見出し画像

派遣労働という働き方~市場と組織の間隙

 派遣労働をしている人がどのようなジレンマを抱えているのかを、現場で働く人の声を取り上げながら書かれている良書。

おもろいなあと思ったところをご紹介。


派遣労働の賃金が低いのはなぜ?

 これは以下のどちらかに問題があるとされています。

労働契約(有期雇用労働契約か無期雇用労働契約)の問題or三者雇用関係(派遣労働者、派遣元企業、派遣先企業)の問題を区別して考える必要があるとしています。

この場合は労働契約に問題があるとされています。

有期雇用労働契約による弊害

 短期的な契約になることから人的資本への投資がなされない。(派遣先企業は人的資本投資インセンティブを持たない。)スキルは変わらないままでは、より高単価の仕事に就業することはできません。

一方で無期労働契約は、長期的に人的資本育成によるメリットが大きくあります。長期的に教育するインセンティブがあるのです。そしてスキルが上昇することにより高単価の仕事にも取り組むことができるのです。


三者雇用関係ではないといえる根拠とは?

 通常、派遣労働者の賃金は派遣元企業(人材派遣会社)と派遣先企業の労働者派遣契約によって結ばれる派遣料金によって決まります。

派遣労働者の賃金は派遣料金から派遣元企業(人材派遣会社)のマージンを差し引いた額が賃金となります。派遣労働者の賃金を勤続年数やスキルなどによって個別に対応しているケースもあります。よって正社員よりも賃金が高いということもあり得ます。

以上より、三者雇用関係で必ずしも賃金が低いわけではないと考えることができます。

派遣労働者は1社の派遣元企業と長期的関係を築くべし

 仕事の選択肢を多く持とうと、たくさんの派遣元企業に登録する方もいますが、1社の派遣元企業と長期的関係を築いたほうが長期的にみて得をする。

派遣元企業には、派遣労働者のスキル(なにが得意なのか等)のデータが蓄積されることや、コーディネータとの関係を築くことでより自分にマッチした環境で働くことができるなどメリットがたくさんあります。

素敵な事例があります。3年間同じ派遣元企業で同じコーディネーターと付き合いがあったAさんは、時給が100円アップしたといいます。コーディネーターが派遣先企業に派遣料金の交渉をしていたそうです。

派遣先の上司から聞いた時には、感動しました。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?