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潮州県発のタコ糸スパ@バンコク中華街

 バンコク最後の秘境とボクが勝手に呼んでいるのが、1880年ごろから急速に発達し、戦後に一気に時代遅れになった中華街ヤワラーだ。町は入り組んでいて全体像が掴みづらく、悪の巣窟としか思えない雰囲気の建物や路地が無数にある。かつては盗難品を売っていたという市場もあるし、ゴミにしか見えないガラクタを路上で売っているかと思えば、売春婦が客を待ち、死んでいるような姿をした浮浪者が道路に横たわる。それがヤワラーである。

 そんなヤワラーの華人は多くが中国は広東省潮州県にルーツを持つ。タイにも多大な影響を与えてきた潮州県人の子孫が、ヤワラーでタコ糸を使った美容法で、地元女性たちを格安で美しくしている。そんなタコ糸スパに無理矢理に妻を座らせてみた。

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 ヤワラーがバンコク最後の秘境であるが、まもなくその秘境感も消えていくのではないかと懸念する。というのは、地下鉄が開通し、行きやすくなったことで開発が進むのではないかと思うからだ。幸い、今のところはそんな雰囲気がないので、あと数年はこれまでのいい加減なヤワラーのままでありそうではある。

 そんなヤワラーの地下鉄駅の近くにこのタコ糸スパがある。通りとしてはジャルンクルン通り沿いで、駅からタイスキのテキサスがあるソイの方面に行くと見つかる。ただ、この状況だし、地下鉄開通で状況が変わっているため、今も同じ場所あるかはちょっとわからない。※ネット上では同じ場所で営業しているらしいことは書いてある。

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 ここで最初にこの形態のサービスを始めた店は「パーチャオーン」だ。看板の垂れ幕にオリジナルとアルファベットで書かれている。ここが有名になって、模倣店が増えてしまったためにオリジナルと書かれるようになったらしい。店主はみんなモノマネだと怒っていた。

 ここはマッサージとかいろいろあるけれど、メインはタコ糸で顔を始め、腕などの産毛を抜いてくれるコースになる。顔だけなら確か120バーツくらいだったような。今は値段が変わっているかもしれないが。

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 妻には「中華街で格安の美容スパがあるから受けさせてあげる」と言って連れてきた。そして、着いた途端にパウダーを顔に塗りたくられる。一緒に行った子どもたちは大爆笑で。

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 施術は簡単な方法だ。タコ糸をより、そのぐるぐるとなった部分に産毛を巻き取らせる。片方は口に、もう一方は手で持って、それを引っ張るとよった部分が回転するので、そこに産毛が取られるという簡単な原理である。

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 簡単な原理ではあるが、結構な重労働だ。といっても、おばちゃんがこの体勢だから重労働なだけであって、もっと椅子を高いものにするとか、寝転がらせるとかすればいいのに。

 主な顧客は地元のおばさん連中だが、意外と若い女の子もやってくる。タイではテレビなどでも取り上げられたことがあるので、知っている人は知っているようだ。

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 タコ糸は肌の表面をさすっているようにしか見えないが、さすがに少し痛みはあるらしい。でも、終了後の肌はすこぶる良好だと妻は言う。肌がつるつるとしているようだ。

 おばちゃんが言うには、このタコ糸には産毛を抜く効果だけではないのだとか。タコ糸を押しつけ回転させることで肌のマッサージ効果があり、血行促進に繋がるのだと考えられている。

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 あと、若い人だと鼻や額にできる吹き出物やニキビなども取れるのだという。鼻の毛穴の黒ずみもこれで取れると、おばちゃんは妻の鼻をモデルに弄り倒しつつ説明してくれた。

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