ミニマリズムとの出会い

私が初めて「ミニマリスト」という言葉を意識したのは、緊急事態宣言が発令されていた2020年の4月上旬である。
YouTubeのおすすめ欄に、「ミニマリストしぶ」というチャンネルが表示され、ふと思い立って試聴してみた。

ミニマリストという単語自体は知っていたが、彼らが実際どのような暮らしをしているのかまでは知らなかった。

動画で見た彼の部屋は、本当に何もなかった。
強盗が押し入り、家財道具を含め全て持ち去ってしまったかのような、無機質な部屋の様子に、絶句したのを覚えている。
また同時に、「自分はどこまでモノを減らせるだろうか」とミニマリズムに興味が湧いてきた。

外出が躊躇われる時期だったこともあり、私は「おうち時間」の使い方として断捨離を始めた。
今もいらないものの処分を続けているが、私はこれまでにCD、本、アウトドアブランド「The North Face」のアウターなどあらゆるものを捨ててきた。

 私が手放したものを今振り返ってみると、マルクスのいう「使用価値」を度外視して購入したものばかりのような気がする。

①使用価値:使用する目的に合致するか、という基準
②交換価値:地位や名声など、他のものと交換できるか、という基準

参考:マルクス 2011「商品のフェティッシュな性格とその秘密」『資本論』中山元訳 日経BPクラシックス.

例えばCD。
以前は、好きなジャンルである、ヘヴィメタル系のバンドの新曲が出るたびにCDを購入していた。
「初回生産限定盤」を中心に、200枚以上は所持していたと思う。

しかし実際は、「傷がつくのはもったいない」とCDを開封せず、加入しているサブスクリプションサービスなどでデータをダウンロードして聴くことが多かった。

すなわち私は、「限定」などのCDの「交換価値」、あるいは「これほど音楽にのめり込んでいる」という自己満足の感情にのみ意識を向けていたと言える。
そこには、「音楽を聴くための道具」という、CDの使用価値が見えてこない。私もまた、商品のフェティッシュに取り憑かれた人間の1人であったのだ。

「利用価値」「交換価値」について理解を深めたことで、「捨てるか・残すか」で迷うことが減った。
「使用価値を別のモノで代替できない物品以外は処分する」という、明確な判断軸ができたからだ。

今後もさらにモノを減らしていき、いずれはスーツケースひとつで引っ越しができるようになりたいと考えている。

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