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野良デザインの蒐集

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本来の用途の枠を超えて使われる道具たち。街で出会った匿名の創意工夫「野良デザイン」の蒐集をテーマに、街を歩くことがちょっぴり楽しくなるような記事を投稿しています。
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2023年12月の記事一覧

野良デザイン#179|タイヤのパイロンウェイト

とある屋外駐車場で出会った野良デザイン。砂利敷きの広い敷地に、杭とロープで区画分けされた簡素な駐車場。その中に点々と置かれたパイロンが風で飛ばされぬよう、車用のゴムタイヤが被せられている。 パイロン用に設計されたゴム製のウェイト(写真左側)に比べ、重心が高くなるぶん、安定性が悪化するが、分厚めのタイヤは重量がかなりありそう。 駐車場という「場」に文脈のある活用は、乱雑な配置さえも風景の味にしてしまうようだ。 Habitat|Chonburi, Thailand

野良デザイン#178|コンクリートブロックのパイロン

路地に面した敷地境界いっぱいに、塀が設けられた住宅。車がすれ違うことが難しい程度の幅の道。ドライバーへ塀の存在を示す為、黒と黄色のパイロンが置かれている。 よく見ると、パイロンの脇には、黄色く塗られたコンクリートブロックが置かれている。どちらが先に置かれたか、あるいは風に吹かれるパイロンの保険として置かれたものか。 寝かせたコンクリートブロックの活用は、住宅地の景観的観点から唐突なパイロンと比べ、サインとしての機能と、景観に対する親和性のバランスが取れたアイディアのように

野良デザイン#176|ペール缶のカメラフード

とある郊外の、工場を兼ねた民家の軒先で見つけた野良デザイン。敷地への侵入者を牽制する防犯カメラには、雨よけのフードが被せられています。 このフード、実はプラスティック製のペール缶を切り抜いて作られたものなのです。工事現場などで見かける、ペンキや塗料などが入っている、円筒状の容器です。 下から見上げるとこんな感じ。地上への視野を確保できるよう、信号機のフードのように斜めに切断されている様子がわかります。 また、電源やデータ移送用のケーブルを通せるよう、雨水の侵入リスクの低