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警官も使う警察グッズが土産ものになる

 賄賂や怠慢、汚職などであまり評判のよくないタイ警察ではあるが、それなりに興味深い面も持っている。捜査能力も決して低いわけではなく、本気を出せばそこそこに検挙することもできる組織だ。そんなタイ警察のグッズが案外土産にも向いていておすすめだとボクは思う。今回はそんなタイの警察グッズのショップを紹介する。ただ、これはコロナ禍以前に見に行った話なので、今はどうなっているわからないが。

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 グッズの紹介の前に。タイ警察は博物館を所有する。昔の宮殿の跡地と新設(といってももう何年も前だが)の博物館施設を有する。首都警察本部(日本での警視庁)の隣、というか同じ敷地で、警察の歴史の展示物のほか、宮殿の内部も観られるので、のんびりとしたいい博物館だ。

 場所も旧市街エリアにあって、王宮やワット・ポーなどを観るついでに適している。カオサン通りもすぐ近くにある。

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 これは宮殿の方の内部だ。全然有名でないために来訪者がいないので、ゆっくり見て回ることができるのもいい。

 また、ここの副館長(もしかしたら昇進しているかも)は警察少佐で、かなりの日本好きだ。そして、日本人訪問者を気遣うあまり、どこに行くのかを確認したがるのだが、如何せん、日本語ができない。そして、毎回ボクに電話をしてきて、困ったことがないかを訊いてほしいと言う。

 副館長をだいぶ前にこの記事でも紹介した。この記事が出たあとに日本のテレビ番組が「知り合いの知り合いはすごい人」ということを立証するために取材に来て、この記事を読んで少佐にインタビューしたらしい。そして、少佐がバトンを渡してきたのがボクだった。全然説を立証できていないし。

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 さて、いよいよ本題に。

 今回紹介するグッズショップは、サートーン通りのソイ・スワンプルーにあるイミグレーション前にある。イミグレーションの隣が警察署で、イミグレーションもタイでは警察組織なので、警察の前にあるという意味では結局同じことだ。今はバンコクのイミグレーションと言えば、ドンムアン国際空港の近くだが、ここにサービス窓口が移転するまでは、外国人はみなここに来てビザの延長手続きをしていた。

 また、この隣の警察署はバンコクでもかなり珍しい建物になっている。というのは、ひとつの建屋の中にふたつの警察署があるのだ。

 マップでも同じ建屋にふたつの署があることがわかる。ちょうど管轄の境界線に建っているらしく、同じ建物なのに警察署が同棲している状態になっている。

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 このように3つの警察署がある目の前にあるグッズショップで、タイ全土の警察グッズショップではわりと大きい方だと思う。ボクの中では上野アメ横にあるミリタリーグッズショップの中田商店のタイ警察版だと思っている。基本的にはここで売られているグッズは公式というか、本物である。

 当たり前だが、タイでは警察官も公務員だ。そして、タイでは公務員は国民のために働く者ではなく、国王のために働く者となる。そのため、支給される様々な道具である官給品は国王が与えてくださったものという考え方だ。

 タイの警察官は自分で拳銃を購入する。官品のリボルバーよりも弾数が多いし、新しい拳銃の方がかっこいい。また、税制の関係で警察官は安く拳銃を買えるというのも理由にある。

 しかし、タイ警察官が自分で拳銃を買う最大の理由がほかにある。それは、万が一、官品拳銃を紛失、破損してしまった場合、自分だけでなく上司とその上司もが処分されるほど厳しい罰を受ける。なぜなら国王が貸してくださったものをなくすなんてもってのほかだからだ。だから、なくしても問題のない自分のものを使い、官品拳銃はロッカーに入れっぱなしにするのだとか。

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 そのため、なのかどうかわからないが、警官が使う制服やアイテム各種は自腹が多い。そういうものは大体こういったグッズショップで彼らも購入する。

 つまり、警察グッズショップはレプリカだけでなく、本物も扱っている、というか、ほぼ本物を売っていると言っても過言ではない。

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 こういった事務員向けのポロシャツ、外回りでも使えるジャケットなども売られている。下の画像のようにベルトだってここで購入することが可能だ。

 気になるのは、これらグッズを一般人が買っていいのかという点だ。それは問題ない。タイでは、「ただ」着る分には問題がない。一言でも警察官の身分を名乗ったらアウトになる。

 ただし、すべてが問題がないわけではない。たとえば、防弾チョッキはタイでは武装の意志があると見なされる。警察官や軍関係者、ジャーナリスト、それ以外の認められた人でない場合は所有したり着用すると10年とか20年くらいの刑に処されることもあるという(年数はうろ覚え)。これは違法拳銃の所持・保有と同じくらいの罪になる。

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 今回はソイ・スワンプルーの警察署前のグッズショップを紹介しているが、実はこういったショップはどの警察署にもある。ちゃんとした店構えのショップもあれば、ピックアップの荷台を店舗にした屋台式など様々な形態だ。

 一応民間業者なので、署内に店舗を構えているわけではない。ピックアップの屋台も表通りには駐車しておらず、警察署の駐車場だとか裏手にいるので、観に行ってみるといい。もちろん一般人にも売ってくれる。

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 わりとおすすめなのが帽子だ。キャップなんかは刺繍がしてあって、意外とかっこいい。しかもそれほど高くない。

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 たとえばこのイミグレーションの帽子なんかもかっこよく仕上がっている。警察官と偽らなければ大丈夫なはずだが、さすがにスワナプーム国際空港などでこれを被っていたら怒られるかもしれないが。

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 バイクのヘルメットもいいかもしれない。これを日本で被ってたら、タイ好きなんかが声をかけてくるでしょう。

 ちなみに、この白地に赤の帯は交通課のヘルメットになる。タイ国内でもこれを被っているオジサンがたまにいるので、ただ被る分には問題ない。本物の警察官とただ被っている人の見分け方は簡単で、本物の警察官には4桁の識別番号が記されている。確か交通課は6から始まる番号だったはず。

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 この金色に黒地は公安だとか、機動隊関係のヘルメットになる。

 余談だが、深夜になると交通検問がバンコクの各所で行われるが、先の交通課のヘルメットは基本的に飲酒検問をしている。

 しかし、この金ヘルメットは麻薬の検問をしていることもあるので、その場合は注意したい。臨戦態勢なので、ちょっとでも変な動きをすれば、まずは撃って動きを止め、尋問になる。車やバイクならタイヤを撃つし、外にいる場合は脚を撃ってくることもある。撃たれても尋問が終わるまで病院には行けないので怖い。だから、金色ヘルメットのときの検問はおとなしくするべし。

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 こういった階級バッジも買うことができるようだ。これなんかもかっこいいので、飾っておきたいアイテムになる。先にも述べたように、必ずしてもすべてが購入可能というわけではないので、もしかしたらこれも購入不可になっている場合もあるので、その場で訊いた方がいいでしょう。

 タイ好きはそろそろ土産もののアイデアに煮詰まっているのではないか。そんなときにこういった警察グッズはおすすめだ。ちなみに、空軍博物館には空軍関係のグッズがある店もある。これはまた次の機会に紹介したい。

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