ルーレットを回して(途中)

ルーレットを回して
針が止まった所が指示することをしてみよう

・・・・・・

ゆっくりでいい
だから息をして

・・・・・・

声のしない方向に向かって進む
人とぶつからないようにと
肩をすくめて歩かないで済む方法だ

しなくちゃいけないことも
もうしなくて済むような靄の中を歩く

次第に霧が濃くなってきた

・・・・・・

落ち着いて狙えば
必ず仕留めることができる
鹿の動きを捉えた指を覆い被さる温もりが

・・・・・・

ほんのりと灯る視界の世界を両手で囲って

・・・・・・

ささくれ立った親指を思わず背後に隠した
心は読まれてもいい
だけどあなたにこの姿は見られたくはない
"ゆっくりとでいい"?
ゆっくりとじゃなきゃ嫌だ

・・・・・・

私が目を覚ますためには
こうやって餌を与えないと動かないのだそうだ
眠りの間に開いた口に
こうやって餌を放り込まないといけないのだと

・・・・・・

(焼ける川)
影が一人で何をしているんだろう?
太陽はまだあんなに遠くにいるのに
とぼとぼとした足取りで
そして歩みを止めて見つめている
ただ一点を
無くしてしまったもののことを

残光に片目をつむり抗う
できることとできないこととの間
諦めを口にする方が明らかに容易い今
眠るようにこの甘い水に沈んでいく方が本当は早い

ごめんなさい、と言い続けることを
僕はどこかでいい加減に思っていた
匿ってやれる優しさも
身も滅ぼしてしまえる勇気も

また初めから、が意味することも

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僕の知らないことを
何か知っているような朝だ

何かを告げようとしているが
余計なお世話だ

・・・・・・

どうやったら人を頼れるようになるんだろう?
どうしたら人に声をかけられるようになるんだろう?

・・・・・・

みんなにとっての正しいが
あなたにとっての正しいとは違うことがあるから

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