大好きなマンガ家さんの話

大好きなマンガ家さんがこの世から去ってしまった。

訃報に触れ、信じられない、信じたくない気持ちでいっぱいだった。これまでも好きなマンガ家さんの訃報に触れたことはあるが、今回は、事の経緯がちらりと見えているだけ、やるせなさを感じる。

そのマンガ家さんの作品を初めて読んだのは、子どもの頃だった。「天然ビターチョコレート」というタイトル。少し年の離れた姉が買ってきたものだったので、当時の私が読むには少し難しかったと思う。しかしキャラクターの明るさや展開の面白さに引っ張られ、楽しく読んでいたと記憶している。

決定的にファンになったのは「砂時計」だ。同世代相手なら、読んだことはなくてもタイトルなら知っているような、言わずと知れた名作だろう。読み始めた当時は小学生だったはず。当然理解できないところも多々あったが、主人公の杏ちゃんに感情移入して、ドキドキしながら読んでいた。影響を受けやすい私は、家にあった砂時計をポーチに入れて大事に持ち歩いていたくらいハマっていた。あのような幼馴染が欲しいと憧れたものだ。余談だが、私は藤くん派だった。今も変わらない。

その後も、新しい作品が発表される度に読んでいた。大人になるにつれ、子どもの頃には理解できなかった描写の意味や心理表現が分かるようになり、更に夢中になった。言葉が刺さる、唯一無二のマンガ家さんだったと思っている。もっともっと素敵な作品を生み出せるはずだった方だ。過去形で書かなければならないのがつらい。このことについて家族と話しながら、自然と涙が出てきて、私の中でとても大きい存在だったことを改めて感じた。読者としては、作品を読み返して大切にしていくことが、弔いになると思う。

芦原先生、大好きです。どうか心穏やかに過ごせていることを願っています。

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