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中学3年の冒険

急にFacebookが8年前の画像を提出してきた。

画像は1枚のチケット。

今から29年前の1993年5月19日水曜日 
公演名は                【THE BLUE HEARTS STICK OUT TOUR】
この時はまだ中学3年生の14才。
中学2年のクラス替え、いつからか仲良くなった友達2人の影響で気づいたらブルーハーツが好きになり札幌にコンサート(あえてLIVEとは言わない)で来るから行こう!ってなった。

確か春休みに地元の西武のプレイガイドでチケット買って当日までワクワクしてたんだと思う。

地方に住んでいて札幌までは高速バスで3時間かからないくらい。今でこそ車を運転するようになってからは、気にするほどの距離ではないが中学生にしたら旅行とも思える位の距離。しかも学校の授業が終わって、きちんと下校の掃除もしてから札幌に行こうとしてたんだから正直どうかしてる。

お金の工面はたぶんお年玉貯金だろう。チケット代は画像を見ると税込みで¥3,605円 高速バスの料金はたぶん往復で¥3,000円。  幸運なことにコンサートの前に修学旅行があったからその時のお小遣いをグッズ代に充てることもできたのだ。

チケットも手に入れ、お金の工面もついた。でも一つだけ覚えていないのは親の承諾である。両親はどちらかというと真面目な性格で音楽が好きな訳でもなく映画やコンサートに行く姿なんて 見たことはない。(伊奈かっぺいさんのコンサートには一緒に連れてかれたような記憶はあるが) そんな親へコンサートに行く、しかも平日に地元ではなく札幌にだなんて親からしてもどうかしてると思っただろう。そこをどのようにしてプレゼンしたのかはさっぱり覚えてないけど、行ったのは事実だから交渉は成功し、許可を勝ち得たのだ。

そして当日。よりも少し前の日、母ちゃんが『たまたまその日用事ができたから先に札幌に行ってるね』と言われた。僕は『ふーん、わかったよ』と特に気にせずに答えた。

そして5月19日平日の水曜日。前述のとおり授業受けて、下校の掃除もしてダッシュで帰宅。すぐに着替え高速バス乗り場へ自転車を漕いだ。友達二人も自転車に乗って登場して高速バスへ飛び乗った。夕方から友達と3人で札幌へ。しかもロックコンサートを観に。中学3年生の冒険だった。

五月晴れの天気の良い日で札幌に降りたのはテレビ塔の近く。コンサート会場は旧札幌市民会館。母ちゃんと一度合流して終わった後の待ち合わせとかを約束し会場へ向かった。

コンサートが始まる前、友達がソワソワ・ウロウロしていたら会場のスタッフに『お前目立つから気をつけろよ』と注意されていた。さすがロックコンサート。『怖っ!』とビックリしたのは覚えている。始まった瞬間に周りの席の人たちが立ち始めて、ボーッとそのまま座っていたら 友達が『おい!立てよ!』って片腕を引っ張り上げた。ロックコンサートは初めてだからお作法なんてわからない。ぎこちない感じで自分の席のところで小刻みにジャンプしたり腕を振り上げたりアルバム曲のほか、リンダリンダ、トレイントレイン、情熱の薔薇などのメジャーソングは余すことなく演っていた(はず)

初めてのコンサートはあっという間に終わり、今でも行ったという記憶はあるけど、歌が良かったとか演奏がすごかったとかの記憶はほぼない。 ヒロトが脱いだなって記憶はうっすらあるけど コンサートが終わった後に会場の外で母ちゃんと再び合流して、帰りの高速バスへ。ロッテリアかマックを買っていてくれて僕たち3人はそれを食べながら高速バスの車内で小さな声で感想を言い合っていた。        

高速バスが地元についたのはちょうど0時近く。友達2人は自転車に乗って帰り、僕は自転車を押しながら母ちゃんと歩いて帰った。

この冒険のお話しはここで終わり

ではなぜ唐突にこの話を書いてみようと思ったのはFacebookが提出してきた画像を母ちゃんとLINEでやり取りしたから

中学3年生なんて自分たちはもう大人だと思っても、母ちゃんからしたらまだまだ子供。平日に札幌に行くこと。帰りが夜遅くなること。もし帰りのバスに乗り遅れたらどうするのか。そう考えると本当なら『行ったらダメッ』って禁止するのが当たり前なのに、偶然札幌に用事ができたからって当時は何も思わなかったけど、母ちゃん付き添ってくれてたんだなと大人になってからわかってちょっと泣いた。コンサートが終わる時間まで札幌でなにしてたんだろう。

母ちゃんに用事は嘘だったんだねって伝えると『ばれてた?』ってしかも『ラジオでブルーハーツ曲かかると思い出すね』って        僕たちの冒険の思い出が母ちゃんの記憶にも残ってくれてると思うと凄く嬉しくなった。

そんな2022年5月19日(木)

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