ジルいままでありがとう①
ジル、ジル・ボンボン、ジルぼんぼんの輔
楽しい思い出とまっすぐな優しさをありがとう。
今朝、ごはんをあげてオムツを替えていたとき、
ーー水分不足を指摘されたから、ウエットフードに大さじ2杯ほどの水を足してあげたねーー
急に腰くだけみたいになって壁にもたれかかった君。
私の顔を見上げて、元気な頃と同じ顔でニコッと笑ったね。
そう、たしかに笑ったように見えたよ。
その時感じたんだ、ありがとうとお別れを言ってるんだなって。
すごく温かい気持ちになったんだよ。
仕事中に夫からの電話。
呼吸が止まって、痙攣してる。病院に連れて行ったほうがいいかと取り乱す夫に、
ジル、今朝私にあいさつしたから、もう最期なんじゃない?と言った。
一瞬絶句したあと、泣き始める夫。
私は、最期を看取れなくても後悔はないなっておだやかな気持ちだったのだけど、
それよりも夫が心配になって上司に早退を申し出た。
帰り道、小春日和のぽかぽか陽気にだまされた蝶が何匹も飛び回っていた。
ジルは、いい日に旅立つのだな。
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