ボーダー服を着ただけなのに……。
「えっ、捕まったの?」
一体、何度言われたか。
「何それ、囚人服?」
これも、何度言われたか?
大学生の頃、普通に黒と白のボーダーを
3日連続で着ていっただけなのに、
それ以来、ボーダーを着ただけで
「囚人ルック」
「収監中」
「アルカトラズ」
などと呼ばれていた。
途中から、何だか楽しくなって、
皆の期待に応えるように、
時々、ボーダーを着るようにしていた。
友達と買い物に出掛けた時に、
わざわざボーダー柄の物を選んで、
イジられ待ちしてた事もあった。
◆
あれから10年。
大学の同窓会がある。
同窓会と言っても、仲間内の砕けた感じの同窓会だ。
10年ぶりにボーダー着ていったら
何て言われるかな?
ちょっと楽しみだった。
宴会場に入った瞬間に笑いが起きた。
そして、
「まだ収監中」
「おい脱獄はダメだぞ」
「足の鉄球は外れたんだ」
etc・・・。
ちょっとだけイジりが進化していた。
でも、何で俺だけこんな風にイジられたのか?
長年不思議だった。
というわけで、
当時、いつも一緒に行動していた奴に聞いてみた。
「いつも職質される系ファッションだったからじゃん」
「えっ、そうなの?」
「お前、裏で不審君って呼ばれたの知ってる?」
「えっ、何それ?」
「すげー危険そうな奴みたいになってたんだよ」
「そうだったの?」
「M君がさ、あれ逮捕された?ってイジって、お前の反応が面白かったからさ、それで、あ~こいつファッションセンスがヤバイだけで、人間は良い奴そうだってなったんだよ」
「そうなの?」
「そうだよ。俺なんか、サークルの友達から、あいつとあんま一緒に行動するなよ、って言われてたんだから」
「えっ!?」
俺、ファッションセンス、ヤバかったんだ……。
今知った。
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【題】不審者ファッション
この物語は事実を基にしたフィクションです。
コチラは過去に旧twitter(X)でUPした物語です。
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