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ホテルの朝食はおいしくない方がいいと思う

 タイはブッフェ=食べ放題店が多い。今は特にしゃぶしゃぶ、焼肉系はやたらにある。20年くらい前から東北地方でヌアヤーン・ガウリー(韓国式焼肉)として親しまれてきた料理がムーガタ(鉄板のブタ)という名前でバンコクに来てから、様々な食べ放題店が増えた。

 タイの和食ブームよりずっと前にオイシがサイアム・ディスカバリーに食べ放題店を出したことで大人気になっていた。今だとそれほどでもないかもしれないが、当時は高額設定だっという印象だ。でも、当時和食の食べ放題は画期的だったし、タイ人に対して和食を定着させるに大切なプロセスだったと思う。和食といったって一般タイ人はせいぜい刺身、寿司くらいしか知らなかったレベルで、食べ放題にすることで未知の料理にトライできたからだ。

 最近はシーフードの食べ放題もあるし、しかもわりと安い設定になっているからより行きやすい。下手に外国人が多かったり一見さんが多い店はオーナーが手を抜くのでダメだけれども、タイ人向けにまっとうにやっている食べ放題店はコスパがいい。

 最近だと予約アプリでホテルのブッフェもだいぶ安く楽しめるようになってきた。ランチだとか飲茶、ブランチ、お茶とケーキの食べ放題とか、いろいろとある。

 朝食は大きなホテルだとだいたいブッフェだ。料理はおいしいに越したことはないけれども、朝食はあまりおいしすぎてもいけないとボクは思う。

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 かつてアソーク駅周辺、そこから東方面は駐在さんのエリアという感じで、現地採用者とかただタイにいる不良長期滞在者はあまり足を運ばなかった。そんな時代でもボクは食べ放題のためにアソークだけはよく行った。

 今だとターミナル21の裏手にアルゼンチン・ステーキみたいな店がある。あそこは2000年初頭は小さなホテルだった。その1階はホテルのレストランになっていて、昼間だけイタリアン・ブッフェを楽しめた。確か350バーツくらい。パンとかおいしくて、生ハムもあったし、パスタは注文して作ってもらう。よかったね、あそこは。

 あと、その向かい側のロビンソンの上のホテル。ここに高級和食店があって、当時の物価からしたら高かったけども700バーツくらいで寿司の食べ放題があった。カウンターに座って、日本人の寿司職人に注文して作ってもらうんだよ。今考えるとすごいサービスであるが、本当にそんな店があった。今も店自体はあると思うけど、たぶんそのサービスはずっと前に終わっているはず。

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 タイで高級ホテルに泊まることはほとんどない。ひとりの場合はだいたい取材旅行なので、安い宿で充分だから。さすがに家族と出かけるときはある程度ちゃんとしたホテルに泊まる。ご存知のように、なんだかんだタイはホテルが安いし、ひと部屋いくらという計算だし。子どもが中学生未満だとノーカウントになるから安く泊まれる。

 そういうホテルは当然、朝食付きが基本となる。1泊2000バーツ台3000バーツ台ともなれば、朝食も結構おいしい。ボクはその中ではパタヤのサイアム・ベイショアだとかバンコクのシーアユタヤ通りにあるホテルのグループが好き。THE SUKOSOLというグループなのかな。前はサイアムホテル・グループだったような。

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 タイ料理や中華料理、場所によっては和食的なのもあるが、ボクはだいたいどこでもこういったセットにする。ソーセージ、ベーコン、その場で作ってくれるオムレツ。あとはパンにトマトジュースだ。オレンジジュースとかはたまにアレルギーみたいなのが出ることがあるので、ホテルの高級で100%果汁的なジュースは飲まない。トマトジュースはだいたい薄いから大丈夫。

 どこにでもありそうではあるが、タイ以外だとこの形が揃わない。上海ではまずオムレツや目玉焼きを作るブースがあったのにもかかわらず、英語が通じなくて作ってもらえなかった。パンもおいしくなかった。ベトナムは似たようなセットにすることができたものの、なんか微妙に味が違った気がする。

 日本では見たことがない。そもそも日本だと和食が中心になるというのもあるが、まともな朝食すら見たことがない。炊飯器の米は糊みたいになっているし、和食もパッサパサのものばかり。まあ、日本でホテルなんて前職の出張で行ったくらいだから、そう高いホテルではなかったけれど。

 だいたい日本のホテルはスーツケースを床で広げられないし、ドアがそもそも全開にできないとか、狭いところが多すぎる。浴室もむちゃくちゃ狭い。日本のホテルがすごいのはPチャンネルの充実度くらいじゃないか。

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 パタヤのサイアム・ベイショアはホットケーキの自動製造機まであった。息子はこれが好きで、何度も作って食べていた。娘も、洋食系でいろいろ楽しんでいる。妻はやっぱりタイ料理とか中華系の朝食を好む。

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 あと、こういったちゃんとしたホテルの朝食ブッフェはデザートも充実している。このときはこういった菓子パン系しかなかったけれど、ケーキがあったり。そういえばミャンマーの首都ネピドーで泊まったホテルは朝食もむちゃくちゃおいしくて、スイーツもよかったな。

 ホテルの朝食がおいしいと、ついつい食べ過ぎる。なぜなら、ブッフェ、あるいは食べ放題と聞くと、途端に貧乏人スイッチが入ってしまうから。なにに対して執念を燃やすのか自分でもわからないが、元を取ってやろうと意気込んでしまうわけだ。

 こうすると朝から腹いっぱいで、昼とか食べられない。下手したら夜まで腹が空かない。ボクは体型のわりにはあまり食べない方なので、なおのこと。

 でも、ホテルに泊まるということは旅先にいるわけ。だとすると、ホテル以外にも行くべきグルメスポットが必ずある。だから、ホテルの朝食がおいしすぎるとついつい食べ過ぎてしまい、結果、見るべきもの、食べるべきものを体験しないまま過ごすことになってしまうのだ。

 だから、家族と出かけるときはいいとして、普段はゲストハウスとか、そういう寝るだけの機能しかないような宿で充分なのである。

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