からメシ 第149話 楽器

という訳で翌日。高木さんの家に行く。
今日はご両親もいらっしゃるみたいだ。

高木さん父「いらっしゃい。西片君」

高木さん母「いらっしゃい」

西片「お邪魔します。お世話になります。」

高木さん「西片。おはよう。さ、あがってあがって」

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ご両親もいるので早速本題に入る

西片「じ、実は…高木さんと俺で……文化祭でなにか楽器をやってバンドをやろうかなと思ってまして…」

高木さん「お父さん若い頃楽器やってたっていってたよね?それを借りれたらなって。あと、簡単に出来る楽器ってあったりする?」

高木さん父「うーん。たしかに昔ギターとかやってたけど…簡単じゃないよ?」

西片「そうですよね。……簡単な楽器なんてありませんよね」

高木さん父「…あ、でもたしか自分の母が生前やってた楽器なら…」

そういうと高木さんのお父さんは倉庫に案内してくれた。

高木さん父「これこれ。」

高木さん「あ、これおばあちゃんが、私が小さい頃、弾いてた…ワイキキだっけ?」

高木さん父「ウクレレね」

高木さん「……///」

高木さん、間違えて覚えちゃってたのかな
たまにこういうとこがあるのがまた、たまらなくかわいかったりする
……こういうとことかからかい返せたら、からかわれっぱなしじゃなくなるかもしれないし、からかわれなくなるのかもしれない

でも、こういうかわいさも俺は見ていたいのでそのままにしておく
……というか、高木さんにからかわれるのも、今は悪くないと思っているし

埃被ったウクレレケースをタオルで拭きながら高木さんのお父さんが話す

高木さん父「ウクレレは簡単な楽器って言われてるんだ。…っていっても、楽器触ったことない人がやる時点でもちろん練習は必要だけど。でもギターよりかなり楽だと思うよ」

西片「そうなんですか。」

高木さんのお父さんがケースを開ける
高木さん父「ほら、西片君、触ってごらん」

高木さんのお父さんがウクレレを手渡す。

弦をはじいてみると音が出る

西片「うぉぁ!すごっ!音出た!」

高木さん「っぷ。あはははははは。うぉあ!って、何そのリアクションw。それに楽器なんだから音出るの当たり前なのにw」

前言撤回。からかいかえしてやる。

西片「高木さん、笑ってるけどこれワイキキじゃなくてウクレレだよ?」

高木さん「ごめんごめん。そうだよね。じゃあ、名前間違っちゃったお詫びにさ…あとで…」

高木さんがなにやら俺の手の手のひらに文字を書く

なになに

セ ッ ク ス し て あ げ る

って
西片「ちょっ!高木さん///」

高木さん「んー?どうかした?西片?」

西片「な、なんでもないっ!///」

高木さんめ~!
お父さんがいるから反論しにくいのわかってわざとこんなこと
からかわれたままでは終わらないんだよな高木さんは

高木さん父「結局これにする?」

西片「よ、宜しければ。…でもいいんですか?それ、高木さんのおばあちゃんの……」

高木さん父「いいんだよ。娘か西片君が弾くんだから。それに楽器は演奏しないと意味ないからね。」

西片「ありがとうございます」

高木さん父「ただ、簡単な楽器っていってもある程度は難しいと思うよ?1日2日で出来るようなもんじゃないからね。例えばコードっていっても分からないだろう?」

西片「コンセント?それ電源いる楽器なんですか?」

高木さん父「ほらね。多分調べないといけないこともあると思うし、ある程度聴ける演奏にするのも大変だと思う。練習だってそれなりにはしないと」

西片「わかってます。」

高木さん父「あと、君ら二人だけの演奏なんだから私は口出しないよ。教えたりもしない。…娘も西片君が大好きだし、西片君も娘が大好きだから、二人だけの演奏にして欲しい」

高木さんのお父さんが言うことは、教えるのが嫌だとか、忙しいからとか、俺に教えたくないとかじゃなく
高木さんと俺の関係を尊重してるからこそのやさしさなんだと理解出来た。だから

西片「ありがとうございます。」

と深く頭を下げた。

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高木さんの部屋へ

「じゃあ、さっき言ったとおり、…せ…セックス…する?」

「しないよっ!セックスって言わないでっ///大体お父さんいるのにあんな……」

「わかってるよー。西片に配慮したから手のひらに文字書いたんじゃない」

「だからそういう事じゃなく///」

「ちぇー。…私は毎日でも西片としたいのになあ。夏祭りの初めての日から9ヶ月たつけど…入れてくれた日で数えるとまだ4日しかないもん。」

「…そ、そうだけど」
やばい。そういう話するから…おっきくなってきた

「まあ、西片一度火が付くと絶倫だからする日は3回とかになってるけどね」

「なっ///」

「あれ?西片、なんか出っ張ってるけど大丈夫w?やっぱしといた方がいいんじゃない?」

「そ、そんなことないから!大体た、高木さんの両親いるし。いくら俺と高木さんの関係を認めてくれてても、いる時にさすがに出来ないから!」

「ちぇー。」

「話戻すよ!楽器に」

「そうだったね。ウクレレ1個しかないもんね」

「……それなんだけどさ。どっちかが歌って、どっちかがウクレレ弾くのはどう?」

「なるほど。それなら楽器一個でもできるね」

「それに、弾きながら歌うって多分相当難易度高いと思うし……あとはどっちにするか、だけど」

「……あのさ…西片が良かったらでいいんだけど、西片がウクレレ弾いて欲しいかも……」

「…いいの?…だってこれは、高木さんのおばあちゃんの…」

「……だからこそだよ。おばあちゃん。私、この楽器を託したいくらい、心から大好きな、何よりも大切な人ができたんだよ。って。一生一緒に…ううん。生まれ変わってもいっしょにいるんだって決心した人がいるんだよって」
「…一生、私はこの人の為に生きるって。そう思える人が、出来たんだよって。伝えたいから。」

「そっか。…わかった。」

頑張らないと。高木さんに好きになって貰えた男として。認めてもらわないと。

「気負わなくても大丈夫だよ。もう認めてくれてるよ。西片の事。それくらいはわかる」

高木さん。本当に俺の考えてること分かるんだよな。
でも、それでも。
好きな子の前でカッコつけたいだけかもしれないけど

「早速練習しよう。」

「気持ちはわかるけど勉強もあるから少しね」

「……で、コードとか言ってたけどコンセント付いてないよね。電源なしでも音出たし」

「あはははは。西片、コードってそういう意味じゃないよ。私もウクレレの名前間違えてたけど、西片もさっきからコードって電源だと思ってて、おかしくて」

「じ、じゃあなんのことなんだよ///」

「……なんていうのかな。私もよく知らないんだけど、なんだろ。音程的なもの??音楽用語だよ」

「高木さんだって分かってないじゃんか」

「そうだねー。だから知っていこうよ。二人でさ。文化祭のバンドに限らず、何事も。」

「……うん。」

そうだ。知らないなら一緒に学んでいけばいい。勉強だって嫌いだったけど、高木さんと一緒にしたら結構楽しかったりもするし
楽器だって同じ。

高木さんの事は結構もう分かると思ってるけど
それでもまだ俺の知らないところがあったりするかもしれない。
高木さんだって俺の事なんでも知ってるけど、まだ知らないところがあるかもしれない。
そういう所をお互いに見つけ出して、全部知っていけたらって思う。

「……それにさ、西片。西片は人前で歌う方が恥ずかしいかなって思ってさ」

「そ、そうかもしれないけど///そういう理由なの?」

「まあ西片はどっちにしろ恥ずかしがるか」

「そ、そりゃそうだよ。失敗する可能性たかいし」

「西片。失敗したっていいんだよ。恥ずかしかったって、下手って笑われたって。私が西片の事好きなんだから、胸張ってればいいんだよ。」

「わかってる。でも、初心者なんだから下手で当然って甘えたくは無いんだよ。高木さんの…恋人としてしっかりした所を見せたい」

そう。高木さんのおばあちゃんにも。

「西片。本当たまにカッコよすぎるから困るや」

「え、今のそんなかっこよかったの?///」

「かっこよかったの?って聞いちゃうとこはかっこ悪いかな。それもかわいくて好きだけど。」

「か、からかわないでよ///」

「どっちにしろ私が大好きな西片だからさ。」

こうしてこの日はちょっと楽器に触って
あとは2人で受験勉強をした。

第149話 完

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