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ベトナムでヨーグルト・コーヒーを

 飲食関連の書籍を多く手がける編集者である和田義彦さんベトナムのヨーグルトコーヒーの存在を教えていただいた。ボクは普段コーヒーをほとんど飲まない。若いころは普通に飲めたのだが、20代半ばくらいに急に飲んだあとの口に残る臭いが苦手になったからだ。コーヒーの香りは嫌いではないのだが、飲んだあとが嫌で飲まない。それでもおすすめということだったので、一度足を運んで見たのだが、これが意外といいものだった。

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 ベトナム全土にヨーグルト・コーヒーがあるようだ。その呼び方からもわかるように、ヨーグルトとコーヒーを混ぜたもので、ぱっと聞いた感じでは変な組み合わせに感じるかもしれない。それ故に人々の目に留まり、人気になったらしく。

 そんなヨーグルト・コーヒーの先駆けは「Cộng cà phê」なのだとか。コン・カフェと読むこの店は、今ベトナム各地にある人気のコーヒーショップ・チェーンだ。

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 コン・カフェの「コン」とは共産主義などの意味があるという。ベトナム戦争時の南ベトナム解放民族戦線をベトコンと呼んだが、このコンは「コンサン」、すなわち「共産」の略なので、コン・カフェのコンと同じだ。

 共産カフェなんて日本や昔で言う西側諸国では想像しにくいコーヒーショップではあるが、要するにベトナムでもちょっとしたレトロブームがあるようで、南北統一、つまり1975年以前の古き良きベトナムを再現することをコンセプトにしたカフェなのだそうだ。だからというか、始まりは首都ハノイとなる。

 上記公式サイトによれば、創業は2007年で、最初からフランチャイズ展開をしていたようだ。公式ではコン・カフェのコンはベトナムの正式名称であるベトナム社会主義共和国=Cộng Hoà Xã Hội Chủ Nghĩa Việt Namの頭の部分を取ったとのことだ。

 コンセプト通り、店員も昔のベトナムの軍服風だし、店内もレトロ調の雰囲気で結構いい感じの店舗が多い。ハノイで人気に火がつき、コン・カフェは今ベトナムの主要都市には必ずあると言っても過言ではない。少なくともハノイ以外ではダナン、ホーチミンでボクはコン・カフェを見ている。

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 コン・カフェでヨーグルト・コーヒーを注文すると、こんな形で出てくる。氷の上にヨーグルトが入り、その上に濃いコーヒーがほんの少し。意外とコーヒーが少ないので、ヨーグルト・コーヒーというよりはコーヒー・ヨーグルトのような気がする。

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 メニューを見ると「SUA CHUA」というページにヨーグルトの文字が並ぶ。その上から4番目がヨーグルト・コーヒーだ。40Kはつまり4万ドンなので、大雑把に2ドルくらいか。一般的なコーヒーよりやや高めとは言っても、驚くほどの高さでもない。

 英語を見ると、w.がおそらくwithとすれば、やっぱりヨーグルト・コーヒーではなく、コーヒー・ヨーグルトになる。

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 上から見ると、こんな感じで、かなり濃いコーヒーが入っている。残念ながらボクはコーヒーを飲まないためにこれがなんというコーヒーなのか知らない。さらに、ここでコーヒーだけを少し味見してみようという考えも思い浮かばなかったので、結局今でもこのコーヒーの正体はわからない。

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 コーヒー自体はかなり濃い感じだが、このヨーグルト・コーヒーの飲み方はこのようにしっかりと混ぜてしまう。だから、ヨーグルトの甘さもあって、仮にコーヒーが濃くて苦くても、全然そんな印象のない味わいだった。なんというか、コーヒーとヨーグルトってこんなに合うのかというくらいさっぱりとしておいしかった。

 ただ、ボクみたいにドリンクはなんであれゴクゴクと喉を鳴らして飲む派からすると、このヨーグルト・コーヒーはかなり量が少ない。それだけが難かな。

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