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【タイ飯】バンコクおすすめレバ刺し その2【生肉料理10】

 日本国内ではなかなか食べられない「生肉料理」がバンコクなら自己責任で食べることができる。屋台から高級レストランまで、あらゆる飲食店で生肉を目にする。そんな、バンコクで食べられる生肉料理を複数回に渡って紹介してきた。今回は、今やバンコク在住日本人で知らない人はいないのではないかというほどの有名人、店主ヨートさんのレバ刺し屋台「ラープ・ラブラブ」だ。

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「ラープ・ラブラブ」は数年前からあった。2012年あるいは13年ごろに開業しているようだ。当初、店名がなく、2017年ごろから急激に日本人社会にその存在を知られるようになった。ボク自身は有名になる前に近隣に住んでいる人に教えてもらい、足を運んだ。そのときはほとんど日本人はいなかったが、今は22時くらい前までは9割が日本人客になっている。

 場所は初めてだとわかりにくいかもしれない。BTSプラカノン駅から行くと、プリディー通りの終点近辺まで行くことになるので、歩いて行くこともできない。駅前、スクムビット通りソイ69のバイクタクシーなら10分かからず、料金も40バーツほどで行ける。プリディー通りソイ43にあり、ソイの入り口横にある緑のテント内一番奥、左側にある。

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 この店の人気の理由は「レバ刺し」にある。ほかにも「牛刺し」、「牛炙り(牛たたき)」、「ユッケ」、タイ東北料理の「ゴイ」など各種生肉料理もある。ちゃんとしたレストランだとレバ刺しは安い店で200バーツ台、普通で300バーツ台だが、このラープ・ラブラブがひと皿わずか70バーツという安さ。この値段に多くの日人が衝撃を受け、ハマっていく。

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 人気の理由は値段だけではない。タイの屋台なので管理が悪かろうと思うだろう。実際、タイでは料理人でさえ刺身は魚を切ればいいだけと思っている人もいる。タイ料理店の中には刺身を扱った店もあるし、刺身のヤム(タイ風のサラダ、もしくは和え物)もあったりする。

 しかし、ラープ・ラブラブのレバ刺しは新鮮そのものだ。店主のヨートさんは

「生食用はその日に仕入れ、その日に売り切る」

 という管理方法を取っている。また、ただ新鮮というだけではなく、ちゃんとした目利きで生肉を扱う。これに関しては少しヨートさんの来歴にも触れなくてはならないだろう。

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 ヨートさんは東北地方ウボンラチャタニー県出身の40代である(取材時)。彼は10代半ばにバンコクにやって来て、和食店の門を叩いた。それ以来和食一本で早30年超が過ぎている。

 最初に働いた店は昭和14年(1939年)創業の老舗「花屋」だ。シープラヤ通り、チャオプラヤに近い場所で、日本家屋風で雰囲気のある店だ。今もまだ営業しているので、タイの和食店で最も古い店と言えよう。かつては中曽根首相も来たことがあるような格式のある店でありつつ、ボクのような貧乏タイ語留学生でも嫌な顔をしない店だった。今でこそ日本米になったが、かつてタイで日本米が入手困難だった時代は、ジャスミン米で寿司を握っていたのだとか。

 そんな花屋でヨートさんは修行を始めた。当時の日本人板前は厳しかった。月給もたった750バーツで、生活にも苦労した。勉強のためにと、ときには客の残りものを食べて味を学んだ。

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 花屋で努力をしつつ、その後、ヨートさんは海外に飛び出した。ポーランドやモロッコなどで数年ずつ働いた。トルコでは友人と共に和食店を開業することに成功した。

 そうして、何軒も店と国を渡り歩き、経営も何軒か携わった。そんな経験で培った目利きで肉の鮮度を見分け、生肉料理を扱うのだ。

 タイに帰国したヨートさんは開業場所をこのプリディーに決めた。そして、肝心な「なにを売るか」をみつけるため、毎日プリディーからクロントーイまで歩き、なにがあってなにがなく、なにが人気で、なにを求められているかを考えたという。

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 そうして足でみつけたのが生肉料理だった。タイ東北部にも生肉料理はある。だから、

タイ人にも日本人にもウケるのは生肉だ

 という結論に到ったのだ。ただ、違いはある。レバ刺しで言うと、タイ人は日本人が好む部位よりも胆汁のついた苦い部分が好きなのだとか。国によって好みは変わるものである。

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 そうして今は開店から22時くらいまでは日本人で、それ以降から明け方まではタイ人でいっぱいになる。店員も基本的には親族で固め、一般的な屋台のひどい接客態度ということもない。

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 さらに、イサーン料理(タイ東北料理)の鍋物「チムチュム」や「ムーガタ(ヌアヤーン・ガウリー)」があるほか、日本のしゃぶしゃぶも楽しめる。さらには刺身もあり、ここまでイサーン料理と和食を楽しめる店も珍しい。今しばらく、ラープ・ラブラブの快進撃は続きそうだ。

・DATA
店名:ラープ・ラブラブ
住所:PRI food court43 Soi Pridi Banomyong 43 Klongton-Nua Wattana Bangkok
電話:091-206-0005
時間:19:00~3:00(月2回ほど不定休)
値段:
レバ刺し:70B
牛刺し:70B
ユッケ:70B
牛肉炙り:70B
ゴイ:60B
※この情報は取材時のものです。
※生肉食は100%安全ではありません。当記事はおすすめの生肉料理店を紹介するものであり、安全性を保証するものではありません。タイでの生肉食は自己責任において自己判断で食べるようにしてください。注意点などは下記にまとめています。
※当記事はバンコクで発行される無料誌「DACO」の492号(2018年11月5日発行号)に掲載された記事を加筆修正しています。

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