シャネル化粧品開発秘話エピソード3
化粧品開発を外国の人と行う時、イメージのすり合わせをしておく必要が、とても大切になる。(日本人同士でも必要だが外国人であればさらに大切)それは環境が違う、文化が違う、自然環境が違うなど多くの事柄が異なることが多いために、開発のスタート地点でこのすり合わせをきっちりおこなう必要がある。
例えば、色のニュアンスにおいてもそう。日本人のピンクとフランス人のピンクではピンクのレンジ幅が異なる。ピンクと聞いて想起する色も異なる。
テクスチャーもそう。化粧品開発においてテクスチャーの精度を上げることはとても大切なことなのだが、この感度は本当に大きな差が出てくる。
例えば、”プルプル、リップ” これでどんなイメージを想起しますか?
なんとなく、プルプルリップ=(水分を感じる水水しさと弾力感)というイメージ。少なくとも私は⬆︎です。
ではフランス人はどうかというと、プルプルというオノマトペ(擬音語)を使わず、書き言葉で会話をすることが多く、プルプルリップなテクスチャーをフランス人に説明する時は、fresh,moisuture,pulamping lip ... のような説明になるのです。
これはね、経験からのお話なのですが、
何度もプルプルリップの施策品を作っても一向にピタッとくる施策が上がってこない。いろんなメイクアップヴィジュアルをお互いに(私とフランス人開発者オードレー)見ながら、これはプルプルリップか?プルプルリップではないか?の区別を一緒にしながら落とし込みをするのだが難しいんですよね。いつも違うんですよね。ビミョーに。。
なかなか一致しないので、
どうしたかっていうとお互いイメージしているヴィジュアル(プルプルリップ)に一番近いお菓子を持参しようということになったんです。
リップではないものに例えることが大切で、クリエイションの場合競合品を持参してしまうと、自分たちのこれから作る製品がその類自品になってしまうので、全く別物で確認しあうことが大切。
コラージュを作ってから製品に落とし込むようにするとより
クリエイションの精度がアップする。
そんなこんなで持参したのが、私は水まんじゅう、
フランス人のオードレイはフォンダンショコラの中身 だったんですね。
”水まんじゅう”と”フォンダンショコラの中身” くらい映像としては違っているのです。
その時、初めてオードリーを互いに納得したんですね。どうりでね。って。
そしてこの水まんじゅうを食べてもらったんですね。(このプルプルリップはアジア圏のリクエスト製品から全世界になるものなので)
でフランス人のオードレーは、あーなるほど、
確かに、水っぽさを感じる。
グミのようなプルプルとも違うわね。
と理解してくれました。
それからそのイメージが脳で固定化するまで、
幾つかのプルプル食感の和菓子を一緒に
食べながら新製品の開発はいろんな気づきをもたらしてくれる
良い経験でした。
オードレーがプルプルリップを理解してからは、
口紅のヴィジュアルを見てもプルプルッリップ)
と しっとりリップのイメージ想起は一致するようになったのです。
それからこの2つの違いを言語区別するとウォータリーリップと
モイスチャーリップというふうに識別してコンセンサスをとるようになったのです。
この言語化にしてしまうと、その言葉だけ見ると簡単なのですが、
頭で想起するイメージは全く別物だったりするから、
やはりここまでのプロセスがとても大事でね、
そして面白いところでもあるのです。
ではこの想起する違いがどこから来るのか・・・・
これはまた次のノートで
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