からメシ 第136話 帰還作戦

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高木ちゃんが何しに行ったのかはやっぱ気になるけど、気にしちゃダメだ。また傷つけちゃう。
全力でサポートするわよ。そんなので償いになるとは思えないけど。

ユカリが決心した矢先、事件が起こる

ユカリ「サナエからLINEだ」

LINE

なんか私の部屋の前に高尾とかいう変な生き物がゲーム機持ってうろついてたらしい。
先生に捕まって大騒ぎに。好きな子とゲームやりたかったと供述してる模様。奴ってうちの班の誰か好きなの?どうでもいいけど。それで先生が見廻り始めるらしい >サナエ

ユカリ「相変わらずサナエは鈍いわねー……ってそうじゃないでしょ!ヤバイヤバイヤバイヤバイ。ほんとに見廻り来るなんて。なんとしてでも高木ちゃんがいないのを隠し通すのよ!」

班の人A「もういいじゃん。」

班の人B「どうせ西片君と宜しくやってるんでしょ」

ユカリ「そういうこと言っちゃダメ!」

班の人C「なによ。昨日ユカリが一番高木さんに突っ込んで聞いてたくせに」

ユカリ「うるさい!とにかく班長命令よ!隠し通すわよ!」

サナエにも協力頼まないと…

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先生方「この階段の方で声しなかったか?」

ヤバイヤバイヤバイヤバイ

西片「高木さん。ソファーの後ろに隠れるよ。」

高木さん「うん。」

ソファーの裏に隠れる。高木さんを後ろから抱き抱える感じで、高木さんと密着する。2人とも頭を下げ、見えないようにする
高木さんの息遣いが聞こえる。心臓の音が聞こえる気がする。高木さんの背中の、おしりの感触が……
ドキドキする。...ドキドキする

すぐ側まで懐中電灯の光に照らされる。
すぐ横が照らされているのがわかる。
その時だった。

「おい!そこの女子!何、廊下を全速力で走ってんだ!」

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LINE

ユカリ< 高木ちゃんが私の部屋にいないの隠すの手伝ってくれない!先生に見つかったら大変なの

                      なんで私がそんなこと>サナエ

ユカリ<あんたは手伝わないとダメ。

          だからなんで私がそんなこと>サナエ

ユカリ<...中2の時の文化祭。あのとき、やたら私たちだけで盛り上がっちゃって、あんたと私で勝手に劇の配役決めちゃったことあったじゃない。
あれ、高木ちゃん、物凄く傷ついてたみたいなの。...最終的には木村君じゃなく、西片君になったけど。結果論じゃない。
……高木ちゃん。ずっと西片君のこと大好きだったのに、その気持ち無視して酷いことして。傷つけてたの。

ユカリ<だから、いま、私とあんたには何がなんでも、高木ちゃんを庇う義務があるの。わかる。

                                             ...そうね>サナエ

                         でも一体何をしたら>サナエ

ユカリ<わかんないわよ!自分で考えなさい!

      わかったわよ。自分でなんとかするわ。でもあんたのそういうとこムカつく。考えてから文字打ちなさいよ>サナエ

ユカリ<うるさいわね!あ、先生来た。一旦辞めるわよ

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コンコン

先生「入るぞ」

ユカリ「ああ、せ、先生。何かあったんですか」

先生「男子生徒が女子生徒の部屋のドアの前でゲーム機持ってウロウロしてたらしくてな。いるんだよ。しかも女子部屋に入りたかったそうだ。いるんだよこういう生徒が。
部屋のメンバー全員いるか、男子生徒が入り込んでないか調べさせてもらうぞ。」

ユカリ「う、うちの班は全員いますよ。ほら。」

先生「高木は?見当たらないが」

ユカリ「高木ちゃんは体調悪くてもう寝てます。」

ミナ「海鮮丼も残して西片君に食べてもらってたし。」

先生「本当か?怪しいぞ?なにしろ高木の交際相手の西片もいないんだ。二人でどっかいってるんじゃないのか?……布団、確認させてもらうぞ?」

ユカリ「せ!先生は!体調悪くて寝てるって生徒を!そんな下らない疑いでわざわざ叩き起こすような真似するんですか!?しかも女子の布団をめくるなんてセクハラですよ!」

先生「おい!なんだその...」

ユカリ「体調悪い生徒はゆっくり寝かせてあげるのが本当の教育者では無いでしょうか!い、いくら凄んでも正しいことをしなければ生徒はついて来ませんよ!」

先生「……それもそうだな。...すまなかった。」

バタン

ユカリ「し、し、死ぬかと思った~。...内申点死んだかなこれで。ああ、私の指定校推薦……。」

ミナ「別に変なこと言ってないし大丈夫じゃないの?あんなので成績下げたら先生のが問題だよ~」

先生「おい!そこの女子、何廊下を全速力で走ってんだ!しかも消灯時間過ぎてんぞ!」
びくっ

なんだ...外か。よかった~

ん?全速力で?走る?なんか引っかかるなあ

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高木さんと俺は、
ソファーの影からそっと出て、恐る恐る階段から覗いてみる。もちろんすぐに戻れるように。

サナエ「いや、だって外雪だし。廊下しか走るとこないじゃないですか。」

先生「何を言っとるんだ君は!」

サナエ「修学旅行でもう2日も走り込みしてなかったんですよ。毎日走り込みしなきゃいけないんだから、仕方ないじゃないですか。」

先生「ああもう!」

どうやら声は月本さんのものだと思われたらしい。
なんとか事なきを得た。

とりあえずまず何とか高木さんを返さなきゃならない。
壊れた備品置き場にいたせいか、高木さんも俺もなかなか埃まみれだ。

「部屋帰ったらシャワー浴びよ。...シャワー浴びたらまたユカリちゃんに、西片君と何してたのって誤解されちゃうかもだけど」

「そ、そんなことしてないのに///」

幸い高木さんの部屋は割と近くにある。
しばらくして先生の気配が無くなったタイミングで階段下から俺だけ出て左右前方確認、安全が確認できたら高木さんを手招きして呼ぶ

「なんかスパイ映画みたいだね。それか愛の逃避行」

「た、高木さんはこんな状況でも楽しいの?」

「うん。楽しいよ。なんでだか分かる?」

「わ、分からない。俺はいつ先生に見つかるかと不安だし……」

「西片と一緒だから。だからこんな状況でも楽しいんだよ。」
「私が楽しいのは、幸せなのは、全部西片のおかげ。西片とずっと一緒にいるからだよ。」

「……///」

何とか先生の目をかい潜り、高木さんを部屋まで送った

俺も部屋に戻ろうとすると

先生「西片ぁ~どこいってたんだお前!」

西片「ひぃぃ」

結局高尾とともに怒られた。
(もちろん高木さんのことは言わなかった。あくまでトイレを探してたら迷った、大だったから時間かかった。を押し通した)

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LINE

        廊下を走って誤魔化しといたわよ。他の騒動があれば部屋にいないのバレなかったんじゃない?>サナエ

ユカリ<ええと、私だけで何とかなりました

             なにそれ。私怒られ損じゃない。>サナエ

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高木さん「ただいま~」

ユカリ「おかえり。高木ちゃん。」

高木さん「うん。ちょっとシャワー浴びるね」

か。帰ってきていきなりシャワーって高木ちゃん、西片君と一体何したの!?……ってダメ!ダメ。そのせいで傷つけちゃったんじゃない。私のバカ!


シャワーから出てきた。

高木さん「...あれ。私の布団の下に...荷物が……」

ユカリ「...ごめん。勝手に。先生の見廻りがあったから、誤魔化そうと思って。」

ミナ「ユカリちゃん先生に口ごたえしてまで高木ちゃんのことかばってたんだよ」

ユカリ「こ、こんな事で、今までの事、許してもらえると思わないし……私の事許さなくてもいい。でも、せめてこれくらい出来たら...と思って」

高木さん 「ありがと。ユカリちゃん。……もう許してるよ。ごめんなさい。こっちこそ、ユカリちゃん、悪気ないのに怒鳴っちゃって。」

ユカリ「なんで高木ちゃんが謝るのよ。悪いのは私。...中学の文化祭の時も。自分たちで劇作るんだー!ってのに頭がいっぱいになっちゃって
高木ちゃんの気持ち考えられてたらさ、最初から有無を言わさず西片君を王子役にしてたのに。あの時も、昨日もなんも高木ちゃんの気持ちなんて考えてなくて…本当にごめんなさい。
でも、私これからは変わって、高木ちゃんの気持ちを考えられるように頑張るから。もう二度と文化祭の時みたいなことしないし、西片君との関係について聞いたりしないから」

ミナ「私も、ごめんなさい。中学の文化祭の時も、昨日も……」

高木さん「うん。わかってくれたならいいよ。もう大丈夫だから。……ちゃんと友達だとおもってるよ」

ユカリ「ありがとう。」

ミナ「ありがとう。」

ほかの班の人たち(……き、気まずい……)

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次の朝、朝食を食べて、修学旅行もいよいよラスト。

バスに乗るためにホテルの前に集合してた時。

サナエ「あの...」

高木さん「なに?サナエちゃん」

サナエ「...中二の文化祭の時のこと、本当にごめん。」

高木さん「うん。」

西片「高木さん、どうしたの?」

高木さん「仲直りしたんだよ。友達と」

西片「そっか」

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雪景色をバスに揺られ、
新千歳空港。
そしてそっから飛行機で伊丹空港、バスで高松、そっから小豆島へと帰る。

帰るまでが修学旅行だ。
だから高木さんを家まで送っていく

「楽しかったー修学旅行」

「それはよかったよ」

「久々に大勢での旅行はちょっと疲れたけどね。やっぱ西片と二人っきりの旅行が1番だよ」

「...それは俺も同じだったり……///」

「えへへ。嬉しいな。……また行こうよ。スキーもスノボーも。今度は二人きりでさ。」

「うん。行こ!」

「二人一緒だったらどこだって行けるしどこだって楽しめるよ」
「さ、明日から切りかえて勉強だね。」

「うへぇ……」

「やさしく教えてあげるからさ。それに遊ばないとは言ってない。」

「そうだよね。」

「えっちなことしないとも言ってない。」

「そ、それはなるべく控えようか…///」

「あははははは。西片顔真っ赤だよ」

良かった。高木さんが元気になって
明日からまた思う存分高木さんにからかわれよう
って、あれ、これなんかおかしいかな…?

第136話完

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