いきさつ

耳の中に残った虫の鳴き声が
頭のてっぺんへと昇ってゆき
小さくなってやがて消えた

夜の部屋の中
まぶたを降ろし
暗闇の内側から
思想の明かりを灯す
不安の影は伸びて道となり
暗黒の壁は惑わしの森となって
その先を遮る

僕の果たすべき務めとは何だろう
僕は将来どうすべきなのだろう
何をどう生きるべきか
僕が送りたい人生とは
僕が過ごしたい日常とは

天命は五十になるまで聞こえないのだとしたら
それまでは自分の信じた道を進んでゆこうか
間違いだったのなら間違いと
そうでなかったのならそうでなかったと
時が来るまで待っていてくださるはずだから

人生とは
ここから前へと繋がってゆくものではなく
ここより以前へと戻ってゆく道のりだとすれば
過去の過ちを悔い改めるための
いままで登ってきた下り坂だとすれば

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