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100年以上営業している「笑笑酒楼」

 ヤワラーの片隅にある古ぼけた中華料理店がある。漢字では「笑笑酒楼」、タイ語読みでは「イムイム」だ。タンジャイという潮州系の中華海鮮料理店の上にある。店内は薄暗くて、まるで友人の家に来たような、飲食店とは思えない殺風景な様子だが、実は100年以上も続いている店として知られている。

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 イムイムの入り口は飲食店とは思えない、昔のヤワラーの企業のような雰囲気で、知らなければ入る気にならないほどの外観だ。日中は特に下の中華海鮮が派手なので、目に留まらないだろう。大通りに面しているわけでもなく、場所的には一本裏手になるので、怪しさは満点だ。

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 そんなイムイムの名物はこの中華麺をカリカリに焼いて、上にハムを散りばめたものだ。麺は表面こそカリカリだが、中は炒め麺の感触を残しているので、絶妙な食感になる。ここに砂糖や黒酢をかけて食べるのだが、シンプルでありつつ、飽きない味という逸品になる。

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 この料理はなんだったかな。アヒルだったか鶏肉だったか。ほかの店ではあまり見ない、エビセンと一緒に食べる肉料理だ。

 ちなみにビールはあったが、紹興酒とかの中国の酒はなかったような。メニューの数自体もそれほど多くない。本当に昔ながらの飲食店で、タイムスリップした気になる。

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 こういった料理もある。刺身だ。刺身の上にたっぷりのゴマが振りかけられている。

 口にすればすぐにわかるが、この刺身は淡水魚だ。調べると、おそらくソウギョ(草魚)と呼ばれる淡水魚を刺身にしている。中国では最も多く養殖されている淡水魚らしい。普通は火を通すのだが、潮州では刺身にして食べるようだ。

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 しかもこの魚の刺身は上の画像のような、ピーナッツをベースにしたタレで食べる。階下の潮州系海鮮料理店にも同じ料理があり、やはり同じようにピーナッツベースのタレで食べる。しかし、海鮮店では一応日本人向けに醤油とワサビも用意している。ここイムイムではそんなものはない。

 このソウギョは2メートルにもなる大きな個体もあるらしいが、いずれにしても淡水魚なので、生食は本当は危険らしい。一応コイの仲間らしいが、コイを刺身で食べる日本の場合はいろいろと管理がしっかりしているので、話が違う。勇気がある人に試してもらいたい。

 場所はヤワラー通りの南側を一本入ったところにある。イムイムは創業から100年ということだが、ここで100年続いているというわけではないようだ。とはいえ、移転してから何十年と経っているので、建物自体はかなり古い。そんな歴史を感じつつ、シンプルな潮州料理を楽しむには一番の店である。

 今は地下鉄も開通したので、ヤワラーはかなり行きやすくなった。ここの店主は地下鉄開通で客がいっぱい戻ってくると数年前に期待していたが、果たして客足は増えただろうか。

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