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鹿島アントラーズらしさとは

鹿島アントラーズは世界でも例を見ないクラブです。

Jリーグで最も成功したクラブにもかかわらず鹿嶋市の人口はわずか66,000人ほどしかいません。

現在の国立競技場の収容人数は68,000席なのでさほど変わらない数字です。

ホームタウンは鹿嶋市の他に潮来市、神栖市、行方市、鉾田市がありますが5市合計でも人口は280,000人に満たしません。

これはいくら地域に根差したクラブ経営を軸としていてもマーケットとしては非常に小さいです。

それでもそのハンデを乗り越えリーグ戦では毎試合平均20,000人ほどのサポーターが訪れます。

スタジアム来場者の過半数は首都圏を中心とする県外から訪れているとのことです。

これほど時間とお金をかけて熱狂的なサポーターが集まるのは勝利の喜びを知っているからに他なりません。

鹿島アントラーズはJリーグ開幕後30年間で20冠を達成しました。

他クラブの追随を許さない独走状態です。

ヴェルディ川崎やジュビロ磐田、浦和レッズと時代によってライバルクラブはありましたがコンスタントに成績を残せているのは鹿島のみです。

他クラブから鹿島に加入してくる選手が「どうして鹿島だけがタイトルを獲り続けられるのか知りたかった」と移籍理由を述べていたこともありました。

それほど特別なクラブと言えます。

そしてそのスタイルは「鹿島らしさ」と表現されます。

「鹿島らしさ」とは非常に抽象的なものでありはっきりとした答えはありません。

ただまず言えることはどんな試合も勝利を追求するということです。

鹿島にとって一つも負けていい試合はありません。

そして勝利のために絶対的なスタイルがないのも鹿島らしさと言えます。

基本的にはクラブの礎を築いたジーコの影響でブラジル色は強いです。

4-4-2のフォーメーションを採用しサイドバックのオーバーラップを織り交ぜてボールを回していきます。

そして特に難しいことをしようとしていません。

シンプルにボールを運ぶ、球際の勝負で負けてはいけない、シュートは丁寧にと基本を忠実に行っています。

手数をかけて相手守備陣を崩すようなテクニカルなものはあまりありません。

またボールを持つチームにはボールを持たせて、ボールを持たないチームには自らがボールを支配し変幻自在な試合運びを見せます。

攻めてくるのであればカウンターで仕留め、守るのであれば自らが攻撃の圧力をかけていくのです。

それでもうまくいかない試合も出てきます。

そのような時は耐え凌ぎセットプレーで抜け目なく得点を狙うのです。

どんなに劣勢でも終わってみれば勝っているというのが黄金期の鹿島でした。

スコアは1-0や2-1が多いです。

そのためゴールを楽しみにしているファンからしたら物足りなさも残るかもしれません。

ただ鹿島の目的は勝つことなのでそのために選手は日々努力しています。

どんな試合も勝利のために全ての力を発揮し一つ一つのプレーを怠らない、そんな積み重ねでここまでトップクラブであり続けることができました。

1993年5月15日に開幕したJリーグも今年が30周年となりました。

メモリアルイヤーとなった2023年5月14日には国立競技場で鹿島アントラーズvs名古屋グランパスのJリーグ30周年記念スペシャルマッチが開催されました。

記念試合ということでRADWIMPS & ZORNのライブパフォーマンスも行われています。

Jリーグ開幕戦ほどではなかったにしろ多くのサポーターの記憶に刻まれたことでしょう。

その試合の前に鹿島のクラブ制作の30周年記念映像が放映されました。

この映像は歴代のゴール集となっています。

しかしキャッチフレーズはどれも鹿島らしさを象徴するものばかりでした。

何度見ても胸が熱くなる素晴らしい映像です。

献身、誠実、尊重とジーコの教えが散りばめられています。

チームへの献身を。フットボールへの誠実さを。仲間への尊重を。と鹿島に関わる全ての人が常に心に持ち続けているものです。

今年の鹿島はリーグ戦5位、ルヴァン杯準々決勝敗退、天皇杯3回戦敗退という成績でした。

どうにかリーグ戦では11年連続5位以内になりましたがクラブの現在の位置には誰も納得していません。

鹿島にとって2位以下は全て同じです。

狙うは頂点のみです。

2018年のACL優勝から時は止まっています。

国内タイトルは2016年の2冠(Jリーグ、天皇杯)以降7年間も獲れていません。

これはクラブ史上ワースト記録となってしまっています。

チームは生き物です。

年月が経てば選手も監督もスタッフも変わってしまいます。

それでもクラブにしっかりとした信念があれば継続して成績を残せることを鹿島アントラーズは証明してくれました。

来季こそ殻を破り時計の針を進めたいです。

もうこれ以上悔し涙は流したくありません。

次のタイトルは苦しんだ分喜びもひとしおでしょう。

その時はきっと「鹿島らしさが戻ってきた」という言葉を多く耳にするはずです。

そして今後も発展し皆に愛されるクラブであってほしいと願っています。

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