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10:最初から「おかしい」と思っていたけど

高山やハイエナコさんの支援を受けながら、就職活動を再開した。

高山にはほぼ毎日メールや電話で現状報告をした。さらに毎週末、高山とはミーティング。まあ事実上遊んでいるけど。遊びの中に再就職活動に必要なノウハウのレクチャーなどが入る。

高山のレクチャーを受け、髪型、服装といった身なりから、椅子の座り方、お辞儀の仕方、名刺の渡し方といったお作法的な事から、面接での受け答えまでトレーニングした。

俺としては優良ブラック企業が希望だったが、優良ブラック企業も時代の風潮もあってか、どんどん減ってしまっている。結局、元ブラック企業だったぽい、ノーマル風のグレー企業に採用が決まった。

求人広告上は、頑張れば正社員登用ありの契約社員という見せ方だったが、

「マネージャー経験はありますか?」
「部下を指導した経験はありますか?」
「何でこんなに早く離職されたのですか?」

なんて質問にバカ正直に答えている内に、色々と言いくるめられてパート契約にされてしまった。

高山は「ウーン」と渋い顔で唸っていたが、とりあえず雇って頂けただけでありがたい。時給も950円と上々だったし、一応交通費も1日500円出るし。「正社員登用もあるんですよね?」と質問したら、「一応はね」って言って笑顔になったので、きっと良い会社に違いないと自分を言い聞かせて、いや自分を騙して、書類にサインをした。

だけど、営業職希望だったはずが、気付くと、子会社の管理部配属になり、ユニフォームと称する地味な色の作業着を着せられ、掃除用具だらけのハイエースで会社のオフィスから少し離れたビルに連れていかれ、気付くとデッキブラシでビルのタイルを磨いていて、ホースを踏んだら神経質な顔の「パワハラで本社落ちだろお前!」っていう50代くらいのマネージャーに尻を蹴られ、人が足りないからと、共同トレイの掃除、壁の掃除までやらされ、10時~18時のはずが、9時~21時まで扱き使われ、疲れたので階段で座っていたら、また「だから飛ばされんだよお前」っていうパワハラマネージャーに背中を蹴られ、こんな日が、なぜか週6日も連続した。

あれれ?

って、まあ最初からおかしいって気付いてはいたけど……。でも今は、どんな仕事でも真面目にやろうと決めていたので、とにかく与えられた仕事に全力を尽くしていた。

だが、この現場マネージャー、不良ブラック企業もビックリするくらい横暴な奴で、俺はある意味、横暴慣れしているので平気なんだけど、俺と同じくパートでやってきた主婦や学生は、相当キツいみたいで、俺の後から現場にやってきた主婦は3日、学生は1日で辞めていったか配属先が変わっていた。

この横暴なマネージャー野郎は一切反省しない奴で、お陰で常に人不足状態な為、俺が働き始めてから一度も時間内に終わる事が無かった。

<続く>

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