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挑戦者の背中を押したい(Kindle本前書きとして)

はじめに
 
二〇二〇年。新型コロナウィルスの拡大により、あらゆる生活様式が変化し、様々な行動が制限されました。
まさしく未曾有の時代です。
人に会いにくくなり、移動しにくくなり、旅で人に会うことが好きな僕にとってなんとも寂しい世の中でした。
この文を執筆している二〇二一年四月時点でも新型コロナウィルスの影響は収まらず、僕が住む沖縄でも未だに猛威を振るっています。
それでも、ワクチンが行きわたり、終息に向かう頃にはまた安心して旅ができる日がやって来ることを信じています。

ステイホームや一人の時間が増えたことで、自分の人生を見直した人も多いのではないのでしょうか。
「いつか時が来たらやりたい」と思っていたことも、「そのいつかは来ないかもしれない」、そう思った方もいるかもしれません。
当たり前にやって来ていた明日は、当たり前じゃなかったのです。
それでも日々のルーティンを崩し、何か新しいことをする時はとても勇気がいります。

僕にとって勇気を出した最初の行動したのは、学生時代にアメリカ横断の旅にでたことでした。
二〇〇七年、僕が二一歳のときで、初めての長期一人旅でした。
あれから僕にとって「旅」とは人生をかけてつき詰めていきたいライフスタイルだと思っています。
当時は、ずっと憧れていた一人旅でしたので、行くと決めた時から日常のふとした時に胸が高揚したのを覚えています。
けれど不思議なもので、あれだけ楽しく空想していた旅も、いよいよ現実になるのだと思うと怖気づいてくるのです。
”無事に戻って来れるか”という旅そのものへの不安、夢が叶ってしまうことへの虚無感、いろいろな感情が行動への意欲を削ぐ瞬間が来ます。
行かなくても誰かに怒られるわけではなく、人生が今すぐ悪い方向に転がるわけではないのです。
それでも僕は、決行しました。
あらゆる雑念を振り払って…というより考えることを辞め、「とりあえず行ってみよう」と行動しながら考えようと思ったのです。
結果、僕の旅は当初思い描いた通りの旅になることはなかったけれど、それ以上に素晴らしい経験を得ることができました。

この本は、そんな僕のアメリカ横断の旅で学んだことをまとめた本です。
いわゆる紀行文になると思うのですが、残念ながら、ハラハラドキドキの冒険記ではなく、何か一つ大きな学びを得たわけでもなく、有名なスポットを巡ったわけでも、How toが詰まったお役立ち本でもありません。
言ってしまえば、ただの大学生が、何者かになりたくてもがいた姿を描いたモノです。
けれど僕は旅に出れば自ずと人生を変えられる経験ができるわけではないと思っています。
旅は非日常を味わうことだという言葉も聞きますが、僕は旅こそ日常だと思っています。
「世界」という言葉がどんなに壮大な響きを含んでいたとしても、僕らが日々の生活を送るように、旅先では誰かの日常が流れているのです。
旅人はその日常にお邪魔させてもらっているのだと思います。
もちろんエキサイティングな瞬間はあるのですが、人生と同じようにクライマックスの時間以上にその途中の時間がほとんどです。
何を見た、どこに行った、よりも途中のストーリーを楽しみ、そこで何を学んだかが重要なのだと思います。

当時、世間のことなんて何も知らない普通の大学生が、コンフォートゾーンを抜け出し、何者かになりたくもがきなら旅の日常から学んだ小さな気づきをまとめました。
願わくば、「旅に出ること」や「何かに挑戦すること」に迷っている人の背中を押してあげられるような本になれば幸いです。
                    

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noteにまとめたアメリカ横断を綴った記録です。
良ければ覗いてみてください。


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