夫婦愛たしかめ選手権

#オススメのテレビ番組


noteには少しずつ短編だけ載せていこうと思っていたのですが、ある方から「コラムでも何でも良いから投稿数を増やさないとダメよ」と言われたので、とりあえず本日はコラムを書いてみます。

お笑いが好きな方なら、あちこちでよく耳にする話だと思いますが、芸人のコンビと、夫婦の関係性はとても良く似ている。と言われています。
私もそう思うので、今回はこの話に私見を入れつつ書こうと思います。

まず、コンビ芸人さんってお互いに相手のことを「相方」と呼び合っていますよね。成功も失敗も、金も地位も名誉も、2人で分け合い人生を共にする相方。確かに夫婦と似ている。
また、コンビ解散のエピソードと離婚のエピソードには共通点があったり、一度別れた後にヨリを戻すコンビや、昔の相方のことを引きずって忘れられない芸人の話などを聞くと、「相方」という存在はわれわれ一般人における「仕事仲間」よりも、「恋人や家族」に近く、時には「恋人や家族以上」にもなりうる、特殊な存在なのだと思います。
正直そういう関係性、少しあこがれます。

テレビ東京の「ゴッドタン」というお笑い番組の人気企画の一つに「コンビ愛たしかめ選手権」というのがあるのですが、皆様ご存知でしょうか。
いちおう説明すると、コンビ芸人2人とも両方に「コンビで最もアツくなった瞬間はいつ?」や「コンビで一番スベった瞬間はいつ?」などのお題を出し、お互いに回答する。それが一致すれば1ポイント獲得。その合計ポイントを数組で競い合い、最もコンビ愛の深い芸人を決める、という企画内容です。

もちろん出演される芸人さん達は、本気で回答を一致させることを競っているわけじゃなく、一致しようがしまいがそのお題にまつわるエピソードを話す機会を得ることが目的で、話芸を駆使し面白おかしくエピソードトークをすることで番組を盛り上げる。その会話の流れによっては、深い話になったり、たまにムネアツな展開になり視聴者の感動を生むことさえある。という非常によく練られた企画です。

この企画を観ていて思いついたんです。
お笑いコンビと夫婦が似ているのなら、この企画をコンビではなく夫婦や恋人同士がやってみたら、どうなるか?

そこで実際に自分でやってみたのですが、これがなかなかに面白い。もし現在、皆さんに恋人や配偶者がおられたら、是非この企画をやってみて頂きたい、おすすめです。

具体的に言うと「奥様がもっとも喜んだ旦那さんからの言葉は何か?」「彼氏が彼女からしてもらっていちばん嬉しかったことは何か?」「一番印象に残ってる2人でのセックスはいつか?」などのお題にお互いが回答し、それが一致しようがしまいが、それについて2人で面白おかしく話してもらいたいのです。

ただし注意点があります。この「面白おかしく話す」というところが大事なポイントで、2人の回答が違っても、それについて口論になったり、ましてやケンカに発展したりしないようにパートナーに事前説明を行うなど「細心の注意」を払ってください。
当然、2人の回答が一致することを目指すのが企画の趣旨ではあるのですが、それは最終目的ではありません。
一致させることよりも、2人が本心から回答することの方が大切です。そうすると回答が一致することは少ないはずなので、違って当たり前だと思って企画をスタートしてください。
あなたのパートナーは何をされたら嬉しいか?何を楽しいと感じているのか?を知って、自分の感覚との違いを見つけて、それについてのトークを楽しむのが最終目的なのです。

ここで話は少しそれますが、私は自分のカウンセリングの授業で、生徒たちにこんな質問をします。

「もしあなたに恋人がいて、しばらく会わないでいよう、と言われたらその期間は、何日間だと思う?」

この質問に対する答えの平均値をとると、だいたい「30日間(1ヶ月)」になるのですが、答え自体は結構バラバラで「1週間」と答える生徒も居れば「半年間」と答える生徒もいる。
もし、半年くらい会わないつもりで「しばらく会わない」と言った彼氏の元へ1週間後に彼女が会いに行ったらどうなるか?
当然「まだ1週間しか経ってないのに、なぜこんなに早く会いに来たんだ」とトラブルになることでしょう。
つまり、同じ「しばらく」という言葉でも、自分とクライアントの感じ方が、まったく違う可能性があり、他人との感覚の違いを理解することはカウンセラーにとって重要だと生徒に伝える為の質問です。

話を戻します。この企画においてパートナーが「何を嬉しいと感じるか?」も自分と違っていて当然です。先ほどの質問と同様に、その違いを理解することが重要。私は言いたい。むしろ他人と感覚が違うからこそ、お互いのことを想像しようとして、想い合える。そしてそれが「愛情」の始まりなのだと。

現代人は頭を使って理性的に考えすぎるので、夫婦に限らず、同じ会社の社員や、同じ国の国民なら、同じような感じ方をするのが理想的で、出来るだけ同じ感覚で共に生きて行こう!なんて結論に向かいがちです。
しかし、人間の本質はそうではない。感覚は、理性でコントロールできるものではなく、どんなに理性を駆使しても、体や心に負担をかけて無理矢理に押さえつけることくらいしかできないんです。感覚を近づけたり一致させようとしたりする行為は、お互いを窮屈にするだけです。

この企画の良いところは、自分とパートナーの感覚の違いに気づき、相手の感覚を尊重することで、2人の個性を活かし合うことにつながるところです。
私の知る限り、上手くいっているコンビ芸人のほとんどが、お互いをよく理解し、その感性の違いを活かし、相手の個性を引き立て合うことに長けている。
私は、これこそがコンビ愛であると感じます。そしておそらく、上手くいっている夫婦においても同じことが言えるでしょう。

今回のお話は以上です。皆さんこの企画に興味を持って頂けましたでしょうか?

もし面白そうだと思って頂けたなら、あなたも実際に「夫婦愛たしかめ選手権」を開催してみてください。夫婦や恋人同士以外の相手でも、例えば親子、親友、付き合いの長い先輩後輩など、自分との関係性が深い対象者となら、同様に企画を楽しめると思います。

ただ最後に、再度の注意喚起を。
この企画を試すその際は、あなたの大切な「相方」への「細心の注意」を払うことを忘れずに。
結局、愛の深さって、相手のためにどれだけの時間と心を費やしたかの「量」みたいなもんですから。では。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?