からメシ 第137話 校外模試

修学旅行いったら間髪入れずに、土曜日に模試
勉強も中々大変だ。

でも高木さんのお陰で何とかなっている気がする。

「成績良くなってたら、バレンタインには取っておきのご褒美あげるからね。」

となにか意味深なことを言っていたな

さて、試験会場は香川県坂出市にある
神樹館大学附属高等学校で行われる。
神樹信仰という古くからある信仰の神道組織が母体の私立高校で設立は古く、和洋折衷の明治時代っぽい感じの風格の建物だ。

「うちの高校以外の高校初めて入ったや。」

「そうだね。島の高校以外学校見学とかも行かなかったしね」

「まあ、西片の行く高校以外、一切眼中に無かったからね。西片がここ受けてたら話は別だったけど」
「でも、こないだの自宅試験とは違って、学校でやる模試は本番の試験みたいな感じだから、試験の緊張感とかも味わえるよ?」

「そうだね。」

試験会場は大講堂みたいなところに案内される。

偶然か申し込みが同時だったせいか高木さんと隣の席だ

「良かった。西片が隣の席で」

「うん。俺も安心した。」

「大丈夫だよ。西片。西片には私がついてるから。...それに、私には西片がついてるから。大丈夫。」
「私と、西片は、二人一緒なら、なんだってやれる。乗り越えられるよ。」

高木さんが俺の手をぎゅっと握る。

「うん。」

「さ、試験そろそろ始まるよ」

開始の合図と共に問題を解いていく
あれ、結構解けるぞ?
これも高木さんのお陰だな。

昼飯は高木さんが作ってくれたカツサンドである。勝つというゲンをかついでいる。

「相変わらずおいしいや。高木さんのお弁当は」

「ありがと。西片、ほっぺに衣ついてる」

と、高木さんがいうとそれをつまんで食べた。

「た、高木さん!ひ、ひ、人前だから///」

「うん、だから口で取らなかったんだよ?」

「そ、そうかもしれないけどさ……///」

と、ご飯を食べ、午後の模試を受けた。

---

「試験終わったー!」

「終わったね。どうだった?」

「難しかったけど…前よりは手応えが」

「そっか、それは良かったよ。…西片、せっかくだし、大学見てかない?私たちの受ける大学じゃないけど」

「ええ!?大学って勝手に入って平気なの?」

「基本的に出入り自由だよ。雰囲気だけでも見てこうよ」

「……そうだね。」

神樹館大学の門をくぐり、噴水のある広場を歩く。

そう、上手く行けば高木さんも俺もあと1年ちょっとで大学生だ。高校生活も60%くらいは過ぎたのだ。高木さんと一緒だから、かなり濃密な幸せな高校生活だったが。
もうあと1年ちょい。大学からももちろん一緒にいるけど、高校時代は1生に1度。大事にしないと。

でもその一方で大学生活も楽しみだったりする。もう結婚出来るようになるし。高木さんも望んでくれたら…一緒に暮らして大学に通ったり……け、結婚だって……。

「一緒のキャンパスライフも楽しみだね。一緒の授業受けてさ、一緒に講義聞いて、学食で一緒にご飯食べてさ」
「サークル活動……は興味ないけど…でも西片と二人きりでサークル立ち上げるのはやってみたいかも。誰も募集しないでさ。」

「どんなのにするの?」

「西片研究部とか?」

「やだよ自分で自分の研究なんて///たしかに高木さんしか入らなそうだけどさ!」

「あははははは。それでね、一緒の家に帰るの。西片と。これが一番やりたいことかな」

「うん。そうだね。」

「……そ、そうしたらさ。……西片。私も、西片ももう……結婚出来る歳なんだよね。」

「……うん。」

「……ふふふ。楽しみだなあ。楽しみにしてていい?西片。」

「うん。」

高木さんも同じ気持ちなのか。
一緒に暮らしたい…すぐにでも結婚したいって思ってくれてるようなのが嬉しかった。
もう、高木さんは俺の一部、俺は高木さんの一部みたいなものだ。だけど、もっともっと、絆を深くしたい。朝起きた時から夜中寝てる時まで、ずっとずっと一緒にいたい。

……正直、大学生になるにあたり、一番楽しみなのはそれだったりする。目を開けてる間常に高木さんが視界の中にいて、目をつぶってなお、高木さんの温もりを感じながら寝れる。…寝れるのか……まあそれは置いといて
そんな毎日を続けられるなんて、なんて幸せな事だろう。

ついでに大学の建物内にも入ってみる。

「そっか、西片はそんなこと考えてたのか。うれしいや。私と同じこと思ってくれてて。」

お、俺言ってないんですけど!

「な、なんで分かるの!?」

「そんなのわかるよ。西片がずっとずっと大好きで、西片とずっとずっと一緒にいて、西片のことだけ見てきたんだよ?私。もう西片より西片に詳しい自信があるよ」
「おはようからおやすみまで、…おやすみ中もか。毎日西片一緒だなんて。24時間365日、西片と一緒。こんな幸せなことは無いよ。私にとって。」

「と、トイレとかお風呂あるから24時間では……」

「お風呂は毎日一緒に入るでしょ?あーでもそっか。トイレかあ…そしたら、私も一緒にトイレ入っちゃおうかな?」

「そ、それは勘弁してよ!///」

「あはははは。冗談だよ。…半分は」

「半分本気なの?///」

「そうかもね。」

「…///」

「あはははは。西片顔真っ赤だよ」

授業をやってる部屋もあるが、空き教室もある。

「入ってみようよ。空き教室」

「いいの!?」

「出入り自由なんだし大丈夫だよ。多分。」

「多分!?そういうのやめない?」

「大丈夫だよ。大学生の雰囲気を味わいたかった。って言えば。」

「ってもう高木さん入ってるし!」

「へー。こんな感じなんだ。机がくっついてる感じなんだね。」

「高校と違うね。」

「うん……ところで…誰もいない教室に…大好きな人と二人きり。…何も起きない訳もなく…」

高木さんが俺を抱き寄せてくる

「な、何も起きないから!///いくらなんでもこんな所でそんなこと!///」

「あはははは。顔真っ赤だよ。…でもさ、キスまでならいいんじゃない?」

「うん。」

ちゅっ。ちゅーっ。ちゅっ

唇を重ねたり、唇を吸うようなキスをしたり。
大好きな人との本当に幸せな時間だ。

「西片。だーい好き。」

「俺だって…高木さんの事、す、す、好きだし…///」

「知ってるよ。西片はよっぽど、好き過ぎないと、口に出して好きって言ってくれないもんね。」

しばらく、何十回とキスしてると、隣の教室の講義が終わったのか、廊下がにぎやかになる。

「人はけたら、教室出よっか?」

「うん。」

そうして、教室から出て、大学も後にし、俺と高木さんは島に戻った。

---

模試の結果が届く
俺の部屋で一緒に見る。

「まだまだ合格可能性0%か…厳しいな」

「でも西片、偏差値35から46まであがったんだね。勉強の成果だよ。このまま続けたら、大丈夫だって。」

「高木さんも63から67に上がってるんだ?」

「うん。いい調子かも」
このまま行けば特待生狙えるかな。

「さ、バレンタインにはご褒美あげちゃおう」

「ち、チョコだよね?」

「もちろんチョコはあるけど、バレンタインは女の子が大好きな男の子にあげたいものをあげる日、だからさ。チョコだけじゃないよ。しといてね。覚悟」

と、高木さんが俺の首筋をぺろっとする

「ひゃう。」

「あはははは。いい反応w」

バレンタインで高木さんが何をしようとしてるのか、今のも含めもうだいたいわかる。
恥ずかしいけど。ちょっと楽しみかもしれない。
いや、別にそういうことしたい訳では。

「西片は、別にそういう事したい訳ではって言ったり思ったりする割に体は正直だよね。ほら、それとか」

「……///こ、これは別にそういう……」

「えっち。」

「いやだからさ、///」

「むっつり。」

「ごめん…」

「ううん。嫌とかダメとか言ってないよ。西片のむっつりスケベなとこも含めて私は大好きだからさ。
すぐに恥ずかしがっちゃう所も恥ずかしがってる割にすぐに大きくなっちゃう所もね」

「…好きって言ってくれるのは嬉しいけど…そこの部分を好きって言われるのは、恥ずかしい!///」

「あはははは。真っ赤だよ。顔。」

今回の模試で大学をちらっと見てきて
高木さんとのキャンパスライフ
そして高木さんとの暮らしをしっかり想像できて
上手く、2人とも受かれば、24時間365日高木さんと一緒にの生活。夢のような日々が実現するんだ。と思うと。一気にやる気がみなぎってきた気がする。

高木さんとの二人暮しが原動力っていうと、他の人からしたら邪道に見えるかもしれないけど
でも俺と高木さんからしたら、これこそが望む道。大学に入れば実現する、ずっと一緒に、毎日朝から夜まで過ごすということこそが目標になる。
二人で一つの人生を、手を繋ぎながら歩む。それが俺と高木さんの生き方だ。

第137話 完

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