からメシ 第162話 高木-takagi- 休息

15分間の休憩
対局室のドアが開く。

高木さん「西片っ❤」

高木さんが駆け寄って抱きついてくる。

西片「た、高木さん!?み、みんな見てるからっ///」

高木さん「あ、ご、ごめん。でも前半トップだよ。西片。」

西片「すごいよ。高木さんやっぱり」

高木さん「ありがと。」

戒能「やっぱ仲いいね~~。高木さん達」

あ、高木さんが抱きついたままだ
西片「た、高木さん。そろそろは、恥ずかしいからは、離れて///」

高木さん「えー。じゃあ。手だけつながせてよ」

西片「……///うん。」

高木さんと手をつなぎながら控え室に戻る

~~
尼ヶ坂女子控え室

丹羽「もうわかってると思うけど、高木さん、普通じゃないわ」

高橋「毎回必ず西の暗槓がある。また、2と4の牌はあくまでセットで集まって非常に暗刻になりやすい。それによって打点も速さもある。西家で特に速くて西家だと必ず西がドラになるし打点も高くなるって所?」

丹羽「西家だと必ず和了るのかもしれないわね。あと牌譜見ると高木さん以外の人に2の牌と4の牌がセットで来ることが一度も無いの。つまり手牌に2があったら4、④、四はその局絶対に来ないわ。」

高橋「やっぱり…」

~~
千里山控え室

椋「ユズお疲れ~。」

行長「ちひの言ってた通り、高木さん凄いわ」

椋「あれは私でも絶対勝てるって言いきれない。私の知ってる中じゃ白築の次くらいに強いよ。しかもまだ、切り札と奥の手隠してる。自覚してるか知らないけど」

行長「うん。オーラス、私が和了れると思って、リーチかけたのに和了れなかった。あの時だけ、それより前と違かった。何が違うのか分からないし、高木さんも自覚してないかもだけど……高木さんが気づかなくても小豆島の部長さんならもう気づいててもおかしくなさそうだよね。」

椋「県予選には高木って奴はいなかったからね。小豆島はあいつ無しでも部長の戦略だけで県大会勝ち上がってきたチームだけんね」

~~
大生院控え室

後輩部員「お疲れ様です。戒能さん。……どうですか?」

戒能「高木さんが強いね~~。特定牌が縦に集まるのと西の暗槓から嶺上開花や槓ドラまで視野に入るせいで火力も速さもめちゃくちゃあって、正直手強すぎる。
けど2と4の牌が集まるなら3を狙え撃てばいいし、1と5も出やすいから守りはかなり薄いからね~~。もう好き放題にはさせないよ~~。」

戒能「ただ……」

後輩部員「ただ?」

戒能「最後の片牌シャボ待ちが気になるかな~~。オーラスまであんな打ち方してなかったのに、なにか気付いたのかな~~」

~~

六車「高木ちゃん。ちょっといいか。アドバイスや」

高木さん「はい。」

六車「2の牌と4の牌、ポンできそうならポンするのもありやで」

高木さん「それだとにし、って揃わないですよね?」

六車「いいから、ちょっとやってみるけどまず④をポンするやろ。ポンする時はこう卓の右端にバシッておくやろ?」

④④④|卓の右端

六車「次に二の牌をポンする。バシッて右端に置く時、こう置いてもいいんや」

二二二|
④④④|卓の右端

高木さん「あ、にしだ!」

六車「やろ?これ縦にみるとちゃんとにし、って読めるねん」

すみれ(いかににしを作るか。もはや麻雀ってゲームじゃない気がするけど…)

高木さん「でも4の牌のあとに、欲しい2の牌が河に出るかどうかなんて分からないですよね。」

六車「高木ちゃんなら何となくわかるんやないか?それも。」

高木さん「確かに。」

すみれ(わかるんだ……。)

六車「次にな、高木ちゃん。高木ちゃんのオーラスの和了りだけど、二と⑨の待ちだけど⑨は河に2枚出てて実質二だけの待ちだったやろ」

高木さん「あれ、二の方が和了れる気がしたんで。もっと言えば⑨は残しといた方がいい直感がしたんで六の対子落とししました。」

六車「正解やで。聴牌して2種類の対子の待ち、例えばオーラスの例だと二二と⑨⑨で二⑨待ちやが、⑨は聴牌より前に既に河に2枚出て和了れない待ちのことを片牌シャボ待ちっていうんや」

高木さん「そうなんですか。普通なら和了りにくくなりそうです……けど……」

六車「片牌シャボ待ち、積極的に狙っていけ。なにせ片牌シャボ待ちってのはこう書くんや」

片牌シャボ待ち

高木さん「西片の片!」

六車「そうや。西をカンして片牌シャボ待ちしたら絶対和了れる気、するんやないか?」

高木さん「西片だもん。絶対和了る。」

六車「後こういうのもオススメや。456と鳴きをして…高木ちゃんのの制約上456鳴く時に2の牌より4の牌の数が手牌に1つ以上多い制約は付くけど、それで西を暗槓」

456
西■■西

六車「手牌がその後2をツモったりなんやかんやしてこうなった時…」

22四五六⑤⑥/456西■■西

六車「⑦引いても役なしで和了れんけど④引けば三色同順で和了れるんや。これ、片方の待ちだと和了れない和了り、なんて言うか知ってるか?片和了りって言うんや。字で書くと」

片和了り

高木さん「西片の片だっ!」

六車「そうやろ。西を暗槓して片和了。これも絶対聴牌したら和了れる気、するんやないか。」

高木さん「これも絶対私なら和了る。」

六車「その意気や、あと、後半戦の東場、前半戦南場の後、てことは実質西場、って考えられんか?」

高木さん「……起家マークも西になったり、場風牌も西になったりするんですか?」

六車「そうはならんけど…」

高木さん「じゃあやっぱり東場って気がしますね」

六車「うん。やけど頭の片隅に置いといてくれ。東場やけど西場に近い感じというか」

高木さん「できればやってみます」

すみれ「まずい、そろそろ時間。西片君送ってあげて」

西片「分かった!」

~~
すみれ「部長、なんで前半戦からこれアドバイスしなかったんですか?」

六車「片牌シャボ待ちと片和了の件はさっきのオーラスでもしかしてと思ったんや。前半戦開始前には考えてなかった。ポンの件は始まる前にもしかして、とおもっとったがな」

すみれ「じゃあどうして……」

六車「撹乱や。前半戦で全部見せたら後半戦は丸々対応される。相手は前半戦で高木ちゃんの能力全部わかった気でいるからな。
そこで打ち方変えてさらに、新しい未知の能力が来ると相手は一気に混乱する。対応は前半戦より遅れるやろな。また東場は高木ちゃんの独壇場や。南入した頃にはまた対策練るなり対応してくるやろうけど西家では和了れるし問題ない。」
六車「それにポンの件も片牌シャボ待ち片和了の件も鳴いた時特有やから打点は下がりがちや。速さは速くなるやろうけど。今のタイミングで伝えて後半戦に相手を混乱させるメリットのが大きい。
あと、後半戦の東場が実質西場の件はむしろ時間が経つほどやっぱこれ違うってなるやろうから、今のタイミングがベストや。そもそもあの感じだとあまり有効じゃない気はするが」

~~
西片「ちょっと走るよ。高木さん」

高木さん「うん。」

高木さんの手を引いて走る
対局室の前へ着く

西片「じゃあ。高木さん。頑張って!」

高木さん「ありがと。西片。」

高木さんが後半戦に向け、対局室に入っていった。

第162話 カン

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