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続・タイの穴場な島はここ【ヤオ・ヤイ島】

 前回紹介したヤオ・ノイ島と比較すると、今回紹介するヤオ・ヤイ島はほとんど観光地化されていない。観光客を迎え入れるための整備がされていないので不便ではあるものの、一方ではきれいで静かで魅力的なビーチが数多くある。ヤオ・ノイよりも「ないもしない」を楽しむ場所というイメージだ。

 ヤオ・ノイと違う点がもうひとつあり、ヤオ・ヤイは生活者の息づかいがそこかしこに感じられ、漁村など島民の生活なども見所だ。観光が少ないとはいえ、ホームステイもある。タイ観光における「ホームステイ」とは民家などに泊まり、農業や漁業を体感するツアーを指す。そんな感じなので、ヤオ・ヤイはとにかくのんびり過ごしたい人に向いている

 住民が多いので、一般的な食堂や飲食店、屋台もヤオ・ノイより多く、イスラム料理やタイ南部料理、シーフードが楽しめる。ただ、住民の99%がイスラム教徒だそうで、アルコールが飲める店はホテル以外ではざっと数えて3軒程度しかなかった(取材時)。

 治安はすこぶる良好で安心だ。ただ道路が舗装されていないところも多く、バイクの運転には注意が必要だった。今回はそんなヤオ・ヤイ島を見ていこう。

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 ヤオ・ノイも海や島以外にこれといった観光スポットがなく、なにもすることがない場所だったが、ヤオ・ノイはさらになにもない。そのため、住民も、ほんの少しの観光客も、みんなのんびりしている。

 島内は車がほとんど走っていない。ヤオ・ヤイには一応フェリーが発着するが、車で来る人はほとんどいないし、住民も車を買えるほど裕福ではない。その分、空気が非常にいい。時間もゆっくり流れていくような雰囲気だ。それがヤオ・ヤイである。

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 ヤオ・ヤイの楽しみ方はやはりローカルの人々と触れ合いだろう。仕事をしている人に「なにをしているんですか」と訊けば、丁寧に教えてくれる。のんびりした島なので、島民の心もピュアだ。

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 ヤオ・ヤイの産業で盛んなのは漁業だそうだ。島の南には「これぞ漁村」という風景が見られた。

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 朝方に村を訪れると漁師たちが網からなにかを外していた。手元を覗くときれいなワタリガニだ。

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 島内を走っているとそこら中で魚を干している。これらは「プラー・ジンジャン」なのだとか。カタクチイワシの一種だ。ヤオ・ノイでは特産物がなにもないと言われたが、ヤオ・ヤイは干物が有名らしい

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 住民もいつも食べているようで、食堂にはテーブルにナンプラー(魚醤)などの調味料と一緒に、干されたカタクチイワシが必ず置いてあった。バンコクどころか、プーケットでも見ない光景だ。

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 このカタクチイワシの干物はそのまま囓ったり、南部のカレー料理に入れて食べるのだとか。できたばかりのものは塩味がほどよくて、ビールが飲みたくなる味だった。

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 ヤオ・ヤイはヤオ・ノイと違い、島の西にも東にもビーチがある。おすすめは2ヶ所あった。西側の「ハートクロン・ビーチ」、東の「ラム・オックノック・ビーチ」だ。前者は北側から入って行けば、舗装路ですぐに到達できる。ハイシーズン中なら海の家もあって、簡単な料理や飲みものが頼めるようだった(取材はオフシーズンだったのであくまでも想像だが)。

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 後者のビーチはややわかりにくい。道もそこそこに悪路だったが、ビーチ手前には湧き水があって、その水を飲むことができた。泳いだあとに水浴びに使えるのがよかった。

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 それから、ヤオ・ヤイは一般的な住民が多いことから、飲食店も少なくない。屋台や食堂など、安い店が多かった。また、シーフードもおいしい。タイは大資本にいい海鮮が持って行かれるので、結局のところ、バンコクで食べるのが一番いい。

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 しかし、ここではどこでもおいしいシーフードがあり、たとえば「ソムタム・プータレー(生ワタリガニのソムタム)」は最高だった。身が溶けるように甘く、ちゅうちゅう吸いながら食べた。

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 宿泊施設はヤオ・ノイほどではないが、いいホテルもある。高級ホテルではなく、中級よりもちょっと上の感じのホテルか。コテージがビーチ沿いに並び、部屋からすぐに海に入れるし、各種アクティビティーも揃っていた。

 ヤオ・ヤイもなにもない島だ。しかし、一度行ったら好きになること請け合いである。それくらい、のんびりとして、日常を忘れることができる場所だった。

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