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12センチの靴がある生活

我が家には、12センチの靴がある。
その靴の持ち主は、朝起きるとまず寝室のドアをノックして「あけて~!」と声をかけてくる。
最近ドアノブに手が届くようになった。しかし、母との約束を守り、勝手に開けることはない。
おはよう、と挨拶すると「おはよう、ママ」と返ってきた。かわいい。

寝室からリビングに移動すると、おもちゃで遊び始める。
お気に入りは絵本、ブロック、ピアノなど。今朝はぬいぐるみだった。
遊んでいるうちに、朝ごはんの準備が完了。
テーブルにお気に入りのパンを見つけると、おもちゃを放り投げて駆けてくる。かわいい。

ごはんはしっかり食べる方だが、少しペースが遅めだ。
集中を欠いた頃に「もうごちそうさまする?」と声をかけられると、泣き叫ぶ。
「たべるぅ~!」と言いながら、パンを頬張る姿はかわいい。

朝ごはんを終えると、歯磨きなどの身支度。
自分でやりたいという思いや、母の言うことを素直に聞きたくない気持ちがいちばん入り混じる時間だ。
自分で選んだTシャツに、がんばって袖を通す。何度か失敗しながらも、やりきって誇らしげ。かわいい。

母の支度が終わるのを待ち、いざ登園。
12センチの靴は、最近自分で履けるようになった。
「ドアあけないでって言われたの」と、母の教えを玄関でつぶやいていた。かわいい。

少し前は、勝手に開けようと鍵のかかったドアノブを触っていたのにな。
昨日より今日、今日より明日。できることがどんどん増えていく。
12センチの靴がある生活は、毎日幸せだ。



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