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羽田のPCR検査で何十人もごぼう抜きする

 2020年10月ごろ、タイから日本に来たとき、空港に到着したときの話だ。バンコク-羽田間は毎日飛んでいて、料金も平時とほとんど同じだ。でも、当たり前だがほとんど乗客がいなかった。機材は忘れたが、だいたい40列あるとして、1列にひとりずつ。窓側ふたつ、真ん中ひとつとすれば、乗客はせいぜい120人程度。たぶんそんなにもいなかったと思う。ボクはうしろの方の席だったが、羽田空港の簡易検査(PCR検査っていうのかな、あれも)はほぼ先頭集団ですり抜けることができた。

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 バンコクを夜中に出発して、羽田には早朝到着で、一睡もしていない。というのは、ANAを使う理由がそもそも映画を観るためだからだ。

 まず搭乗からボクの計画が始まる。ボクはチェックインも可能な限り3時間くらい前には済ませる。そして、チェックインするやいなや即出国し、そのまままっすぐに搭乗ゲートに行く。さらにゲートのドア前に陣取り、開いたらすぐ搭乗と。

 ちなみにこの方法でベトナム航空を利用した際にディレイとなり、スワナプームに8時間くらい滞在する羽目になったけれども。

 搭乗して席に着いたら、すぐに座席ポケットにある冊子を広げる。なにをラインナップしているか。最近はディスプレイで一覧が見られるので、映画のリストを全部チェックする。そして、フライト時間を考慮して、どの組み合わせにすれば3本観られるかを考える。なんだかんだ、最大で3本しか観られない。

 飛行機では飲み物を少し飲むくらい。アルコールは一切飲まない。じっくりと映画を楽しむためだ。このときのフライトは平常時ではないから食事とかドリンクのサービスはないと思っていたけれども、ちゃんと機内食が食べられたし、ドリンクサービスもあった。

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 飛行機が羽田に着くと延々とタキシングし、ターミナルに横づけされる。でも、おそらくすべての飛行機は入国審査場から最も遠いところに駐機させられていると思う。そして、飛行機が止まってもしばらくは降りることができない。それでも20分は待たなかったと思うけど。

 降りると通路に示された矢印通りに進む。すると、説明会場みたいなところに集められ、その後の流れの説明を受ける。ちなみにタイからのフライトだったので何人かタイ人もいた。でも、説明は見ていたら日本語だけだった。

 この説明会場の時点でボクはたぶん第3か第4グループにいたような感じかな。うしろの方の席だったので、前から順番に降りて歩いているとこうなってしまうのは仕方がない。

 そこからまた延々歩いたような。いや、隣の部屋だったかな。先に問診だったかな、唾液採取のあとに問診だったかな。寝てないからこのあたり朦朧としているから、ちょっと忘れてしまった。

 で、まあ問診があったとして、そこでは滞在先と連絡手段、それから空港からの移動手段を訊かれた。もちろん、どこにいたかとか、誰かに接触したか、体調はどうかってのも訊かれる。自慢じゃないが引きこもりライターなので、家族以外とほとんど接触がないから、絶対に感染していない自信があった。

 日本の場合、入国後は強制隔離ではなく、あくまでも要請になる。そして、その間はどこに滞在するか、そこの連絡先を教えてほしいと問診で言われる。ラインだったかな、なにかアプリも使える。要は、待機期間は毎日保健所から体調確認が行われるから、その連絡先ってことで。アプリなら毎日電話をしなくて済むというのだけど、外国の携帯電話では登録できないって。そういうところだよな、日本のよくないところ。

 それから渡されるのが、円錐の容器。ここに唾液を入れるのだけれども、意外と多いのよ、これが。0.2ミリリットルとか0.4とかそんな感じだったはず。一見簡単そうなんだけど、やってみると結構な量がある。

 唾液を出す場所は仕切りのあるブースみたいになっていて、みんな壁に向かって立って、一所懸命唾液を出す。壁には梅干しと唐揚げの写真が貼ってあったよ。あれ、逆効果だと思う。気になってしまう。

 案の定みんな、唾液を出すのに苦労するんだけど、ボクはここで能力を発揮するわけで。あっという間に唾液を出し切り、一気にごぼう抜きさ。犬みたいな生活をしていると、涎とか唾液なんて簡単に出せる。

 ここからまた延々と歩かされ、待合場に。といっても、普段は搭乗ゲートになっているような場所のベンチ。ここで容器とともに渡されていた確認番号で呼ばれる。これなんか30分も待たなかったと思う。本読んでたらあっという間に呼ばれたもの。

 当然結果は陰性で。ここでまた入国後の交通手段を訊かれる。ボクは姉が迎えに来てくれる手はずになっていたので、その趣旨を伝える。そして、入国審査も税関も誰もいないので、ANAの乗客の大半を抜いて、到着から1時間ちょっとくらいで入国完了となった。ネットでは検査結果が最悪2時間、午後便なら翌日とか書いてあったけれども、あれはたぶん簡易検査がまだなかったときでしょう。簡易検査開始後も待合場で2時間待ったとかも書いてあったので、昼ぐらいも覚悟していたのに。

 で、家に電話して来てもらうことにして、今度は車待ちで1時間くらいかな。駐車場に入るのもあれだからと、エアポートバスが来る場所を見てたけども、係の人に聞いたら「本来はここは一般車両はだめなんですけど、ダメとはこちらから言えないので、判断はお任せします」だって。じゃあいいってこと? って訊いたら、それは答えられないんです、だって。なんではっきり物事を言えないわけ? いい歳したおっさんがよお。

 1時間くらいして姉が着いた。母も乗っていた。全身にアルコール噴霧された。タイよりも、空港よりも厳しい対応だった。しかも、実家到着後、もう一回かけられた。いや、一緒に車で来たでしょうが。しかも、一睡もしていないボクが運転して。

 ちなみに、自主隔離期間は14日間だけど、到着日を第ゼロ日とカウントして、14日目の電話で解放となる。空港の問診では、最寄りの保健所から翌日から毎日、電話で体調などを確認すると言われた。アプリがあればそれで済むのだが。しかし、実際に電話がかかってきたのは7日目か8日目だった。訊いたら、羽田から入国情報が送られてきたのがその前の日だったんだって。いい加減だな。

 しかも、保健所も形式だけなので、本人が出なくてもいいだってさ。かけてくる人も毎日違ったみたいだし。「みたい」というのは、実家の電話にはボクは出ないので、結局その最初の電話以外で1度たりとも電話に出なかったので。代わりに母が出て「生きてます」って答えてた。そりゃ生きているわ。熱はないとか、元気ですとか言ってほしい。

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