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タイの穴場な島はここ【ヤオ・ノイ島】

 前回、山を勧めておいて海をすぐさま紹介するのだが、タイには世界的に知られたビーチ・リゾートがある。特に南部は欧米人に人気があり、インド洋側のプーケット、パンガー、クラビはその代表と言える。アンダマン海に面したこれら3県の間に、あまり有名ではない島がある。寄り添うように並んで浮かぶ兄弟島、ヤオ島だ。

 ヤオ島には「ヤオ・ノイ」、「ヤオ・ヤイ」がある。ノイは小さい、ヤイが大きいという意味だが、ヤオ島に関して言えば小さいヤオ・ノイ島の方が主役的な存在で、ヤオ・ヤイ島は観光地化の進んでいないビーチが多い。地図で見ると大きな面積を持ちながら、ネットでヤオ・ヤイを検索してもほとんど情報が出てこない。それほどヤオ・ヤイ島には手つかずの自然が多く残る。

 そんなあまり知られていない島だが、実はバンコクから簡単に足を運べる。プーケット国際空港まで飛んでくれば、タクシーで船着き場まで30分弱で着ける。タイ東部の人気の島サメット島よりも行きやすい秘島なのだ。ここではそんなヤオ島の魅力を紹介したい。前編として今回はヤオ・ノイにクローズアップしてみよう。

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 ヤオ島は、サートゥン県やトラン県から100年以上前にイスラム系の人々が移住してきたことが始まりとされる。ヤオ・ノイ島とヤオ・ヤイ島がメインになり、ほかにも小さな島々で構成される。総面積は137.6㎢で、住所はパンガー県コヤオ郡になる。

 観光シーズンは乾季の11月から4月だ。旧正月のソンクラーン(4月13日から15日)を過ぎると極端に観光客が減少し、雨季は店じまいをする宿泊施設も少なくない。逆にこのタイミングで来るとビーチを独り占めできるので、オフシーズンも侮れないからおすすめだ。

 シーズンよりも注意したいのは、ヤオ島はイスラム教徒の割合が高いことだ。そのため、飲酒可能な店がプーケットと比べて極端に少ない。ヤオ・ノイはホテルなどに飲める場所がいくつかあるが、ヤオ・ヤイはほとんどない。「ビールあります」という看板がセールスポイントになるほどないと言っていい。

 また、観光スポットそのものが少ない。バナナボートやパラセイリングなどはパンガー県の条例で禁止されている。そのため、アクティビティーは自然を堪能するものばかりとなる。たとえばダイビングやロッククライミング、サイクリングやシーカヤック、バードウォッチングなどが挙げられる。

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 自然が豊かで、実際、バードウォッチングはかなり人気なのだとか。

 ヤオ島のシンボルに、不思議なくちばしのキタカササギサイチョウがいる。この鳥は一生に一度しか結婚をしないのだとか。不変の愛の象徴であることから、ヤオ島のシンボルになったそうだ。

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 ほかにもマングローブ・モズヒタキ、シロハラウミワシ、マングローブ・ヤイロチョウ、アカショウビンなどたくさんの種類が観察できる。

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 ヤオ島の楽しみ方はとにかくなにもしないことだ。ただただビーチを楽しむ。これがヤオ島を堪能するキーワードのようで、ヤオ島島民におすすめの過ごし方を訊くとみながそう口にした。ちなみに、ヤオ島のおすすめの土産ものを訪ねると、問いかけた全島民が「ない」と答えている。特産物がないらしい。

 なにせ、ヤオ・ノイはメイン道路を島1周ぐるりと周ってもわずか15キロ程度しかない。小さい島なので、することがない反面、バイクに鍵をつけっぱなしにしても盗難の心配がないほど治安はよい。

 ただ、陽が落ちたあとは急激に暗くなるので、夜間は宿泊施設周辺で食事などを楽しみたい。

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 いずれにしても、ヤオ・ノイ島全体に飲食店がやや少なく、島内で最も栄えている役場周辺でさえ、コンビニでアルコール販売がないし、外国人向けの飲食店はほぼない。

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 そうなると、食事は自ずとホテルになる。ホテルのレストランならシーフードもあるし、アルコールが頼める場所も少なくない。

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 ヤオ・ノイの西側は島民の生活圏、ゲストハウスやホテルは東側に多い。有名ビーチがだいたい東側にあるからというのもあるだろう。宿泊施設のほとんどが砂浜を眼前に置くので、部屋から水着で海に飛び込める。そういう点ではリゾートの魅力は高い。

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 宿泊施設も竹で建てられた小屋のような宿から、高級ホテルまで様々ある。高級なホテルでは部屋(というよりコテージというかヴィラというか)になっていて、プライベートプールまである。

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 ヤオ島へはプーケット、パンガー、クラビの各県から行けるが、プーケットのバンロン船着き場が空港から最も近くて便利だ。ここからグロンヒア船着き場(ヤオ・ヤイ)かマノー船着き場(ヤオ・ノイ)を目指す。所要はスピードボートで30分程度で、乗り合いならひとり200バーツ程度だ。

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 ヤオ島内の移動は基本はレンタルバイクと考えておこう。ソンテウもあるが、周遊しているので移動はしづらい。レンタルバイクは宿やそこら辺の民家で借りることができる。

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 さて、おすすめの過ごし方はやっぱり海だ。島の各所にビーチがあり、自由に泳げる。ヤオ・ノイのビーチで有名なのは、静かで長い砂浜「ハートヤオ・ビーチ」、長い階段を上り下りして行く「サイタオ・ビーチ」だ。

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 最もおすすめの過ごし方は船を借りて船頭に近隣の島に連れて行ってもらうことだ。ヤオ島は無数の無人島が沖に浮かんでいる。

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 ヤオ・ノイなら、北にあるグードゥー島やロイ島がいい。小さなビーチには人影はないので、食料を持参すれば1日中、島を無料でプライベートビーチにできてしまう

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 それから、ヤオ・ノイはボートでしか行けないような、手つかずの自然も多い。洞窟があったり、ヤオ・ノイの北端に根元が32mを超える巨大なコルク質の木(キハダの一種と見られる)が立っている。

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 ヤオ・ノイの西側は昔懐かしい田園風景が広がっていて、西の海岸には干潮時にしか見られない真水の泉もある。

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 この水を飲み続けたことで体の不調が治ったという人が続出し、一時期はタイでも有名なパワースポットになった。

 ヤオ・ノイはそんなのんびりとした島なのである。








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