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タイ人のベビー服の色に対する固定観念

 タイ人は笑顔が絶えず、おおらかなイメージがあるが、住んでみると実際そうでもないことに気がつく。怒りっぽいタイ人は結構多いし、「微笑みの国」なんてタイ人が自ら言うのは学校の標語のようなものだ。実際にそうではないから理想の自分を掲げているのだと思う。同時に保守的なタイ人も多い。なんでも受け入れる度量があるように見えるが、案外、寛容性はあまり高くはない。そのひとつが、ベビー服やマタニティ服に対する固定観念というか、センスというか。

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 これはあくまでもボクの子どもが小さかったころの話で、今はだいぶ変化してきているが、という内容だ。ただ、デパートやスーパーのベビー服売り場を横目に見ると、変わっていない部分もあると思う。

 というのは、マタニティーウェアもベビー服も「とりあえずクマちゃんをつけておこうか」というレベルにしかメーカーもデザイナーも考えていないようで、非常にダサいのだ。ぺらっぺらの布にクマやパンダやウサギの絵やぬいぐるみを無理やりつけているデザインをよく見かける。妊婦もよくそれでいいと思うなあといつも思う。

 タイで初めて働いた職場にそこそこにかわいい女の子がいた。服のセンスも当時の若者らしい感じで。ところができちゃった婚をしたのだが、お腹が大きくなった瞬間から、クマちゃんの服を着はじめ、ボクは強めの衝撃を受けた。そのときに初めてタイのマタニティーウェアの問題を目の当たりにした。

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 ベビー服もそういったキャラクターをつけていることに加え、女の子はピンク系、男の子は水色系になっている。寝巻ならまだわかるが、なんでもかんでもその色にする必要があるのか、と小一時間問い詰めたい。

 ちなみにボクの妻は妊婦のときにそういうダサい服は着ていなかった。元が細かったのもあるが、伸縮性のある服でなんとか出産までやっていたようである。ただ、長女出産直前はかなりお腹が大きかったことと、たまたまいいデザインがなかったのか、白と黒の横じまの服を着ていた。なんか、昔のアメリカ映画に出てきそうな囚人みたいだった。

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 妻はおそらくタイのマタニティー服には辟易していたと見る。ところが、そんな彼女でもなぜかベビー服のセンスは当時のタイ人と同じような、ごく一般的な認識だった。

 というのは、ベビー服の中でも小さいころはつなぎみたいなものをよく着せていたのだが、ボクは黒や紺を選んできた。娘は生まれたときは色白だったので、そういうダークな色が映えるのかなと思ったのだ。しかし、妻は猛反対した。これは男の子の色だという意見だった。

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 当時はまだスマホがなかったし、家にもパソコンがなかったので、検索して見せるという手段がなかった。いくら口で説明しても、なかなか理解されない。

 とはいえ、最初は外にも出られないし、ずっと寝ているわけだから、縫製が柔らかい服を選んだ。一番よかったのが、ビッグCなどのベビー服売り場に売っているものだ。ブランド名は忘れたが、生地もほどよい厚さで、値段も高くない。世界的にも有名なブランドだと聞いたことがある。ただ、男の子は青、女の子はピンクしかなかった。まあ、寝ているときに着るものだし、これは許容範囲だ。

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 いよいよ首が座って服の選択肢も増えてきたときに、ボクは満を持して黒と紺を用意した。猛反対の妻も、実際に着せてみたら案外よくて、そこでやっとわかってくれた。単に想像力が低かっただけのようだ。

 まあ、娘は幼稚園に入るくらいまで髪が全然伸びなかったので、結果、多くの場所で男の子と間違われたけどね。

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 その時代、つまり娘が生まれたころである2006年の時点でタイ人デザイナーのベビー服でセンスがいいものもたくさんあった。ただ、高かった。日本だと赤ちゃん本舗とか西松屋があるけれど、タイにはそういうのがない。タイは車と携帯電話端末とベビー服は高いのだ。センスがいい服はデパートで1着1000バーツ以上だったと記憶する。大人の服よりも高い。

 今、全然思い出せないんだが、上の画像の紺色の服のブランドがボクは好きだった。ベビーから小学生低学年くらいまでサイズがあって、中でも赤ん坊向けがどれもいいセンスしていた。高かったけど。

 あとはGAPもよかった。あれ、この画像はGAPだったかな。ただ、当時はまだGAPがタイに来ていなかったので、欲しければ一番近いところでシンガポールだったはず。前職でシンガポール出張のたびに子ども服を買ってた記憶がある。

 ちなみに、服飾市場のプラトゥーナームにある商業施設「プラティナム」にも多数のベビー服取扱店がある。中には安くていい感じのデザインも2006年くらいからあったので、この辺りも一見の価値があると思う。

 でも、ホント子どもは成長が早いから。赤ちゃんの服なんて、買っても数回でサイズアウトするんだよ。そう考えると、やっぱり安いダサいのでもいいのかなという悪魔の囁きが聞こえてきたりして。

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