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タイ人の家族・親族がどんどん増えていく

 中国や東南アジアは心から家族を大切にする人ばかりだ。逆に窮屈なのではないかと思えるほど、彼らは家族を思いやる。それはタイも同じだ。中国はひとりっ子政策もあって世帯人数はあまり多くないかもしれないが、タイは家族・親族の数が多い。バンコクはひとりっ子やせいぜいふたり兄弟という世帯が増えてきているが、地方なら5人兄弟などが今も普通にいる。

 ボクも妻が地方出身のタイ人なので、田舎に行くとたくさんの家族・親族に会う。結婚して14年、知り合って16年とか17年だ。それなのにいまだに初対面になる親戚とかいるくらいだ。

 なんでこんなにたくさんいるんだ、といつも思う。でも、ふと先日、タイ人の一族がやたらに多くなる理由というか、そういうのを目の前で見た気がした。

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 タイ人は、両親や祖父母が病院に行くとなれば、家族総出で付き添う。だから、実際に治療を受ける人よりも圧倒的に付き添いが多くて、病院内が大混雑になる。これだけ家族の絆が強固なので、日本のように子どもが親を嫌うとか、反抗期に父親と洗濯物を一緒にするなとか、そんなことは起こらない。

 こういった家族像がタイ人、そして外国人の一般的な姿かと思う。現実的には必ずしもそうではない。というのは、不良少年少女はタイにもいて、親と反りの合わない子どもたちもいる。家出する子どもも少なくないし、親殺し・子殺しの事件なんかはもしかしたら日本より圧倒的に多い。

 要するに両極端だ。家族を大切にする人は大切にするし、そうでないととことんいがみ合っているというか。幸い、ボクの妻の家族は仲がいいと思う。だから、祖母の元に節目節目に集まって、ボクなんかが行くとわけわからない人たちに馴れ馴れしくされるわけで。

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 タイ人の家族・親族が多いのは、こうして母体が大きいからってのがひとつだと思う。ボクの妻は5人姉弟になる。長女、次女(妻)、長男、三女、四女だ。義母だけでこの人数の子どもがいる。

 そして、この中で最初に結婚して初孫を義母に抱かせたのがボクの妻であるが、その後、全員がちゃんと結婚して、今現在は全員がふたりずつ子どもがいる。あっという間に義母は10人の孫を持ったわけだ。

 上の画像は妻と、その姉と弟だ。うちはすでにふたりめだが、姉と弟はそれぞれの第一子を膝に乗せている。子どもたちは顔立ちが全然違うので、言われても親戚同士なんてわかりにくいが、こうして見ると、子どもたちの鼻が同じような気がする。このあとに下の妹たちも子どもを産み、さらにそれぞれがふたり目を授かったことで、妻の家族内だけでも人数が一気に増殖したわけだ。

 ちなみに義母は、ボクが把握しているだけで5人姉弟のはず。もしかしたら、ほかにもいるかもしれない。さらに、祖母は再婚なので、もう亡くなったが祖父は前妻との間に子どももいる。もしかしたら祖母もほかに子どもがいるかもしれない。

 さらに義母も妻が若いころに離婚・再婚しているので、再婚先で親族がいる。妻のふたりの妹も父親が違うので、そっちはそっちで親戚がいるわけで。妻の本当の父親はボクとつき合い始めたばかりのころに亡くなっていて、ボクは会ったことがないし、離婚後に出家していたので、別の子どもはいないようだ。

 こう考えると、とにかく親戚がそもそも多く、さらにどんどん増えているので、確かにボクが節目に祖母の家に行って、いまだ知らない人がいても当たり前だな。

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 タイの農村は時間だけはとにかくある。家も密集しているので、親族だけでなく近隣住民とも仲がよくなる。また、近年は物価が上がっているのもあって、若い夫婦は子どもを田舎に置いて、バンコクなどに出稼ぎに行く。

 これも貧困などに絡んだひとつの社会問題なのだが、のんびりにしているといえばのんびりしている。そして、一方で、人間関係が密になるし、若い人はすることがないので、若いうちに子どもができてしまい、さらに家族が増える。

 日本でここまで目に見えて一族が拡大していくなんてないのではないか。これはタイ人を家族に持った人だけが垣間見ることのできる人間劇なのである。

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