翳りがない(朝、駅のプラットフォーム)

翳りがない
今のうちかもしれない
陽は照っている
影さえ残す隙間なく
思いは洗いざらい打ち明けよう
明るみを避ける物陰など見つからない今こそ

終着駅の信号機が
きっと答えを教えてくれる
どちらに進めばいいのか
どちらが間違いなのか
しかし
どちらがこの隠した肌を
絡む蔦から解いてくれるのか

心は宝石かもしれない
いや、偽物かもしれない
疑いの目を向けるたび
姿を変えるものかもしれない

影は私の居場所を守る
付いて回って抱いてくれる
私と常に共にある
零れる翳りを隠してくれる

ただ一つ
悔やまれることがある
それは
一度でもそれを
手放そうと思ったことだ
哀しみを
愛おしさを
誰かの想いを
私自身を

陽の光は燃やすかもしれない
いや、晒し出すかもしれない
本当を語るたび
影を言い表すたび

影はそれを覆い隠すかもしれない
光はそれを焦げ付かすかもしれない
だけどこの戸惑いは
心を解いてくれるものかもしれない

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