酸素療法 - ③ システムの分類と加湿


酸素療法の種類

患者が必要とする一回換気量(Tv)を超えるガスを供給できるかどうかで分類される。

低流量システム
患者のTv[ml]を下回るガスを供給するためのシステム。
患者が換気する際に、流入ガスと一緒に室内のガスも一緒に取り込む。取り込むガスの量は患者の一回換気量によって異なるため、毎回吸入酸素濃度が変化する。
流入ガス流量が一定の時、患者のTvが大きくなるほど室内からの空気が流入するので吸入酸素濃度は低くなる。
・鼻カヌラ
・簡易酸素マスク

高流量システム
患者のTv[ml]を下回るガスを供給するためのシステム。
患者の換気パターンに関係なく、設定した濃度の酸素を吸入させることができる。
成人で高流量システムを使用する場合、混合ガスの総流量を30[L/min]以上とする。これは成人の一回換気量500[ml]の時の平均吸気流速に相当させるためである。
500[ml/sec]× 60 = 30000[ml/min] = 30 [L/min] 
・ベンチュリーマスク
・ネブライザー式酸素吸入装置
・高流量鼻カヌラ


リザーバーシステム
呼気相の酸素をリザーバーバッグに貯め、吸気の際に貯まった酸素を吸い込むシステム。高濃度の酸素を投与するためCO2ナルコーシスに注意が必要。

酸素療法の加湿

加温加湿しなくても問題ない酸素流量・酸素濃度は各ガイドライン・マニュアルで以下のように定められている。

鼻カヌラ:流量 ≦ 3L/min
ベンチュリーマスク:酸素濃度 ≦ 40%

酸素療法マニュアル(酸素療法ガイドライン改訂版)より

酸素流量 ≦ 4L/min 

AARC酸素療法ガイドライン

酸素流量 ≦ 5L/min 

ATS COPDガイドライン

上記に挙げた流量はあくまで目安のため、患者の状況を確認し、その都度必要度を確認して対応するべきである

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