どうしたの?あ・な・た❤しゃがみこんで顔隠しちゃって」

「は、恥ずかしすぎて……///っていうかあなたって呼ばないでよ///」

「いいじゃん。たまにはさ。……そんなに恥ずかしいなら、週末もっと恥ずかしいことで上書きしよっか。」
高木さんが耳元で囁く

「そ、そういうのは……///」

「そういうのってどういうの?」

「ああもう!こんな人がいるとこで言えるわけないだろ!///」

「あははははは。顔真っ赤」

そしてついに二人三脚
同時に走る中には陸上部もいる

「取れるかな...1位」

「西片、私たちの武器は、息がぴったりなことだよ。陸上部は足が速いかもしれない。私どころか、西片よりも。でもね」
「私たちの息のぴったりさは陸上部じゃなし得ないよ?だってあっちに夫婦はいないんだからさ」

「ま、まだそれ引っ張るの?///」

「うん。///さ、私たちの番だよ。西片。」

位置について
よーい、
ドン

やっぱり陸上部は速い
どんどん先に行く。
でも、途中から転びそうになったりして

陸上部A「おい、何やってんだよペース乱すなよ」

陸上部B「ペース乱してるのはそっちやろが!」

もたつきはじめ、焦りからか口論もはじまる
そうなるとこっちのもんだ

なにしろ高木さんは完璧に俺の足を出すタイミングがわかるみたいで、俺もどれくらいの速さまでなら高木さんが付いてこれるかが、何となくわかる

恥ずかしいけどこれが……愛の力ってやつだ
な、仲の良さなら、互いを思う気持ちなら、世界中の誰にも負けない

だからこそ、この競技は、高木さんと俺は強い!

陸上部も猛追してくるが
こちらは高木さんが行ける最高速かつ、一回も少しもペースを乱すことなく
ギリギリ陸上部より速くゴールした

「やった!やったよ!西片!トップだよ」

「うん。やったね!高木さん。...俺と高木さんだから、1位取れたんだよ」

「うん。西片と私の共同作業で取った1位だね!」

まあ同時に走る4組の中で1位ってだけだし、陸上部がいたとはいえ主力メンバーは徒競走だろうし、陸上部で二人三脚の練習なんかやらんだろうし
そんなすごい事じゃないのかもしれない。

でも、高木さんと一緒に取った1位
しかも、これは足が速いとかじゃなく、とにかく高木さんと俺の息がぴったりという1位である。
だから余計嬉しかった。

そして、高木さんもめちゃくちゃ喜んでて
同じ気持ちなのが、嬉しかった。

そうしていると一気にお腹が空いたのか
ぐぅー
とお腹が鳴る

「えへへ。西片、お腹すいたんだね。この後お昼だからさ。一緒にごはん食べようよ。お弁当たっぷり作ってきたんだ」

第145話 完

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