からメシ 第143話 高校三年生

ついに高校三年生の始業式となった。
高校も最終学年である。

特進クラスに入った俺と高木さんはまず席を確認する。

右端の後ろから二番目……隣は......

「西片!やったよ!隣だよ!私、西片の!やった!」

確認する前にわかってしまった
でも、高木さんの喜びようったらない。
それに、俺もとてつもなく嬉しい。

「それにしても、中1から高3までずっと隣の席ってすごい確率だよね。」

「だって西片も私も頑張ったもん。ずっと隣にいるための頑張りを神様が見ててくれてるんだよ。」
「今回の特進クラス編入だけじゃなくて、中1の時席替えで席離れそうになった時もさ、私も西片も隣になろうとしたから、
隣になったんでしょ?西片なんか私にからかわれて先生に叱られる頻度がすごく高くなるの承知で1番前になろうとまでしてくれてさ。うれしかったよ。あの時」

「高木さんがからかわなきゃ先生に叱られないんだけどなあ~」

「それは諦めてよ。」

「えええええ」

「でもそうやって、絶対一緒に、隣にいるんだって気持ちと行動が、隣の席ってことを引き寄せてるんだよ」

「そうなのかな?」

「そうだよ。」

そういうもんなのかな
……でも、また高木さんと隣になれたのは
本当に嬉しい。

すると、浜口と北条さんがやってきた。

浜口「西片も特進クラスに来たんだ?」

西片「国立大入りたいから...」

浜口「どこ行きたいんだ?」

西片「一応倉敷大」

浜口「おお、倉敷か。...高木さんも?」

西片「うん。浜口は?」

浜口「……ま、まだまだ全然なんだけどさ…き、京大……」

西片「え、めちゃくちゃすごいじゃん。」

浜口「目指すだけなら誰でも出来るから……。北条さんが行きたいっていうからさ...まだ全然合格圏外なんだけどな...」

北条さん「高木さんは倉敷大なのね...。もっと色々狙えそうだけど。」

高木さん「私は西片と一緒じゃないと意味ないからさ」

北条さん「それなら西片君に頑張ってもらえばいいんじゃない?」

高木さん「ううん。私は西片の行きたいとこを受けたい。西片に合わせるのが幸せなの。」

北条さん「そう…。」

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そんなこんなで少し浜口たちと話す。
初日は始業式とホームルームだけで終わる。

帰り道

「ねえ、西片。…あのさ。今日から高校最後の一年だよね。」

「うん。...受験生ってやつか。勉強、めちゃくちゃ頑張らないと受からないよな……。」

「西片……もちろん勉強もだけどさ、こうやって制服着て、学校通うのもこの一年で最後でしょ?」

「そうだね。でも学生生活、っていうとまだ大学生もあるよ?」

「そうだけどさ、大学生って中学生・高校生とは全然雰囲気違うよ?それに、西片が大学落ちたら私たちの学生生活はこの1年で終わりかもよw」

「縁起でもないこと言わないでよ!」

「まあその時は、一緒に浪人するなり、一緒に働くなり、働く西片を家で夕ご飯作ったりして支えるからさ」

「そうだけどさ。……でなんの話してたんだっけ?」

「だからね、高校最後の一年だから、勉強だけじゃなく、
色々と思い出に残ることとか、今しか出来ないこととか、ちょっと2人でさ、大きな事したいなー。とかって思って」

「大きなことって?」

「それはまだ考え中かな。思いついたらその都度相談するからさ。西片も思いついたら相談してね。...じゃあね、西片。また明日。」

「うん、また明日」

高木さんが、高校最後の学年でどんなことをしたいのか、まだ分からないけど。
それでも、楽しみなのは確かだ。

第143話 完

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