からメシ 第158話 高木-takagi- 上京

さて、ついに全国大会に向け、東京に行く日

高速バスと聞いていたので学校でチャーターしてるのか凄いなと思ったのだが

顧問「大生院女子っていう愛媛の強豪校のバスに便乗させてもらうから」

とのこと。なんでもそもそもうちは県立校で、かつ全国大会なんて想定すらしてなかった弱小校なので、予算の捻出にも苦労するらしく
支援金や後援会などができても中々カツカツらしい。

香川の神樹館も予算潤沢な強豪私立で個人戦には出るが、団体戦に出ないのでバス出発タイミングが合わない。

そこで四国最強と言われる強豪私立、愛媛の大生院女子のバスに頭を下げ便乗させてもらえることになったと顧問はいっていた。
俺、高木さん、鷹川さんなど他の出場メンバー、部長、顧問で計8人しかいないのも功を奏した。(つか部長は左腕包帯、右腕ギプス状態で大丈夫なのかこれ。左手ならもう打てるとか言ってるけどもちろん大会には出せない。)
もちろん部費などから、代金とお礼のお金は払っているが、それでも新幹線や飛行機よりはかなり安いらしい

ちなみに宿泊施設も有楽町の会場からかなり離れた代々木ってとこのオリンピックの時建てられたでかい研修宿泊所みたいな所で、なんと学生の部活とかで利用する場合一泊一人2000円程度(ただし、トイレやお風呂は共用。部屋についてない)らしい

うちの顧問「同乗させてもらって申し訳ございません。8人でマネージャーの男子も1名いますが...」

大生院の顧問「いいですよ~。席余ってたんだし。」

戒能「その怪我どうしたんですか~~?あ、戒能優子っていいます。小豆島総合の部長さんですよね~~。六車プロの従妹さんとか。」

六車「ちょっとチャリでやっちまってな。私は出れんのや今回。変わりに急遽入部した高木って子がでるけん。初心者やから当たったらお手柔らかにな。」

戒能「へ~~。」

とりあえず1番後ろの席に座る。女子ばっかだし一番後ろの一番端の窓際に。もちろん隣は高木さん。手を繋いでいる。

戒能「はじめまして~~。愛媛代表の戒能優子でーす。一応うちのエースやってます~~。」

な、なんか座席から乗り出して話しかけてきた...!?

高木さん「た、高木です。よろしくお願いします」

西片「西片です。よろしくお願いします。」

戒能「へ~~。手繋いじゃって仲良さそうですね~~。えっと、西片さんは高木さんの彼氏さんとか?」

西片「なっ...///」
咄嗟に手離す。
癖になってたんだ。手繋いで座るの。

高木さん「そうでーす。」

西片「た、高木さん///他校にばらすこと無いでしょ...///」

高木さん「いいじゃんもう全校にバレてるんだし、他県進出しても。時代はグローバルだよ。西片。」

西片「グローバルの悪用///」

戒能「へ~~。…これは麻雀も手強そうな雰囲気~~。」

高木さん「そんな事ないです。まだ始めて三週間ですし、ルールもわかってないとことか...符の計算とか...」

戒能「へ~~。でもたまにいるんだよね。こういう子がすごい力もってて切り札、ってチーム。」

六車「いや、骨折した後に急遽探してきた子やぞ。三週間前まで牌触ったことすらない子や。超初心者なんで当たったらお手柔らかにな。」

監督「そろそろバス出るで。」

と、バスが高速道路を走る。
高木さんと景色を見ながら会話して過ごす。

「東京、羽田空港以外は初めて行くかも」

「そっか、飛行機乗り継ぎで羽田は行ってるもんね」

「高松より岡山よりも都会なんでしょ?びっくりしちゃうよね。」

そう、俺たちからしたら都会と言えば高松、岡山、続いて倉敷や坂出。って感じだ。

でも東京はそれとは比べ物にならないらしい。

「ちょっと怖いなあ都会。」

「たしかに、島の暮らし慣れちゃってるとね。」

「満員電車とか嫌だなあ。痴漢とか絶対されたくない」

「絶対俺がそんな事させないから。高木さんは俺が守る!」

「...西片カッコいいんだあ。...今の録音しといたから目覚ましにしよー。」

「や、やめてよ恥ずかしい///てか合宿所でそれ使うの本当やめてよ?みんないる中それは恥ずかしすぎるから!」

「どうしようかな~。」

「ええええええ」

13時過ぎ
お昼ご飯で一時間休憩
琵琶湖のほとりのサービスエリアである
2人でサービスエリアの食事処に向かう

「じゃあさ、西片。あとで普通の起こし方、収録させてよ。起きて、高木さん。みたいな感じでいいから。」

「は、恥ずかしいからっ///てか合宿所でそれで起きるの?他の人もいるのに?」

「そ。まぁいいんじゃない?すみれちゃんだし」

「よ、良くないよ!」

「わかったわかった。じゃあ西片と相部屋にしてもらうから。それならいいでしょ?西片以外には聞かれないんだから」

「もっとダメだよ!学校行事なのに一緒に寝るなんて」

「あれー。ツインベッドなんだけどなあ。そんなに西片は私とセックスしたいのかー。西片がしたいならいいよ?私。」

「セックスって言わないでっ///大体学校行事なんだからそういうのはダメだよ!///」

「ちぇー。」

とりあえず。せっかくだから
琵琶湖ならではの料理を

「私はホンモロコ丼にしよー。」

「じゃあ俺はビワマス定食にしよ」

「替えっこね。」

「もちろん」

料理ができたので席に持って行って食べる

「美味しいよ!西片。ホンモロコって初めて食べたけど。ししゃもみたいで、旨みがあって」

「ビワマスも美味しい。俺も初めて食べたけど、お刺身あぶらのってて」

「交換しよ。西片。」

「うん。あ。これ、ホンモロコ天ぷらと焼いたのあるんだ。」

「もちろん両方食べていいよ?ご飯も。私もお刺身とフライ貰うね」

「うん。あ、美味しい。天ぷらも焼いたやつも骨柔らかくて丸ごと食べれるね」

「フライもお刺身も美味しい!フライはやっぱタルタルソースだよね。お刺身もとろける~」

「「ごちそうさま」」

トイレに行ってバスに戻る。
しかし俺以外全員女子って(顧問も女の先生なので)すごい環境だな
……高木さん以外興味無いけど。

そんなこんなバスに乗ってると高木さんが眠くなっちゃったみたいで俺にもたれかかって寝てしまう。
なんてかわいいんだろう。...なんて愛しいんだろう。
俺の方にもたれかかって来るところもまた……愛されてるなあって感じがする。

夕方、17時
早いけど夕飯となる

浜名湖サービスエリア

「浜名湖って言ったら...」

「やっぱうなぎだよね。西片。」

せっかくなのでうなぎを食べることに
うなぎの白焼き?

「そういえばうなぎの白焼きって食べたことないなあ」

「食べてみる?」

「うん。でも蒲焼もやっぱ気になるからさ」

「わけっこ!だよね」

「うん。半分こしようよ」

高木さんがうなぎの白焼き、俺がうなぎの蒲焼を頼む

「さあ、初白焼き、お味はどうかな...おいしい!タレかかってなくても脂のノリと旨みだけでご飯行けちゃう!」

「でもタレも美味しいよ。タレもただの醤油じゃなくて長年のうなぎのうまみがつまってるからかな?タレついたご飯だけでも美味しいもん。あと、うなぎの脂とタレの相性が最高」

半分食べて交換する

「たしかにタレも最高に合うよね。うなぎに。相性抜群だよ」

「白焼きも美味しいなあ。うなぎ本来の味って感じ」

「あと、西片、この肝吸いもおいしいよ。うなぎの肝って始めて食べるかも」

「肝吸いと肝を口に含んで...鰻とご飯をかっこむ!これがまた美味しいよね。」

「口の中でお茶漬けみたいになっていいよね。白焼きでもやってみていい?それ」

「どうぞ。俺も蒲焼でやってみよ。」

「「ごちそうさま」」

とうなぎを堪能した

まだ時間があるので浜名湖と夕日を、高木さんと一緒に眺める

「綺麗だね。夕日」

「うん。」

夕日に照らされる高木さんのが綺麗
なんて言えないけど

「ありがと。西片」

「へ?なにが?」

「夕日に照らされる高木さんのが綺麗。って思ってくれて」

「なっ...///」

高木さんめ!思ったことがどうしてこう完璧に伝わるんだ

「大好きだからだよ」

また読んだ

「夕日はいつどこで見ても綺麗だね」

「二人でさ、私と西片で。見るから綺麗なんだよ。夕日」

「...そうかもね。」

「結構私たち、二人で夕日見るの好きだしさ、色んなとこの夕日見てみない?もちろん二人で...手繋いでさ」

「それいいね!東京でも見よっか。2人で」

「うん!...自由時間あればだけど。」

「高木さんはあくまで助っ人なんだし、あるんじゃない?多少」

「それはそうだけどエースだし平気かな。ま、でも西片と東京観光はしたいからさ」

「うん!」

そんなこんなでトイレすませバスに乗る

...都内に入っていく

「うわあああ。すごい。ビルばっかだよ高木さん」

「ほんとだね。夜景綺麗」

「高木さんこういうのも好きなんだ?」

「...でもビルの光より、私は島の田んぼで見る蛍の光のが好きかな」

「おれもそうかな」

「でも新鮮だよ。大都会の高松でも岡山でもここまで大都会じゃないしさ。」

「迷いそうだよね」

「そこだよねー。確か宿泊所と会場だいぶ離れてるらしいし。迷わないようにしないとね。地下鉄がダンジョンみたいになってるらしいから」

「高松にも岡山にも地下鉄ってないからね。」

「通勤ラッシュの時間帯だろうしねー。西片、ちゃんと守ってね。私の事。...あっ、西片が触る分にはいいから」

「触らないよっ///」

「あははははは。西片顔真っ赤!」

~前の席~

戒能「えと。いつもあんな感じなの?あの2人」

六車「ま。まあな。全校生徒に夫婦って思われとるからな。」

そんな感じで宿泊所に着く
大生院の方々は会場近くにホテルに泊まるらしい。さすが強豪私立

宿泊施設は代々木公園とかいうとこの隣だ。
機会があったらここ、高木さんと散策してみるのもいいかもしれない。
ただ今日はもう夜遅いので大浴場に入って寝ようと思う

「西片、一緒にお風呂入る?」

「入らないよっ!大体大浴場だよ!?他のお客さん入ってきたらどうすんのさ!」

「冗談だよ~。でも部屋にお風呂ないのはそういうとこでも残念だよね~」

「むしろ良かったよ!これで!」

東京でも相変わらず高木さんにからかわれた

第158話 カン

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