からメシ 第144話 体育祭に向けて
さて、今日は体育祭の種目決めである
1・2年の時は2人でできる競技がなく、別々の競技を俺と高木さんは出ていたが、今年はなんと二人三脚が新設された。
「西片、良かったらさ。二人三脚しない?一緒に」
「うん。」
「...ただ、西片。徒競走とかはいいの?いつも出てたけど。高校はクラスも多いし、クラス全体や任意参加の集団でやる競技以外は基本1人1競技でしょ?たしか」
なにしろ少子化が進んだ昨今の島の小さい高校とはいえ400人はいるわけで、そうなると一日の日程で組むには1人何競技も無制限に出たら困るわけだ
なので二人三脚に出るなら徒競走は捨てなきゃならない
でも俺の答えは決まっていた。
「そんなの、高木さんと一緒にできる二人三脚に決まってるよ。……高木さんと一緒に競技がしたい」
「ありがと。西片。うれしいや」
という訳で二人三脚にエントリーした
-帰り道-
「懐かしいね。中学の時もやったよね。二人三脚」
「あの時は転んじゃってダメだったけどね」
「でもカッコよかったよ。前の人がコケちゃったのに巻き込まれないように私を庇ってくれたんだもん。」
「そ、そうだったっけか」
「うん。」
「あれから3年...今年は1位狙っちゃおっか?」
「えええ。二人三脚って陸上部も結構出るみたいだよ」
「あら、弱気だね西片。西片だって走り込み頑張ってるじゃん...あれ?頑張ってた、だっけ」
高木さんがお腹をもんでくる
「ひゃうっ!く、くすぐったいからやめて!」
「あははははは。筋肉質だけどちょっとだけぷよぷよ感があるお腹になってきたね。これもこれで私は好きだけど」
「も、揉むのやめ、ひゃう!」
「あはははは。リアクションが面白くてやめらんないよー。このお腹でお昼寝したら気持ちいいだろうなあ」
「俺のお腹は枕じゃありません!」
「そうなの?初めて知ったや。...一緒に気持ちいいことして疲れたら気持ちよく寝れる枕かと...」
「き、気持ちいいことって...///」
「...えっち///」
「へ、変なこと言わないでよ公道だよここ!」
「あはははは。あれ?何前かがみになってるの?」
「な、なんでもない!///」
「じゃあ今から西片の家で気持ちいい事して、気持ちよくお昼寝セット、する?」
「し、しないよ!ってかなんでこんな話になってんのさ!」
「なんの話してたっけ?」
「二人三脚の話だよ!陸上部も結構いるらしいし厳しい戦いになるのでは、って」
「心配する必要ないと思うよ。西片足速いし、それに...二人三脚は私達にしかない武器があるんだから」
「武器って?」
「私たちの息がぴったりな所だよ。私なんか西片が、どのタイミングでどの足を出すか完璧にわかるもん」
「毎回思うけど高木さんのそれ凄くない?」
「これがね。私が、5年以上も西片を...大好きな人だけをずっとすぐ横で見続けてきた成果だよ。...愛の力なのです。」
「...は、恥ずかしいから。///」
「...でもそうだよね。それは誰にも真似出来ない武器だよ。」
「西片より足速い人は確かにいるよ?でも私と息ぴったりな人はこの世界で西片だけなんだからさ。それを存分に生かせる二人三脚っていい競技だよね。」
「うん。」
「ちょっと練習しよっか」
一旦俺の家に行きうちの庭で足を括り練習する。
なるほど、たしかにいきなり息ぴったりだ。
リズムが崩れないというか
「本番だと困るけど、今は誰も見てないし、どさくさに紛れて肩に置いてる手で揉んでもいいよ?」
「も、も、揉んでいいってそんな...///」
ちょっとリズムが崩れる
「あれ?肩のことなんだけどな。何想像しちゃったのかな西片は。……ほらすぐ硬くなる~」
「か、硬くなってない!気のせい!///」
「あれ、動きの話なんだけどどこのこと言ってると思ったの?」にやにや
た、高木さんめー!
「……胸でもいいけど…揉むの…誰も見てないし……///」
「な、何言って...///」
ついに転けてしまった
「あらら、大丈夫?」
「べ、別にどってことないし!」
「あれ?でも西片のここ、こんなに腫れてるよ?」にやにや
「腫れはぺろぺろ舐めるといいって言うよね。さすがにここじゃあれだし、西片、部屋行こっか」
「だから、それ転んだケガじゃないから!分かってるだろ高木さん」
「あはははは。ごめんごめん。でも手当はさせてよ。擦りむいてるだろうし」
「うん。」
高木さんに手当してもらった。
高木さんがまた、こっちも沈めてあげるよ~とかにやにやしながら言ってたが、そろそろ親かえってくる時間だし断った。
お、俺だって好きな人とそういうことしたい気持ちはあるしちょっと名残惜しい気はするが、始まっちゃうと止まんなくなってしまうし……
案の定手当し終わったところで親が帰ってきた。
高木さんを家まで送る。
「じゃあね、西片。体育祭は2人の共同作業で1位とろうよ!」
「うん。取ろう」
「……まあ私は西片と二人三脚できるだけで嬉しいからビリでもいいけどね」
「そこは頑張ろうよ……」
そんなこんなで、俺と高木さんは次の日から空き時間等に二人三脚の練習をするのだった。
「二人三脚ってさ。私好きだな。」
「俺も。」
「ずっとしっかりくっついて。歩幅揃えて進む。まるで私たちの人生って感じがしてさ」
「...そういうの恥ずかしいからっ///」
「でも、西片もだから好きなんじゃないの?」
「うん。///」
「ありがと、西片。うれしいや」
第144話 完
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?