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仕事が途切れないマーケティングライターの制作術#002 【予算の出所・ゴール・ターゲット・キーマンを抑える】

予算の出どころを考える

前回、マーケティングライターに求められる10の要素を挙げました。今回はその1番目「企業が依頼する販促・ブランディング・リード獲得などの視点で文章が書ける」について詳しくお話ししたいと思います。

そもそもマーケティングライターとは、クライアント企業の広報宣伝費あるいはマーケティング予算、事業部販促費などをもとに、コンテンツ用の記事を制作する仕事です。

雑誌などのメディアに書くライターとの違いは、予算の出どころです。出版等メディア系の予算の出どころは媒体社です。媒体社の収益の源は、広告収入と実売収入です。ライターは魅力的な記事は求められますが、事業戦略やサービス提供に直接紐付く記事を求められることはありません(タイアップ記事など一部の記事を除く)。

一方、マーケティングライターは、クライアントが何の予算を使ってどういう戦略のもとにコンテンツを作成しようとしているのか、正確に理解することが必要です。その理解が足りず、発注者に言われるまま原稿を書いてしまうと、戦略にそぐわない結果となり、書き直しになることが少なくありません。

予算が事業部から出ているのか、マーケティング部から出ているのか、経営企画から出ているのか、広報部から出ているのか、その出どころによってコンテンツ作成の目的、記事の着地点が異なるので、そこを見極めることは、実はとても大事です。

ですから、マーケティングライターはクライアントとの打ち合わせで名刺交換したときに、担当者の所属部署をしっかりチェックする必要があります。

仕事に着手する際、これを確認しないと失敗する

新しい仕事を受ける場合、必ず確認しなければいけないことは、以下の3つです。

1. なんのためにコンテンツをつくるのか(ゴールはどこか)

商品をPRしたいのか、会社をブランディングしたいのか、自社サービスに興味を持つ潜在ユーザーのリードを取りたいのか、市場のニーズを探りたいのか、クライアントが何のために予算を投じて記事を作ろうとしているのかは、必ず確認しなければいけません。よく「PV上げることが目的」みたいな曖昧なことをいう発注者がいますが、それを鵜呑みにして仕事に取り掛かると、コンテンツをどこに着地させたらいいのかがわからず、質の低い記事を書いてしまう可能性があります。

2. ターゲットは誰か

なるべく具体的にターゲットを設定することが、良いコンテンツをつくるポイントです。「この商品(サービス・会社)に興味を持ってくれる人」は、ターゲットを設定したとは言えません。年齢層、性別、興味、ライフスタイル、年収、職種など、できる限り絞り込んでおかないと、誰にもリーチできないコンテンツになり、マーケティング施策は失敗に終わります。

ときには、クライアント自身もターゲットがぼんやりしたままプロジェクトをスタートしてしまうケースがあります。こういった場合も、クライアントはターゲット像を言語化できていないだけで、頭の中にイメージを持っていることが少なくありません。その場合、事前打ち合わせの際に「このコンテンツを読むターゲット像をどう設定しているのか、なるべく具体的に教えてください」と、こちらから質問し、必ず先方とターゲット像を共有するようにしましょう。ターゲット像を共有できないたまま仕事を進めると「これでは狙っている層に届かない」とか「我々の狙いとずれている」などと言われ、必ずトラブルになります。

当然のことですが、ターゲットが20代女性と40代男性では、共感のポイントが全く異なりますから、テーマの選び方、言葉遣い、文章構成などを変えなければ効果が上がりません。

3.  プロジェクトのキーマンは誰か

プロジェクトのキーマンを見極めないままスタートしてしまうと、何回記事を提出しても納得してもらえないことがあります。

しかし、キーマンを見極めることは簡単ではありません。また、クライアント側、代理店側などにキーマンが複数いることもあるので、その力関係の見極めも重要です。

私の経験から言うと、通常、クライアントはマネージャーレベル、案件担当者、窓口となる人、代理店は営業担当と制作担当、アシスタントというメンバーで構成されます。この場合のキーマンは誰か?普通に考えれば、クライアントのマネージャーです。しかし、肩書きだけで結論を出してはいけません。実は、打ち合わせには出てこない本部長がキーマンということもありますし、単なる案件担当だと思っていた人が、コンテンツ自体を企画立案して自分で回しているキーマンということもあります。つまり、肩書きで判断できないし、簡単には会えないこともあるわけです。

だからといって「誰がキーマンですか?」などと、空気の読めないコメントをすると、生意気なライターだと白い目で見られる可能性があります。ですから、そういうときは取材力を使ってキーマンを特定します。例えば「このコンテンツは、こういう書き方をすると、特定の層から批判されるリスクがありますが、それを許容できますか?」と尋ねるわけです。この質問に対して「そこは内部で検討してからお答えします」と返答してきた場合は、打ち合わせに参加していない上長クラスにキーマンがいると推察できます。その場合は、何度かそういう際どい質問を投げかけていくと、大体次の打ち合わせあたりにキーマンが顔を出してくれます。逆に「批判されるリスクは想定済みですから、その方向でお願いします」と現場で発言する人がいれば、その人がキーマンだと思っていいでしょう。

今回は、マーケティングライターが仕事を引き受ける際に気を付けるポイントについてお話しさせていただきました。マーケティングライターという仕事は、言われた通り文章を書いたり、自分の好きなことを書くのではなく、非常に戦略的に文章を書く仕事なので、ときには会社員以上に高いビジネススキルが求められるのです。

次回は、「中学生でも理解できる文章を書ける」をテーマにお話をさせていただきます。

よろしくお願いします。



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