Killer Instinct コンボのかけひきについて②

実戦におけるブレイクとコンボ 

 実戦において、ブレイクの駆け引きは単発では終わらない。多くの場合その駆け引きの主軸は傾向と確率にあり、互いの駆け引きの中で勝敗が成立する。
 ここではKIの駆け引きにおける傾向と対策について論じる。昨日に続き、この一連の断章もまた私個人の仮説である。

KIにおけるコンボ

 KIのコンボはその多くが地上で展開し、最後まで地上で完結する(例外はある)。コンボアシスト機能によってほとんどの入力は簡略化されているが、システムのなかで起こっているのは以下のような流れである。

①コンボ始動技のヒット
②各種オートもしくはマニュアルの打撃
③それをキャンセルして出される技(リンカー)
④上記②→③の流れを任意の回数ループ
⑤コンボ締め

 ④はコンボリミットの限界まで行えるが、回数を増やせば増やすほどコンボがブレイクされる確率は上がる。大雑把に言って3ループ以上のコンボはほとんど確率的にブレイクされるものと言って良いと思う。

コンボ側と被コンボ側の接点

 コンボ側の理想は「ブレイクされることなく/相手のブレイクを回避し」「コンボを完走する」こと。
 被るコンボ側の理想は「被ダメージを最小限に抑える」こと。
 故に両者の利得(両者の最適)の接点は「ブレイクが押されず、ショートコンボで駆け引きが終わる」こととなる(詳察は次回に見送る)。被コンボ側はブレイクミス/カウンターブレイカー被弾リスクを最も減らせる選択であり、コンボ側にとっては少量のダメージを取り、ルックアウトの可能性を作りつつ、コンボ締め後の状況有利を生み出せる。
 両者の実力に差があればあるほど、この接点においてコンボ側の有利が深まる。KIの苛烈な攻めを捌き切るのはとても難しいからである。 

コンボのかけひきで格上に食いつく

 実力上位の相手は「自分はブレイクを押さず」「ショートコンボで攻めを継続する」だけで、実力下位の相手をさばくことが可能である。これに食らいつくためには、上記の接点をずらす必要がある。狙うべきは「相手にブレイクを押させること」であり、相手にブレイクミスの要因を作ること=一定のリスクを負わせることがスタートラインとなる。

 ・強オート
 ・補正切り連携
 ・シャドーリンカー

 これらを用いて、まず相手の「ブレイクしないで済む」状況をこじ開ける。
 相手がブレイクを押すようになれば、格上の相手と読み合うことが可能となる。

ブレイクの読解

 相手がブレイクを押すようになったら、その内容を分類していく。このときに、前回書いた「3種のブレイク」認識が必要になる。

1.見てから
2.じゃんけん
3.読み

 対戦相手が最も多用するブレイクはどれか、どのポイントでブレイクが押されがちか、どの技を見ているかなどを意識してコンボを展開し、絞り込んでいく。このときのコンボは探り合いの側面が強く、様々なやりとりが交錯することとなる。やり取りの中でコンボがブレイクされる可能性は高いが、そのブレイクによって相手はリスクを負い、情報をひとつ開示したことになる。

・ブレイクされた→相手のブレイク情報を一つ得た
・ブレイクが押されなかった→こちらの状況有利が継続し、かつショートコンボよりも火力の出るコンボが完走した
・ブレイクミスされた→フルコン

 ブレイクの傾向が絞れてきたら(多くの場合、試合中盤)、相手のブレイクの読みを外していく。

・補正切り
・通常とは異なるルートのコンボ構成
・マニュアル
・ディレイコンビネーション

 これらを相手のブレイクタイミングに噛み合わせる形で利用し、相手のルックアウトを誘発する。ピンポイントで用いるのが効果が高い。ここが具体的な「ルックアウトを取りにいく」部分である。単なるミス待ちで終わらせず、積極的に相手のブレイクミスを誘うこと。うまくいけば対戦相手はブレイクそのものを押すことにリスクを感じるようになる。ここで読み合いが一周した。

 ブレイクを押すことへの躊躇が相手に生まれたら、ここから2周目の「火力を引き出す」コンボが生きる。

・強オート
・補正切り連携
・シャドーリンカー

 これらに再帰するが、読み合いの内容は変化している。とくに強オートは重要で、ブレイクしないわけにはいかないほどの状況になっているはずである。逆に相手がブレイクを押さない読みに徹しているようなら強オート3ループ以上の、普段ならほぼブレイクされるコンボを入れることができるだろう。

 うまくいっていればこの時点で駆け引きは「ブレイクを押すか押さないか」から「どこでブレイクするか」に変わっている。相手がブレイクを押さざるを得ない状況に近い。
 このまま駆け引きを続けるだけでも、当初の状況よりも勝つことに近づいた状況になっていると言えるだろう。

カウンターブレイカーは必須ではない

 上記の駆け引きにおいてカウンターブレイカーは必須ではない。しかし、効果の高さは当然おおくの選択肢以上であり、駆け引きが五分以上になっているときに相手を大きく引き離すことも出来るだろう。「相手のブレイクを読んでピンポイントで駆け引きを差し込む」という行為においても、とても直接的である。
 しかしカウンターブレイカーは、成功しにくい場面がある。その点だけを意識するだけでも読み合い・駆け引きはおおきく前進するだろう。

・相手に体力リードを許している状況。
・カウンターブレイカー失敗時の相手側の最大コンボで自分の体力が終わる・DANGERにさしかかる状況。

 この2つの状況においてカウンターブレイカーは用いるべきではない。それ以外の選択肢で地道に追いつくほうが良い。カウンターブレイカーは一発逆転の要素ではなく、読み合いに勝っている側がリードをさらに広げるべく使用したとき、最大限の効果を発揮するものである

・体力が五分の状況:リードを引き剥がす
・相手の白体力が溜まっている状況:ブレイクそのもののリターンが上がっているため、ブレイクを押される必然性がある
・相手にとって想定外の始動からコンボが始まった状況:意識する前にブレイクを押しがち
・自分のコンボの極端な技だけを相手が見ていると思える状況:弱オート一点の読みブレイクを読んだ場合など

 これらの状況で、相手のブレイクを読み切り、カウンターブレイクを差し込む。

自分が被コンボ側にまわるとき

 自分自身がコンボを受ける側にまわったとき、これらの駆け引きと対峙することになる。ポイントは様々にあるが、以下が受けにまわったときのゴールとなる。

「自分はブレイクを押さずに、相手はショートコンボを終わる/カウンターブレイカーでコンボが中断する」

 先の記事で書いた通り、「ブレイクをしない選択肢」は重要である。
 さらにブレイクを押す場合、なるべく相手にポイントを絞らせないこと。以下のポイントを意識して、相手に渡る情報をなるべく混戦させるのが定石となる。

・強、中オート:読みブレイクを用いて、見えた瞬間~猶予限界まで引っ張った位置の合間で、相手のカウンターブレイクを回避しながら押す。
・リンカー:じゃんけんブレイクを用いて相手がカウンターブレイクを仕掛ける必然性の薄い弱・中リンカーにブレイクを仕掛ける。
・おおくの状況:見てからブレイクを用いて、相手の「ブレイクしない読み」を正面から外してブレイクを仕掛ける。

 コンボは互いの駆け引きの中で成立している。駆け引きなので、勝率は引き寄せることが可能だと自分は考える。

 次回はコンボの用意について書く。



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