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もう少し自分のことを-家族

 妻はタイ人で、子どもたちは当然日タイの二重国籍ではあるけれども、家庭内言語はタイ語だ。子どもは今現在、中1の娘、小2の息子である。

 妻とは知り合いの知り合いの姪っ子という、遠いような近いような関係から辿り着いた。たぶん、2004年の1月頭なので、この記事執筆のジャスト16年前ということか。

 ちなみに、「たぶん」というのは、タイは過去を憶えていることが非常に困難なので、まあこのあたりじゃないかと逆算して思い出しているためだ。

 日本なら、あれをしたとき、季節はなにで、なにが流行っていて、どんな服を着ていて、と思い出とそのときの状況を結びつけられるのではないか。タイは、ずっと暑いので、季節と服装で憶えていることは難しい。日本のように全国民が一斉に同じものに飛びつくということもタイではほとんどないので、これが流行というブームが起こらないというか、そもそも媒体がそういう紹介をしないのでわからない。だから、憶えておくとしたら記憶に日時を刻むか、積み重ねを紐解いていくしかない。

 さて、妻と知り合ったのはたぶんそのころで、当時ボクが26歳か27歳になる年だったか。妻は大学生で23歳か、24歳か(ボクは1977年生まれで、妻は1980年生まれ)。妻は一緒に入学した同郷の友人らはさっさと卒業してしまい、知り合いがいないからというしょうもない理由でずるずると留年を繰り返していた。しかも、その後数年間はボクが学費を払っていたし、結局、山かけ講習会詐欺に遭ってしまい、試験をパスできずという、本当に救いようのない理由で除籍となった。

 ボクは妻と知り合ったばかりのころ、30歳までには結婚したいという目標を持っていた。当時は夜な夜なバーで遊ぶなどしょうもない生活をしていたが、そのときの遊び仲間たちがみな年上で30歳以上だった。

 ある夜、ふとボクは「彼らの歳になっても女の子を追いかけ回して遊ぶのって、嫌だな」と思った。同時に、その遊び仲間のひとりがナンパした女の子がHIVキャリアとわかっていながら、避妊具もつけずに性行為をしたという話を聞き、可能性としてボクも巻き込まれてはたまらないと思ったのもある。

 だから、結婚して落ち着いた生活をしようと考え始めた、そんなタイミングに妻と知り合い、会ったその日に、この人だと感じてアプローチした。その後いろいろあったけれども2006年に結婚に至った。結婚記念日はたぶん5月2日だ。これは記憶がどうのこうとというよりも、国際結婚なので、婚姻が成立した日が日本とタイで違うため、じゃあどっちが結婚記念日なの、という話。

 その後、ひとりめが生まれた。まさか自分が父親になるとは。今でもあの日のことは鮮明に憶えている。娘は活発な子で、しかも物怖じしない。幼稚園に入園したときは、多くの子どもが初めて、そして突然毎日べったりだった母親から引き離されると大泣きしていたが、うちの娘はくるりと我々に振り返ると、さっさと帰れ、と言い放った。強いな、と思ったものだ。

 息子はその5年後に生まれた。分娩室から出てきた保育器(というの?)に赤ん坊が寝ているので、これは高田家の息子かと聞くと、係員は知らないと答えた。ところが、顔を見て驚いた。娘の赤ちゃんのときとまったく同じ顔だったからだ。トップ画像は同じ年齢のころの子どもたちで、左が娘、右が息子だ。

 ここまで顔が似ていると同じ人格に思えてしまうが、まったく違うものなのだと毎日が驚きだ。息子は動きこそ活発だけれども、性格は娘と真逆で内向的だ。幼稚園入園のときもずっと泣いていたし、なんなら今もできる限り学校には行きたくないようだ。

 よく「なぜ日本語を教えないのか」と訊かれる。憶えたかったらそのうち憶えるでしょう。ボクだってタイ語は20歳を過ぎてから学んだ。それよりも、母国語となる言語が曖昧になると思考も浅くなるのではないかと思う。語彙力が低下すれば、その分、考えも浅はかになる。だから、母国語として日本語かタイ語、あるいは英語のいずれかになると思うのだが、妻は日本語も英語もできない。そして、我々はタイに住んでいる。さらに、タイ語の方が文法的には英語に近いので、ほかの言語を学ぶ際にタイ語を母国語にした方が有利だ。なにより、これから先の国としての伸び率はタイが上回るのは確実だと僕は見ている。だから、家庭内言語はタイ語なのだ。

 とはいえ、さすがに学校に行き始めた子どもふたりにタイ語が追いつかなくなっているのだが。

 タイ人と日本人の国際結婚は統計で見ると、韓国籍、中国籍、それからフィリピンと比べるとかなり少ない。一方で離婚率は高い。ボクの知り合いだけでも、もう何組もタイ人妻と離婚している人がいる。

 ボクなんかがここまでタイ人妻と続く理由もよくわからないが、その分、タイ人との生活や、子どもの養育環境など、一般的な日本人が知らないタイも知っているという自負がある。こういったバックグラウンドも含めて、今後noteでいろいろと情報を出せていけたらと思っている。

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