からメシ 第148話 N❤T

雨の日の土曜日。俺の部屋で高木さんと一緒に勉強している。

「あーもう勉強つかれたー。」

「じゃあさ、西片。気分転換にえっちでもする?」

「勉強どころじゃ無くなっちゃうから!///だいたい気分転換とか軽いノリでそんな事…」

「軽いノリとかじゃないんだけどなあ。…じゃあ気分転換にセックスでもする?」

「せ、セックスって言わないでっ///だいたい同じじゃんか!///」

「あははははは。西片顔真っ赤。」

「全くもう……」

「でもちょっと休憩にしよっか。ご休憩。」

「だから!///」

「えー、西片はご休憩って言われて一体何想像したのかなあ~?普通に紅茶入れてくるってだけのつもりだったんだけどなあ。」

「ち、違うし///」

「そういう事にしといてあげるよ」

高木さんめ!
いつなんどきでも俺をからかってきて!

高木さんが紅茶を入れてくれた。
「どうぞ、西片。ピーチティーでございます」

「いただきます。……美味しい!高木さんは紅茶まで入れるの美味いんだね」

「いえいえ。色々拘ってるからね~。それに西片も私にいれるの上手いよね~」

「だ、だからっ///」

「あははははは、顔真っ赤だよ西片。……ところでさ……」

「どうしたの?」

「前にさ、高校三年生で高校最後の一年だから西片と二人でなんか大きなことしたいなあって言ったよね?」

「うん。」

「それでさ、文化祭でなんかできないかな~と思って昔の文化祭調べたんだよ。そしたら三年次は特進クラスはクラスとしての出し物はなくて、かわりに個人や有志の集団で出し物出してもいい、みたいな感じでさ」

「そうなの?」

「うん。結構受験特化みたいなコースみたいだからね。この学校文化祭の準備にかなり時間取るしね。
なにしろ授業終わったあとに準備、前日は終日準備。特進クラスは補習もあるし、三年次二学期ともなると、なかなか時間取れない。ってのが本音だろうね。」

「そうなんだ。……じゃあ高校の文化祭で出し物出すのは去年が最後ってこと?……なんか寂しいというか…残念だね……」

「西片、去年が最後じゃないよ。個人や有志の集団での出し物は可って言ったよ?つまりさ」

「……もしかして……」

「西片と私で、バンドやりませんか?」

「ば、バンド!?」

「せっかくだから作詞作曲して曲作ってさ」

「き、曲作り!??」

去年が最後じゃないよって言った時、もしかして高木さんと俺でなんか出し物をしようっていうのかなと思ってたけどまさかの作詞作曲してのバンド?

「…は、ハードル高すぎじゃない?楽器なんてやった事ないんだけど。そもそも持ってないし」

「お父さんが若い頃ちょっとギターとか嗜んでたみたいで楽器は家に少しあったはず。あとおばあちゃんも私が小さい頃なんかやってたかも。名前忘れちゃったけど」

「……でも俺みたいに楽器触ったこともないような人が文化祭までにまともに弾けるようになるのかな?聴くに絶えない演奏になっちゃわないかな?引っ込め下手くそ!って大ブーイングになったりとかさ」

「最初はどんな人も下手だよ。プロとかじゃなく文化祭の出し物なんだしそんなこと言わないんじゃないかな?」
「それにもし、みんなが西片の事下手だの引っ込めだの言っても、私だけは、よく頑張ったね。って言うよ?…それだけだとダメかな……?」

「……ダメじゃない…けど…やっぱ怖いよ。時間が限られてる中、新しい事するってのは。」

「西片、西片はひとりじゃないから。私が絶対隣にいるから。私にも西片が隣にいるから。だから大丈夫だよ。」

「……そうだね。やってみよっかとりあえず。」

「上手く演奏したり歌ったりすることが目的じゃないからさ。西片と私でやることが大事なんだよ。」

「…うん。……って歌もあるのか」

「折角だからさ、全部一からやりたいなって。私と西片だけの曲」

「…なんか面白そうになってきたかも。少し。」

「でしょ?もしどうしても厳しかったら、やっぱ辞めたりとか、大学入ってからやってみたりとかしたらいいしとりあえずやってみよ。」

「うん。」

「じゃあ明日はうち来て貰っていいかな。西片。勉強ももちろんするけど、勉強がてらお父さんにうちにある楽器とか、簡単な楽器、上達しやすい楽器はなにかとか。聞いてみるからさ。」

「そうだね。」

「……今日はあとバンド名決めようか」

「たしかにバンド名ないと味気ないよね」

「高木とよくからかわれる誰かさん。とかは」

「俺のことからかわれてる宣伝しないでよ///」

「あはははははは。冗談。冗談。」

「……T&Nとかは?」

「なかなかかっこいいね!西片、高木だよね。…ただ私的には西片が先の方がいいかな。西片あっての私だし。あと、&じゃ味気ないから」
「N❤T、とかどうかな」

「は、ハートマークは恥ずかしいって///」

「イニシャルなんだからそんな恥ずかしくないと思うな~。それにそれ言ったらこないだのチアガールの時のが恥ずかしいんじゃない?」

「!……そ、それはそうだけど……///」

「私もあれは恥ずかしかったなあ~。西片に…大好きな人に…0距離で大事なところ見られちゃって、ぺろぺろされて、気持ちよくなって…い、色々出てきちゃって……///」

「ご、ごめん!///」

「いや、いいんだよ望んでた事だし嬉しかったし。幸せだったし…またして欲しいし…///でも、そういうのに比べたら西片も恥ずかしくないんじゃない?ハートマークくらい」

「……そうだね。」

「じゃあN❤T、(エヌハートティー)で決まりでいいかな」

「うん。それで行こっか。」

「じゃあ決まり。明日よろしくね。西片。さ、今日はあとは勉強だよ。」

「えええええまだ勉強するの?」

「受験生なんだから当たり前だよ~。勉強以外にも色々するけどね。」

こうして、高木さんと俺で文化祭で作詞作曲してバンドをやることになった。
上手くいくか心配だけど、きっと楽しいと思う。高木さんと一緒だから。

バンド N❤T、結成である

第148話 完

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