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【タイ飯】バンコクおすすめ鶏刺し【生肉料理11】

 日本国内ではなかなか食べられない「生肉料理」がバンコクなら自己責任で食べることができる。屋台から高級レストランまで、あらゆる飲食店で生肉を目にする。そんな、バンコクで食べられる生肉料理を複数回に渡って紹介してきたが、一応、今回のシリーズ最後の今回は高田イチオシ和食店の「鳥波多゛(とりはだ)」で締めくくりたい。

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 東京の日本橋に本店がある、ヤキトリの人気店「鳥波多゛(とりはだ)」がおすすめだ(以下表記上「鳥波多」とする)。ヤキトリもおいしく、また各種鶏肉の料理もいい。最近はランチも始めていて、ボリューム満点ながら料金設定が安めなので、比較的リーズナブルに食事を楽しめる。

 ディナータイムのドリンクもおすすめだ。特にボクがイチオシするのは「にごり原酒」だ。白濁した日本酒で、鳥波多の料理になんでも合う。日本の本店でも頼んだことがあるが、升に溢れるほど入れてくれないので、バンコクの方がこぼしてくれる分お得感がある。

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 もちろん、この店にも鶏肉の刺身など生肉料理がある。「鶏刺し」、「鶏れば刺し」などの定番から、「鶏塩ユッケ」、新メニューの「鶏もも炙り」もいい。特にこの炙りはボリュームが半端なくて、満足感が高い。

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 そんな鳥波多がおすすめの理由は、当たり前だが鶏肉にこだわった仕入れルートを持っているからだ。ほかにはないルートだからこそ、おいしいヤキトリ、生肉料理が楽しめる。

 鳥波多の日本店は地鶏を使用しているそうだ。しかし、タイの鳥波多はブロイラーになっている。というのは、タイは日本の軍鶏(しゃも)の原型を持つ。闘鶏用の鶏で、日本ではおいしい地鶏として知られるが、かつてのタイの国の名前「サイアム」が当時の日本人にはシャモと聞こえ、その名がついた。しかし、タイでも地鶏は生産性が悪く、安定供給できるルートを確保するのは困難だ。

 そこで、鳥波多は仕入れルートにこだわることでブロイラーでも問題なくおいしいヤキトリが食べられるようにした。タイの鳥波多1号店は2013年3月にオープンしているが、実はこの開業の段取りはその1年も前に済んでいた。生でも食べられる鮮度を保った鶏肉の仕入先に徹底的にこだわったことがオープン遅れの理由だった。

 仕入先である食品会社大手の「ベタグロ」において、徹底管理された鶏肉を用意してもらうように交渉した。しかし、日本では有名店でも、タイでは無名だ。ベタグロからしたら「誰だ、この人は」状態である。そんな厳しい状況でもめげず、鳥波多の現地社長(日本人)は交渉を重ねた。その熱意にベタグロが首を縦に振る。そして、鳥波多がベタグロにとっても初の生鶏肉料理の店となった。

 鳥波多の鶏肉は出荷の前夜、一番最後に絞めた鶏を一番最初に切り分け、その場で真空パックされる。絞めてからパックされるまで6時間以内だ。このスピードがこれまでベタグロにはなかった手法で、交渉が難航したのだ。

 スピードはそれだけではない。鳥波多に到着後も45分以内に生食用の下処理が行われる。たとえばレバーは湯煎コーティングし、ほかの肉はばい菌が付着しないようにシートに包む。こういった作業は信頼と知識がものを言う。そのため、腕のいい職人しか対応させない。だから、鳥波多の厨房内でもまだ数人しか生食用の肉を扱える調理師はいない。

 鶏は身体が小さい。そのため、血液も細かく、細菌が巡りやすい、と社長が言う。生食には細心の注意が必要なのだ。鳥波多ではなにがあっても、肉を翌日に持ち越さない。前日に絞めてはいるが、時間的には24時間以内に消費される計算になる。だから加工場が日曜休みのため、翌月曜には生食はできない。

 また、鶏も動物だ。肉やレバーの状態は切るまでわからない。もし切ってみて、見た目がよくなければ生食用としては不合格だ。徹底した管理でおいしい鶏肉料理が楽しめるようになっているのである。

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 鳥波多は今バンコクに系列3店舗ある。本店はスリウォン通りにあり、日本と同じ鶏肉の専門店だ。

 2軒目は日本人も多いスクムビット通りソイ33入り口のUBCタワーにある。地下にあるので、階段を降りてセブン・イレブンの横を入っていく。こちらの店舗名は「NEW鳥波多゛」だ。このグループは日本もそうだが、NEWがつくと豚肉も扱うという。そのため、この2店舗目でもわずかながら豚肉メニューも存在する。

 3軒目は中心地から遠く離れたBTSウドムスック駅の前にある。店舗名はがらりと変わり「佐助」である。2軒目のビルとこの敷地は同じタイ人の所有で、ここのオーナーが直々に鳥波多に来てほしいと頼んだという。ベタグロで「アンタ誰」状態だったのが、今や請われて展開する状態になった。しかも、ここはコンセプトがまったく違い、日本の居酒屋風になっている。そのため、ヤキトリを中心にするものの、魚料理などもある。しかも、ほかの店よりもやや料金が安いのもいい。

 このように鳥波多は店舗によってコンセプトが違い、しかも店舗ごとの特別メニューやキャンペーンもある。どの店も目が離せないのである。

・DATA
店名:鳥波多゛(とりはだ)
住所:Silom-Surawong Condo Soi Anuman Rajadhon Surawong Rd. Bangrak Bangkok
電話:02-634-5860
時間:平日11:30~14:00,17:30~23:00、土日祝16:30~23:00
web:https://www.facebook.com/Torihada.Surawong/
値段:
鶏刺し:200B
鶏れば刺し:200B
鶏塩ユッケ:200B
韓国風ユッケ:200B
鶏もも炙り:300B
備考:月曜日や祝祭日明けは基本的に生肉メニューはない。
※この情報は取材時のものです。
・DATA
店名:NEW鳥波多゛(ニューとりはだ)
住所:UBCⅡ Bldg B1 Sukhumvit33 Khongtan-Nua Watthana Bangkok
電話:02-662-1331
時間:平日11:30~14:00,17:30~23:00、土日祝16:30~23:00(休:禁酒日やタイの祝日など)
web:https://www.facebook.com/newtorihada/
値段:
同上
砂肝刺し:200B
備考:月曜日や祝祭日明けは基本的に生肉メニューはない。
※この情報は取材時のものです。
・DATA
店名:佐助
住所:8,10 One udomsuk Udomsuk1 Bangna Bangna Bangkok
電話:02-042-9878
時間:平日11:30~15:00,17:00~22:00、土日祝17:00~22:00
web:https://www.facebook.com/Sasuketorihada/
備考:月曜日や祝祭日明けは基本的に生肉メニューはない。店のコンセプトが違うため、メニューは要確認。
※この情報は取材時のものです。
※生肉食は100%安全ではありません。当記事はおすすめの生肉料理店を紹介するものであり、安全性を保証するものではありません。タイでの生肉食は自己責任において自己判断で食べるようにしてください。注意点などは下記にまとめています。
※当記事はバンコクで発行される無料誌「DACO」の492号(2018年11月5日発行号)に掲載された記事を加筆修正しています。

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