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ボーダー服を着ただけなのに……。

「えっ、捕まったの?」
一体、何度言われたか。

「何それ、囚人服?」
これも、何度言われたか?

大学生の頃、普通に黒と白のボーダーを
3日連続で着ていっただけなのに、

それ以来、ボーダーを着ただけで
「囚人ルック」
「収監中」
「アルカトラズ」
などと呼ばれていた。

途中から、何だか楽しくなって、
皆の期待に応えるように、
時々、ボーダーを着るようにしていた。

友達と買い物に出掛けた時に、
わざわざボーダー柄の物を選んで、
イジられ待ちしてた事もあった。

あれから10年。
大学の同窓会がある。
同窓会と言っても、仲間内の砕けた感じの同窓会だ。

10年ぶりにボーダー着ていったら
何て言われるかな?
ちょっと楽しみだった。

宴会場に入った瞬間に笑いが起きた。
そして、
「まだ収監中」
「おい脱獄はダメだぞ」
「足の鉄球は外れたんだ」
etc・・・。

ちょっとだけイジりが進化していた。

でも、何で俺だけこんな風にイジられたのか?
長年不思議だった。

というわけで、
当時、いつも一緒に行動していた奴に聞いてみた。

「いつも職質される系ファッションだったからじゃん」
「えっ、そうなの?」
「お前、裏で不審君って呼ばれたの知ってる?」
「えっ、何それ?」
「すげー危険そうな奴みたいになってたんだよ」
「そうだったの?」
「M君がさ、あれ逮捕された?ってイジって、お前の反応が面白かったからさ、それで、あ~こいつファッションセンスがヤバイだけで、人間は良い奴そうだってなったんだよ」
「そうなの?」
「そうだよ。俺なんか、サークルの友達から、あいつとあんま一緒に行動するなよ、って言われてたんだから」
「えっ!?」

俺、ファッションセンス、ヤバかったんだ……。
今知った。

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【題】不審者ファッション
この物語は事実を基にしたフィクションです。

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