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俺はもっと、俺に合う恋愛ドラマを見たい。

・去年、めちゃくちゃ話題になったエーガ、『愛がなんだ』をみました。端的に言って、ケッサク!!!!!!!!でした。

この映画は、地味で控えめだけど、意外と恋に対しては猪突猛進な女の子が主人公。んで、こいつは何かと女友達に「アイツってさ〜」などと付き合ってもない男のノロケをしちゃうくらいにガードが甘い!その実、その男には都合の良いセフレみたいな扱いしか受けてないの。
それでも、「この恋は特別なんだから!」と、頑張るゆるふわ女子の奮闘記!!な体裁なんだが、その実やる事がエグいエグい!

ここで言うエグさとは、ドロドロした性愛みたいなニュアンスではなくて、
端的に言ってしまえば、好きな人に振り向いてもらいたい!!と言う煩悩に対して、修羅と化した人間の恐ろしさを描いてる。
好きな人間の呼び出しがあったら仕事や約束を放り出すなんて序の口だ。物語が佳境に入ってくると、どんどん主人公の挙動がホラーじみてくるのだ。
自分を棚に上げて他人の恋に説教したり、自分の恋を「執着」と言って開き直りつつ、目的と手段を入れ替えたりしてて、ずっと状況を俯瞰している観客の胸には戦慄が走る。

「たかが恋愛にそこまで??」と訝しく見るひともいれば、「恋愛だからこそ、ここまで狂った人間になってしまうのは分かる!」と、鼻息荒く主張する人もいるだろう。本作を見た人は上記2種類に感想が分かれると思いますが、私は圧倒的に後者の考えの人間です。


・人間というのは基本的には不可解な生き物で、大人になっても理屈や損得に見合わないムーブを犯しがちだ。その中でも恋愛は最も鮮やかに、そして陰惨に、それを白日の元に曝け出す。
誰かは特定の誰かにはどこまでも残酷になれる一方、他の誰かには献身的だったり良心的だったりする。そんな誰もが抱えるポップな醜さを、この映画はモロにダイレクトでぶつけてきてる。主人公が映画終盤で見せる醜悪な顔は、それ即ち、私たちの写し鏡でしかない。
人間は醜い(それ故に笑えるが)。だからこそ、お互いを出来うる限り慈しみあうべきだ。そういった倫理の教科書の1ページに書いてある大前提・基本的ルールでも、
恋愛という異常事態に際しては、そいつらの同士の関係性の中では、いとも簡単に破棄される。
(流石に程度ってもんはあるが)どんな残酷な仕打ちだって、対個人同士ならばどんな形だってあり得るんだよな〜、と。そういった残酷な真実を恋愛は私たちに提示してくる。

まさに欲望と業の奴隷!!!!!それこそがニンゲンであります。
それを重苦しくなく、最後までポップに描き切った監督の今泉力哉はすんごい。他の作品も見てみないと!!!!!!


・あと、『愛がなんだ』の素晴らしさですが、仕事ヘイトの自分としては、恋愛以外の余計な要素がほぼ捨象され、抽象化されてるのもグーでした。
恋愛ドラマに付随して描かれる、「仕事」って要素、マジでイラネー。
あー、巷に溢れる恋愛ドラマ、全部こうゆうのならいいのになー。
テレビでやってる恋愛ドラマは、仕事の細かい描写とか、余計な要素が多いんだよなー。仕事なんてどうだっていいんだ、俺には。


・そーいや仕事と恋愛ドラマで言えば、結構前にアマプラで
『東京ラブストーリー』も見てました。(これは去年の話なんで、もしかしたらもう見れないのかもしれませんが)

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そう、あの、『東京ラブストーリー』です。
今までちゃんと見た事はなかったし、何ならどういう話かも知らなかったんだが、見てしまった今となっては、語りたい事が止まらないドラマだった。
それを一つ一つ詳述していくと、またぞろ長くなってしまうので、ここでは大雑把に感想を書くと、、、

 ■リアリティとファンタジーのバランスが、現代から見ると完全にぶっ壊れてる。
 ■どいつもこいつもバブルという浮き世に浮かれ、すっからかんな風体ながらも、その狂騒では埋められない切迫性も同時にリアルに描かれてた。
 ■織田裕二と江口洋介の幼さがすごい。それに比しての鈴木保奈美のやや行きすぎなくらいの献身ぶりに目を見張った。決して、ケーハクな感じで「カーンチ、SEXしよっ!」って言うだけの女ではなかった。女神。
 ■流行が一回りしたせいか、登場人物のファッションは結構アリな感じ。

そして、何より特筆すべきは、物語全編に漂う、仕事に対する浮わっついたスタンス!!!!マ、ジ、で、最高だった!!!!昔の恋愛ドラマにおける仕事観のテキトーさよ!!!!
実際の所、バブル期のリーマンやOLがどんな働き方をしてたのかは、当時ショーガクセーだった私には宇宙の果てを覗き見る様な遠さがあるが、それでも笑っちゃう。
一応、鈴木保奈美は仕事に燃えるキャリアウーマンの側面もあるにはあるのだが、どうにもこうにも仕事の実態がなさ過ぎて、仕事そのものが、見えるけど実体のない蜃気楼の様だ。
職場のノリも軽くて、同僚が中山秀征の時点でいいヴァイヴス。職場の倉庫でいつも織田裕二と鈴木保奈美が痴話喧嘩してるし、社内では公認のバカップルって感じだし。仕事に対する真剣味がないんだよね。でもさ、仕事に対するスタンスってこんぐらいでいいよなあ〜。絶対。


・安野モヨコの『後ハッピーマニア』も最近読んで面白かった。

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あの、シゲタカヨコが、45歳になっている!!という衝撃もすごいし、
それでも笑えるし勢いがあって『ハッピーマニア』読んでるなーって感じ。
内容は、、、マジで笑えないけどな!!
45歳って年齢の重さ。それは重ねてきた人間関係の重さである。社会的責任とか、そーゆう「うるせ〜要素」は一切関係なく、テメーの人生をテメーで本格的に背負うべき時が来た時のズシンと来る重圧、、、
今まで好き勝手してきた人生のツケをここに来て払わされている男女の右往左往を、堅苦しくなく、重苦しくなく、飽くまでポップに活写してて、
あの頃のモヨコ先生が帰ってきた〜〜〜〜〜!!!!!!!
と、拍手喝采を送りたくなる内容だった。(あまり『さくらん』みたいな路線が好きでない)

本作は本当に今の自分に刺さる内容で、いい年してまだ全然未成熟なあいつらが、どうにか足掻いて成長するのではなく、このままヘラヘラ地獄に落ちていくのだろうな〜。という雰囲気で、
いいぞいいぞ、そういうのが俺は読みたいんだ!!
つまりそれって、大人になり損なった奴らのイタさなんだろうな。状況は大分違うけど、つまりこれって、、、俺の事じゃん!!!!

『ハッピーマニア』や『花とみつばち』にしろ、安野モヨコ流ラブコメは、キャラの成長や人間関係の決着がないまま、疑問と課題だけが提示されて終わるのが常で、この『ハッピーマニア』の続編も、多分地獄の様な未来だけが提示されて終わるのだろうなー。今から楽しみだぜ!!!!!!!


・ああ、早く俺に合う恋愛ドラマ見てえなあ〜。美少女やイケメン、ボーイズラブに頼らないものをさ。見てえよ〜。

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