M1ライフルの照門の考察

自分のツイートより移設

M1ライフルの照準に関するメモ 照門のエレベーション・調整ノブは1click毎に1MOA、弾着点を修正できる話を聞いていたので確かめて見る事に。 結果としては、ざっくりならその通り。 ただ細かく見ていくと1click毎に修正量が変化します。 今回は照門の移動量について計算した


fig1

エレベーション・ノブは1clickで6°回転します。 これはレシーバーにあるノブの台座が1周60個の山に別れている為です。

ノブを6°回すと照門はどれほど回転するか。 ノブと照門についている歯車の歯数の比から求めると、およそ0.3°となる。 単純に移動量を求めるなら照門の回転半径と回転角のサイン関数の積で求められそう。 では回転半径は?

fig2

照門の回転半径は図面値と三平方の定理より1.984inchとなります。 ただし照門の初期角度は46.1°なので、それを考慮して照門の移動量を求めると、0.0079inchとなりました。

fig3

弾着の修正量である1MOAとは1/60°という角度の事です。 照門の移動量と照星から照門までの距離(=照準半径)をアークタンジェントの逆三角関数を使って角度を求めます。 照準半径は28inchなので1.01MOAと、1click毎に1MOAという話は確かかなと思われます。 実はこれ、正確には間違いです。

fig4

回転角に誤りはなさそうですが、移動量の求め方にコツがあります。 サインカーブに回転角を入れようとすると、カーブのどこに入れるかによって移動量が異なってきます。 これを決めるのは今回の場合、照門の穴の中心線の初期角度なのです。 ただし図面にはこの初期角度が載っていませんでした。

なので、照門の穴中心線が水平となる=先の計算通りに初期角度を仮定すると、図のようになります。 click毎の修正量は僅かながら異なっている事が分かりました。 M1ライフルの開発側の人であるHatcher氏の著書に、この修正量の違いについて具体的な数値が出てたので照らし合わせてみます。


fig5

照らし合わせた結果、Hatcher氏の数値に合う様な初期角度は仮定より5.9°下向きでした。 完全についでですが、照門が下向きとは思ってなかったので驚きました。 実際のM1ライフルを持っていないので、照門の向きの証拠がありませんが、こういう予想は楽しいです。

ちなみに左右の調整は 5/16-32のインチねじで左右に動かす。 1inchに32山なのでピッチは1/32。 ノブは90°毎に回るので、照門の移動量は1/32×90/360=0.007813inch。 照準半径27.98inchより1clickあたり0.96MOAとなります。 この値は変化しない。

ごめんなさい、図中にある〇〇'の表記は全て〇〇"です

未熟な故、間違いありましたらご指摘下さい。 勉強させて頂きます!

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