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身元引受人とは?

LAGOM代表の河村です。

弊社では、2021年4月から名古屋市千種区にある吉田総合法務事務所様と一緒にNPO法人活動を行なっており、最近特に身元保証契約に関する相談を多く受けるようになってきました。特に生活保護受給者、生活困窮者の方に関する相談、介護施設への入所、病院へ入院する際の後見人、契約の際しての身元保証、身の回りのお世話、葬送支援、死後事務手続きに関してなど、幅広い内容となっています。

今回我々が行っているその事業について、嬉しくなるお話をしたいと思います。

我々が身元引受人を受け持っているAさんなのですが、2週間前までは老人ホームに入所されていましたが、体調不良から食欲もなく、意識レベルが低下され、急性腎不全となり近くの病院に入院されることとなりました。

コロナ禍のまん延防止等重点措置下ということもあり、受け入れ先の病院もなかなか無い中、施設の相談員さんがなんとか病院を探して、親族及び関係者との面会も謝絶の状況での入院でした。

即検査を行い、結果は正直厳しいものでした。「このままだと余命1か月です。延命治療を行いますか?それとも自然な状態のままで対応していきますか?」と聞かれ、もともと引受人を受ける際に延命を希望されないという想いを聞いていましたので、その旨をお伝えし、【患者様の治療及び療養上の安全のための説明と同意書】にサインを行いました。

このサインというのは、身元保証の重い業務です。またこれは重要な責務だと考えます。私が命を預かっているという覚悟が要ります。

そんな中で、Aさんには娘さんがいることが判明します。後見人を申請する際に親族関係図、戸籍謄本が必要で、調査をしていく中で、離婚された前妻の方の間に1人娘さんがいらっしゃることがわかり、現在北海道に住んでいることを知りました。

後見人さんから連絡をしてもらい、Aさんの状況を説明していただきました。実は30年近く会っておらず、疎遠状態だったこと。決して仲が悪いわけでなく、現在の奥様に配慮されていたことなどがわかりました。

そして、娘さんから「状況を理解しました。一度お父さんに会いたい」という依頼を受けました。
病院からは親族も面会謝絶と言われていて、こちらでは対応はできないと言うことをお伝えして、お断りしました。ただ、北海道からわざわざいらっしゃること、最後に一目見ておきたいと希望されている中で、病院は断るか、真意に受け入れてくれた病院なので、もしかしたら面談の機会をもらえないかという思いがよぎり、その旨を伝えようと病院に電話しました。

「残念ですが決まりなので、、、」と受付窓口から端的な返事がきたのですが、こっちも丁寧に現況を説明しました。「では担当看護士さんに一度替わりますね」と電話を繋いでもらって、再度説明したところ「そんな北海道から来ていただいて、何十年ぶりにお会いしたいのなら何とかしたいですね、ちょっと担当ドクターに聞きますので、待ってください」と言われ、なんとその看護士さん、了承を取ってくれました。「ただし15分間だけ、スタッフも少なく、今大部屋にいらっしゃるので、個室に移動する準備も必要で、平日午前対応でお願いします」と。
もう嬉しくなりました。

そして、当日です。前日北海道は大雪で道が大渋滞で、娘さんが航空便に間に合わず、てんやわんや。なんとか夕方の便に乗ることが出来、名古屋に来れました。
駅で待ち合わせて、病院に到着。手配はしっかりされており、スムーズに病室に通されました。ドクター、PT、看護士から状況説明、延命治療要望の再確認をされ、変更は無しとお伝えし、そして面会です。

「お父さん、お久しぶり。娘だけど、覚えている?」

Aさんの状況は発語は出来ず、以前鋭かった目力もなく、自力では動けず、体力の低下は一目瞭然です。
そんな中、変化が見られ、目は動き、柔らかい表情に。娘さんを理解しているように思えました。
私はその場を離れ、病室を出ました。
15分後、Aさんは疲れたのか、眠っておられました。娘さんの表情には満足感が見られました。「本当に来てよかった。来なかったら、悔いが残ってしまうと思った。会えて本当によかった、ありがとうございました」と。

私自身母親をガンで亡くしており、その時の想いから、悔いの無い人生とは何かと考えるようになり、こういう場に携われることに喜びを感じます。 

我々は身元保証ビジネスに関して、試行錯誤の真っ只中です。ただ、我々の仕事にはこんな感動、感謝を体験できるコトがあります。トラブル案件も多いですが、人生を支えるステキな仕事でもあることを感じています。
                    以上




















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