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動画をやりたい人におすすめのカメラシリーズまとめ【2020年版】

こういうまとめ記事を書くかどうか、本当は迷った。

巷には陳腐なまとめ情報が溢れかえっており、そういう顔の見えない記事には僕もめちゃくちゃうんざりしているからだ。

だが、僕は映像制作歴 14年のプロ。

おなじくうんざりしている、かもしれない読者のために、僕の経験に基づいた、動画をやりたい人におすすめするカメラ情報を本気でまとめてみた。

ある意味これは、低質なまとめ情報に対するアンチテーゼである。


はじめに

「初心者におすすめの動画用のカメラは何か?」というのは、とても難しい質問である。

この質問に一言で答えられる人(記事)はきっと、もぐりに違いない...。

なぜなら、一言に動画といっても映画からSNS動画まで多種多様で、シネマティックなものを撮影したいのか、イベント記録をしたいのか、SNS向けなのかで、選び方が全く変わってしまうからだ。

だから今回は初中級者を対象に、映画的表現の「シネマティック」、イベント撮影などの「記録用」、そしてYouTuber的な「Vlog向け」の3タイプに分けて、それぞれのジャンルでのおすすめのカメラシリーズを紹介していく。

特筆すべきは、このまとめは単純に「カメラ」ではなく「カメラシリーズ」にしていることだ。これには理由がある。

各メーカーのカメラには、それぞれの特色に合わせたシリーズを展開しており、自分にあったカメラを選ぶには、下記の方法が順当だと思うからだ。

1. 自分の撮りたい方向性に合わせたシリーズを見つける
2. シリーズ内で予算に合わせたカメラを選ぶ

単独のカメラで検証するよりも、そのシリーズの特色を知ることができれば、予算が低くても中古で買ったり、一世代前のモデルを選択することもできる。

そのため「最新の高いカメラじゃなく、中古で安く始めてみたい」という人のためにも、少し前のカメラ情報も含めてみた。

対象者は初中級者、また30万円以下のカメラに限定して書いてみた。

今回はレンズに関することは最低限にして、カメラボディだけにフォーカスして書いている。レンズも非常に大事な要素なので、それはまた別の機会に解説しよう。



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万能タイプ 「Panasonic GH」シリーズ

シネマティック ★★★☆☆
Vlog ★★★☆☆
記録用 ★★★★☆

もしあなたが、シネマティックな作品も撮りたいしやVlogもやりたいし、イベントの記録用としても使いたい、というのなら、このGHシリーズがおすすめだ。

一言で表現するならオールラウンダータイプ。

センサーサイズが「マイクロフォーサーズ」という規格で、他の一眼レフカメラに比べると小さいため、映画的な背景のボケ味を大胆に表現することはちょっと難しい。ただビデオカメラよりは全然シネマティックな表現は可能だ。

また、逆にボケ味が必要ない記録用やVlogにも向いている。

そして、このマイクロフォーサーズという規格は小型軽量化に向いており、レンズも小さくて軽いものが多い。ゆえに扱いやすい。

ちなみに、これらのカメラはバッテリーやメモリーカードに不足がない限り、ずっと録画を続けることができる。

当たり前じゃんと思うかもしれないが、他の一眼レフでは30分までしか連続録画ができないことが多いのだ。

また、熱暴走と呼ばれる現象(撮影中にカメラの高熱によって勝手に電源が落ちること)もない。

この熱暴走で電源が落ちるというのは、取り返しのつかないイベントの撮影では特に致命的だ。

なので僕の経験上は、長時間撮影するなら後述するSONYのαシリーズより、このPanasonic GHシリーズの方が信用できる。

また「GH5」「GH5s」の違いについて気になる人もいるだろう。その違いについては、この記事が参考になる。

「4」は1世代前のモデルで、予算が本当にない人はこちらでも良いと思う。

ちなみにGHシリーズは、他の一眼レフカメラよりバッテリーの持ちは長いが、特に「4」はかなり長い。

ただ「4」と「5」は、シネマティックな質感を表現するために必要な「V-log L」というモードが初期状態では搭載されてない。それを使うためには、下記のアップグレードが必要になる。(5sは最初から搭載)

ということで、

とりあえずいろいろやりたい人にはこのGHシリーズがおすすめだ。何かに特化しているわけではないが、何でもできるオールラウンダータイプのカメラである




スタンダードな「ビデオカメラ」

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シネマティック ★☆☆☆☆
Vlog ★★★★☆
記録用 ★★★★★

スタンダードなビデオカメラというのは、こういうカメラのこと。

大変申し訳ない気持ちでいっぱいだが、僕自身スタンダードなこういうビデオカメラを使う機会がほぼなく、具体的におすすめのカメラを挙げることができない。。

ただ一つ言えるのは、

もしあなたが「シネマティックさは要らない」なら、一眼レフで動画を撮る必要はないし、むしろしない方がよい。素直にビデオカメラを買うことをおすすめする。

フォーカスも合いやすいし、長時間録画できる、レンズ交換も要らない。熱暴走もない。

記録撮影はもちろん、普通にVlogにも向いている。





手軽なシネマティック 「SONY α6000」シリーズ

シネマティック ★★★★☆
Vlog ★★★★☆
記録用 ★☆☆☆☆

なるべく予算を抑えて手軽にシネマティックを楽しみたいという人、そしてVlog用としてもこのSONY α6000シリーズはおすすめだ。

センサーサイズはAPS-Cという規格で、シネマカメラと同じくらいの大きさがあるため、映画的な背景のボケ味を十分に表現することができる。

この3つの中で一番古いのはα6500で、モニターを反転させることができない(=自撮りするときにモニターが見えない)。

そのため、もし自撮りもするなら、α6400 or α6600になるわけだが、α6400はボディ内手ブレ補正が付いていない。なのでレンズ側に手ぶれ補正がない場合は、手持ち撮影は結構手ブレが気になる(手ブレを気にしない人はそれでも良い)。

予算に余裕がある人は、α6600を買っておけば間違いない。ボディ内手ぶれ補正も付いてるし、バッテリーも大きいので長持ちする。ヘッドフォンジャックもついてるので、イヤホンで音のチェックもできる。

ちなみにどのカメラも、動画の画質そのものに差はない。

また、α6500は連続撮影時間30分の縛りがあるが、α6400&α6600はその縛りがない。

しかし、熱暴走はGHシリーズに比べると起こりやすい印象だ。でもシリーズが新しくなるにつれて少なくなってる感はある。その辺の詳しい情報は下記の公式ページが参考になる。

一応、公式では連続録画しても30分くらいで止めてなぁ〜と書かれている↑

でも、実際は[自動電源OFF温度]を「高」にすれば、結構長時間録画できる↓

長時間する場合には正直別のカメラを使った方がいいが、ちょっとしたものを撮るならならとりあえず設定しておくと吉。

ということで、

このシリーズのカメラは、手軽にシネマティック表現がしたい人向け。α6400やα6600は自撮りもしやすいので、Vlogにも向いている。

カメラ自体も小さくて軽く、APS-C専用レンズなら軽くて安価なレンズが多い。ちなみに、僕もα6600を個人用カメラとして所有している。




上質なシネマティック 「SONY α7」シリーズ

シネマティック ★★★★★
Vlog ★★☆☆☆
記録用 ★☆☆☆☆

前述の「マイクロフォーサーズ」「APS-C」より大きなセンサーサイズを持つカメラ。「フルサイズ」と呼ばれる規格になる。

基本的に、センサーサイズが大きくなればなるほど、映画的な背景のボケ味が大きく出るようになる。そのため、フルサイズ機であるこのα7シリーズは今回紹介する中では一番大きなボケ味が出せる。

センサーサイズの違いについて詳しく知りたい人は、下記サイトが参考になる。(画像引用)

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また、フルサイズという規格は、サイズも大きい分、カメラもレンズも値段も大きく重たくなる。レンズはフルサイズ専用のものが必要で、高価だがその分描写力も高い。

α7シリーズのようなフルサイズカメラを買うということは、結果的に大きなお金が必要になってしまう。でもその分、描画力はUP。本格派向けだ。

ちなみにα7sIIは少し昔のカメラだが、特殊な性能があって、高感度撮影に非常に強い。簡単にいえば、暗い夜でも昼のように明るく撮れる、、、と言ってしまいたくなるほど。

通常のカメラだと、ここまで感度を上げるとノイズがひどくザラザラな質感になってしまう。このカメラが登場したときは衝撃的だった。

ということで、

このシリーズのカメラは上質なシネマティック表現を求めてる人向け。モニターが反転しないので、Vlogで自撮りするのはあまり向かない。




ガチシネマな「BMPCC」シリーズ

シネマティック ★★★★★★★★
Vlog ★☆☆☆☆
記録用 ★★☆☆☆

BMPCC = Blackmagic Pocket Cinema Camera

今度は逆にシネマティックに特化したカメラ。

でもシネマティックの範疇を超え、もうこれはガチのシネマカメラ。中級者以上向けにはなってしまうが、15-25万円くらいで購入できるというシネマカメラとしては破格のお値段。

このBlackmagicという会社は業界外の人は聞いたことがないと思うが、オーストラリアの会社で、8年くらい前に突如として撮影業界に参入して旋風を巻き起こした黒船的存在。

特徴としては、低価格。それなのに極上のシネマルックを得ることができる奇跡のカメラだ。ただしデメリットも多数存在する。

例えば、
・とにかくバッテリーの減りが早い
・完全に玄人向けで高い撮影知識が必要
・オートフォーカスは使えないに等しい
・モニターが固定式
・サイズが全然ポケットじゃない(今回紹介してる中では一番デカく重い)

など、いろいろあるけど、映像業界の撮影のプロでも使うくらいのカメラなので、

これらの困難を乗り越えられる人&極上のシネマティックを求める人にはおすすめのカメラである。




Vlog撮影に特化したカメラ「ZV-1」

シネマティック ★★☆☆☆
Vlog ★★★★★
記録用 ★★☆☆☆

番外編として。これは2020年に登場した新しいカメラ。しかもVlog撮影に特化したカメラ&安いということで話題だ。

グリップに録画ボタンがついてたり、そのまま小型三脚になったり、NDフィルダーが内蔵されてたり、オールインワン。もちろんモニターも反転する。それでいて超コンパクト&リーズナブルなお値段。

ただし、センサーサイズが1inchというかなり小さいものになるので、映画的なボケ味を出す表現にはあまり向かない。レンズ交換はできない一体型。

表現力というよりは、できるだけオートで楽に撮影できるカメラ。気軽にとりあえずYouTuberっぽいこと(自撮りや商品紹介など)をやりたいならおすすめだ。



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まとめ

ここまで話してきて、写真では王道のCanonやNikonのカメラが出てこないことに驚く人もいるかもしれない。

実は2020年現在では、CanonやNikonのカメラは動画用としては正直微妙なところがある。。

でもCanonに関しては、10年ほど前に登場した一眼ムービーの先駆者であり、当時は5D MarkIIや7Dというカメラが大人気だった。写真も動画もCanon一択の時代だった。僕も当然所有していた。

だがその後、SONYがミラーレスカメラにいち早く舵を切り、市場は大きく変わった。

あとからだいぶ遅れてCanonもミラーレスに参入したが手遅れで、今ではSONYが動画用カメラとしては大人気である。

SONYのカメラは、α7sIIやZV-1など、ユーザーがワクワクするようなカメラを次々と産み出し、ユーザーを惹きつけ続けている。クラスの人気者のようなメーカーだ。

PanasonicのカメラはSONYほどの派手さはないが、堅実に時代やユーザーの声に合わせてアップデートしてきている印象。熱暴走もないし、クラスの委員長的なメーカーだ。

Blackmagicのカメラはまさにクラスの転校生存在。最初は「どうなの?」という声もあったが、こんな低価格で、あそこまで高品質な映像を得ることができるので、プロの世界でも普通に使われるようになった。初心者には難しいと思うが、思いっきりシネマ的な表現を求む人にはぜひトライして欲しい。

そして最後に一言だけ伝えたいのは、

カメラを実際に触って撮影してみて、初めて気づくことがたくさんある。カメラを買う前には、そのカメラの全て知ることができないってこと。

カメラやレンズ選びを間違えない人はいない。

だからまずは手にとって撮影してみよう!

僕もそうだけど、何回もカメラやレンズを買い換えたし、失敗したー!!っていうのはたくさん経験がある。でもそういう経験が糧になる。

大丈夫。失敗してもそういうときは売ることもできるんだし、使ったお金が全部0になるわけではない。

むしろ失敗して学び、成長していくのだから、「とりあえず買っちゃえ!」というのは隠れたアドバイスである。


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Taka Tachibana
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